「フリーランスは確定申告が必要って本当?」
「確定申告書を作成したいけど、どうしたらいいのかな。」
「フリーランスが確定申告するメリットがあれば知りたい!」
本記事では、確定申告の種類などの基礎的な知識に加えて、フリーランスが確定申告する際に知っておくべき情報を紹介しています。
この記事を読むことで、フリーランスが確定申告をした方がいい理由や、書類の作成方法などがわかるだけでなく、もし確定申告時に間違えてしまった時の対処法まで解説します。
その知識をもとに確定申告することで、確定申告に不安を抱えている方でもスムーズに手続きを進めるられるでしょう。
フリーランスで確定申告をこれからする方は、ぜひこの記事をチェックしてみてください。
目次
「確定申告」とは?
確定申告とは、1年間の所得(売上から経費を引いた額)にかかる税金を計算し、国に納税する一連の手続きを指します。
通常、会社員などの給与所得者は、会社で年末調整するため基本的に確定申告は必要ありませんが、会社員であっても副業などの所得が一定額ある方や、個人事業主やフリーランスの方で事業所得がある方は、個人で確定申告が必要です。
確定申告の種類
確定申告には青色申告と白色申告の2種類があります。
2つの違いは事前申請の有無や、確定申告に必要な書類、確定申告書を作成するための帳簿など違いがあり、青色申告書の方が必要な書類は多いです。ただし、青色申告の方が控除で優位な面があります。
ご自身の状況によって青色、白色のどちらを選択するかを決めると良いでしょう。
青色申告
事業所得、山林所得、不動産所得のある方は、期限までに青色承認申告書を管轄の税務署へ提出すれば青色申告が可能になります。
青色申告は複式簿記の原則に従って日々の帳簿をつけることで、最高で65万円の控除を受けることが可能です。帳簿や書類の保管は7年間必要ですが、書類によって5年で良いものもあります。
なお、略式簿記でも青色申告できますが、控除額が10万円までとなり、控除面で不利になります。簿記の付け方しだいで控除額が変わるため、できれば、複式簿記で帳簿をつけておくと良いでしょう。
白色申告
青色申告を行う以外の方は全員白色申告になります。
白色申告では、簡単な記載の帳簿があればよく、青色申告のような一定の要件を満たす帳簿付などは求められていません。帳簿や書類は5年間保管が必要です。
白色申告は青色申告よりも簡便な方法ですが、青色申告のような控除は無い点は考慮しておくと良いでしょう。
出典:No.2080 白色申告者の記帳・帳簿等保存制度|国税庁
フリーランスが確定申告をするメリット
確定申告は日々の帳簿付けや、確定申告書の作成、その後の納付などやることが多く面倒に感じる方もいるでしょう。
ただし、確定申告することで、会社員よりも比較して不安定とされるフリーランスのお金に関する安定性を上げるメリットもあります。
ここからは、フリーランスこそ確定申告をした方がいい理由を紹介していきます。
- 控除対象で節税が可能になる
- 税金が還付される可能性がある
- 赤字の場合に3年間繰り越すことが可能になる
- 収入証明に確定申告の控えが利用可能になる
控除対象で節税が可能になる
収入から経費を引いた所得に対して税金がかかりますが、その年に支払ったものの中に控除に使えるものがある場合、所得から引くことが可能です。控除を使うと所得が減るため、節税につながるものがあります。
例えば、医療費控除、小規模企業共済等掛金控除、生命保険料控除などがあります。
確定申告で医療費などを控除に入れないと課税所得が増えてしまうため、税制上不利となります。
税金が還付される可能性がある
確定申告で払い過ぎていた税金を取り戻せる場合を還付と言います。
配当金をもらっている方が総合課税を選択したり、原稿料など事前に源泉徴収されている方で所得が一定額以下の場合や、年の途中で仕事をやめた後再就職をせず、前の会社で年末調整を行なっていない場合などが該当します。
所得金額に応じて支払いすぎた税金を取り戻せるため確定申告にはメリットがあると言えます。
出典:Q5 所得税等の還付申告はどのような場合にできますか。|国税庁
赤字の場合に3年間繰り越すことが可能になる
税金は所得に対してかかるため、赤字の場合は税金を払う必要はありませんが、赤字を3年間繰り越すことで将来的に税金を抑えることが可能です。
例えば、ある年の事業が100万円の赤字で、翌年は100万円黒字だった場合、繰越控除すると、赤字を翌年の黒字と相殺することで税金を抑えることが可能です。
フリーランスは会社員のように毎年安定していることは少ないため、繰越控除が使えるようにしておきましょう。なお、3年間繰越できるのは青色申告の場合に限ることは覚えておくと良いでしょう。
収入証明に確定申告の控えが利用可能になる
ローンやクレジットカードなどの審査には収入額がわかる書類の提出が求められます。
個人事業主やフリーランスの場合、会社員と違い、給与明細や源泉徴収票などはありませんが、確定申告書を収入証明に使用可能なことは覚えておきましょう。
そのほか、青色申告決算書や収支内訳書なども収入証明に利用可能な場合があります。
フリーランスで確定申告が不要のケース
基本的には確定申告には多くのメリットがあることは説明しましたが、フリーランスの方でも確定申告しなくても良いケースもあります。
ここでは、会社員とフリーランスの兼業のケースや、公的年金受給者のケースについて説明します。
フリーランスが副業で年末調整をしている会社員
会社員は会社が年末調整しているため確定申告不要です。
