「個人事業主は生活費も経費として計上できる?」
「個人事業主が生活費を支払ったときの仕訳方法は?」
「事業経費と生活費の分け方が知りたい」
個人事業主は日頃からきちんと経理処理を行い、毎年確定申告をする必要があります。
しかし、個人事業主は住居・通信費・水道光熱費など、生活の費用を経費の一部として計上することはできるのか、迷うことがあるでしょう。
この記事では個人事業主が確定申告をする際に、生活費を経費として計上することができるのか、また、生活費と経費を区別するための方法について紹介していきます。
この記事を参考に、正しく経費精算をし確定申告をスムーズに行えるようになりましょう。
目次
個人事業主は生活費も経費として計上できるのか?
所得税法第45条によると、家事上の経費と関連する経費・事業所得の金額は、必要経費に算入しないと規定されています。つまり、個人事業主の生活費は基本的に個人事業主の経費として計上できないことになっています。
しかし、所得税法第96条第1号と第2号には、業務の遂行上直接必要だった費用は、業務内容・経費内容等を総合勘案して判定するとあるため、すべての生活費を経費に含めることができないわけではありません。
生活費の家事の中で個人事業主の業務に直接関連する費用は、経費として認められます。例えば、家賃・通信費など、生活費と同じ費用が事業上で生じることもあります。
個人事業主が生活費と経費をきちんと分けた方がよい理由
生活費の家事の中で業務に関連する費用は、経費として認められますが、日ごろから生活費と経費はきちんと分けておくことが大切です。
ここからはその理由を3つ取り上げますので、参考にしてください。
プライベートの支出なのか経費なのか曖昧になってしまうから
プライベートの支出と事業の経費を分けておくと、経費の計上をスムーズに行えます。その都度分けておくことで、どちらの支出なのか曖昧になることを防げるのです。
生活費と経費の分け方は、後ほど紹介します。
節税対策ができなくなるから
個人事業主が支払う税金には所得税、消費税などがありますが、事業の経費を計上すると節税につながります。
事業所が自宅になっているのであれば事業で使用するスペースの割合×家賃を経費に計上できるという計算です。水道光熱費・交通費・通信費といった費用も、事業に直接関係した金額を経費に計上して節税しましょう。
税務調査により延滞税を支払う可能性が出てくるから
確定申告は3月15日までが提出期限、また法廷納付期限日となります。期限を過ぎてしまうと、納付するまでの遅れた分を延滞税として支払わなければなりません。
期限までに確定申告をしても金額が正確でない場合、税額が申告した金額より多いこともあります。すると、延滞税にプラスして過少申告加算税も支払う必要が生じる可能性もあります。
個人事業主は経費の正確な金額を計上し、延滞税を支払う必要が生じないようにしましょう。
出典:延滞税の計算方法|国税庁
個人事業主が生活費を支払ったときの仕訳の方法
個人事業主は自宅を事業所にしている場合「家事按分」という方法で生活費と事業の経費を分けられます。
個人事業主は生活費の中で、家賃・通信費・水道光熱費・交通費など、経費と同じ費用があります。「家事按分」では、経費を仕事用の比率分のみ計上しますので、同じ費用の項目から、生活費と経費とを分けるのです。
ここからは、個人事業主が生活費を支払ったときの仕訳の方法を紹介します。
事業主貸を利用する場合
事業主貸は事業用の口座から生活費など、事業とは無関係の金額を引き出したり使用したりしたときの勘定科目です。
つまり事業主貸は事業の経費にはできない費用になるため、事業主貸と経費を別にしておく必要があります。
事業主借を利用する場合
事業主借は本業の事業以外からの収入、または生活費から事業に充てた金額のことです。事業のために借りる金額ということになります。
事業主借も、事業の経費とすることはできません。同じ口座で支出・収入があるときは、生活費と分けるために事業主貸・事業主借の勘定科目を使いましょう。
事業経費と生活費の分け方
ここからは、事業経費と生活費の分け方について、4つの具体的な方法をお伝えします。生活費から経費を分けるための計算方法もありますので、事業経費と生活費の分け方について知りたい方は参考にしてください。
レシートや通帳にマークをつける
事業のために紙などの消耗品を購入した、クライアントとの打ち合わせのため交通費・飲食代がかかったなど、経費として計上したい費用があるでしょう。
この場合、経費として支出したレシートや通帳にマークをつけておくことで、後から見たときに日付と経費の金額が分かるようなります。
通帳や現金をプライベート用と分ける
通帳を生活費と事業の両方に使っている方は、事業用の口座をつくることで生活費と区別するのが容易になります。
個人事業主の口座には、事業の屋号をつけられます。また、現金も生活費用と事業用とで分けておきましょう。
事業部分とプライベート部分との区別を明確にする
自宅が事業所になっている場合は、費用を明確にするためにも費用1つずつを事業部分とプライベート部分に分けてみましょう。
例えば、電気代から経費を分けるときは、事業で使用した電気の日数・時間から計算します。「電気代×事業で使用した時間の割合=経費」というように、1か月の電気代に事業分(%)を掛けて経費の金額を出します。
家賃の計算は「家賃×事業のスペース分の床面積割合=経費」とする方法と、使用時間から計算する方法があります。使用時間から計算する方法は以下の通りです。
①「1か月30日×24時間=720時間」
②「事業の1日の時間8時30分×日数26日=215.8」
③「216÷720=29.9%」
④「家賃\120,000×28%=¥35,880」
毎月一定額を生活費とするようにルールを決める
生活費を使いすぎてしまわないために、一定の金額を生活費とすると良いでしょう。
「利益-支払い(返済・税も含める)=生活費」と計算することで、一定金額以上を生活費で使いすぎないようにしていけます。
個人事業主の生活費は経費にできないことを知っておこう
この記事では、個人事業主は確定申告の際に生活費と分けた経費を計上する必要があることを紹介しました。
この記事を参考に、事業用費と生活費を正しく分けられるようになりましょう。
※初回公開日:2023年8月16日
監修:キャリテ編集部【株式会社エーティーエス】
株式会社エーティーエスが運営する本サイト「キャリテ」では、みなさまの「キャリア」「働く」を応援する記事を掲載しています。みなさまのキャリアアップ、より良い「働く」のために、ぜひ記事の内容を参考にしてみてください。
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