会社員をしながらフリーランスとして副業に取り組んでいる方は、給与所得の他に事業所得または雑所得があるため、確定申告が必要です。
ただし、所得金額が20万円未満の場合、確定申告は不要となっている点は覚えておくと良いでしょう。
公的年金が主な収入のフリーランス
公的年金の雑所得から所得控除を引いた額に残額がある方は年末調整が必要です。
ただし、公的年金の収入額が400万円以下で、その全額が源泉徴収の対象であり、公的年金等に係る雑所得以外の所得金額の合計が20万円以下であれば、確定申告は不要となっています。
確定申告をする際に必要な書類
確定申告の手続きには帳簿以外にも必要なものが複数あります。
青色申告となると準備する書類も増えるため、確定申告時に慌てないよう、必要な書類について確認していきましょう。
マイナンバーカード
確定申告にはマイナンバーが必要です。ナンバーは通知カードでも確認できますが、できればマイナンバーカードがあると良いでしょう。
マイナンバーカードがない方はIDとパスワード方式や、紙での提出も可能ですが、IDとパスワードは発行手続きが必要なことや、電子申告ではないと特別控除が最大限使えないなど、デメリットも多いです。
確定申告書A・B
確定申告書にはAとBの2つがあり、申告する内容によって使い分けます。
申告書Aは給与所得、雑所得、総合課税の配当所得、一時所得のみで予定納税額のない方、申告書Bは所得の種類にかかわらず誰でも使用できます。
なお、前年から繰り越された損失額を本年分から差し引く場合は申告書Bを使用します。
出典:申告手続の流れ|国税庁
青色申告決算書
青色申告の方は青色申告決算書が必要です。
青色申告決算書は4ページからなり、1ページ目は損益計算書、2、3ページ目は損益計算書の内訳、4ページ目は貸借対照表の構成になっており、収入や売上原価、経費などを記載します。
書類は11月~12月上旬頃に郵送されるものを使うか、税務署に自分でもらいに行く、国税庁のホームページからダウンロードも可能です。そのほか、確定申告書等作成コーナー/e-Taxでも作成できます。
収支内訳書
白色申告の方は収支内訳書が必要です。
収支内訳書は青色申告決算書と比較して、記載する項目が少なく作成は容易ですが、所得の種類に応じて変わることは注意しましょう。
書類は税務署でもらうか、国税庁のHPから入手する他、確定申告書等作成コーナー/e-Taxでも作成できます。
確定申告の記載ミスや期限内に間に合わなかった場合の対処法
所得金額を自分で計算して申告するため、時に記載ミスなどが起きやすいと言えます。
納税額が多い・還付金が少ない場合は、更正の請求手続をします。更正の請求期間は原則として法定申告期限から5年以内です。
逆に納税額が少なすぎる・還付金が多すぎる場合は修正申告をします。その時、誤りに気がついたらできるだけ早く修正申告しましょう。
税務署の調査を受けた後で修正申告をしたり、税務署から申告税額の更正を受けたりすると過少申告加算税がかかります。必要のないお金を払うことのないよう注意しましょう。
フリーランスの確定申告の流れ
確定申告には多くの帳簿や書類が必要なため、確定申告時期に慌てて準備していると、間違える原因となります。
正しく確定申告し、税制面でのメリットを得るためにも、確定申告に向けて日々取り組むことをお勧めします。
大まかな流れについて解説しますので参考になさってください。
帳簿の日々の作成
帳簿は、売上や経費などのお金の流れを記録したものです。日々お金は動いているため、1年分をまとめて書くのは難しく、間違いの元となります。
できれば毎日が理想ですが、1週間ごとや1か月ごとなどある程度まとまった期間で取引を記録していきましょう。記載しておきましょう。
取引の証拠となるレシートや領収書を紛失しないよう、あわせて注意すると良いでしょう。
提出書類の作成
確定申告書のほか、青色申告決算書、または収支内訳書なども必要です。
会計ソフトをつかう、あるいは確定申告書等作成コーナー(e-Tax)などを使用すると比較的スムーズに作成できるでしょう。
特に、青色申告特別控除65万円を利用するには電子申告が必要なため、税金を抑える意味でも、これらを使いこなすのがお勧めといえます。
確定申告の書類提出
書類が作成できたら確定申告書と必要書類を添付して提出します。
提出方法はいくつかあり、所轄税務署に送付するか、自身で受付に持参する、電子申告で提出するなども可能です。
電子申告を利用する方法もある
郵送や自身で税務署に持参するよりも、電子申告(e-Tax)が便利です。
距離や時間によらない、税務署の執務時間以外でも受付システムが稼動している時間であれば提出や納税ができる、といったメリットも得られます。
フリーランスの確定申告は節税に繋がることもある
会社員と違いフリーランスは自分で確定申告し、納税しなければならないため面倒に感じる方も少なくないでしょう。ただし、控除をうまく使うことで、課税所得を減らし、節税も可能となります。
そのため、正しい確定申告には日々の帳簿付けが大事だといえます。確定申告を上手に使って、上手に税金と付き合うようにしましょう。
初回公開日:2023年11月8日
監修:キャリテ編集部【株式会社エーティーエス】
株式会社エーティーエスが運営する本サイト「キャリテ」では、みなさまの「キャリア」「働く」を応援する記事を掲載しています。みなさまのキャリアアップ、より良い「働く」のために、ぜひ記事の内容を参考にしてみてください。
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