交通費は医療費控除の対象になる?6つのケースや申請手順を紹介
「医療費控除を受けようと思うけれど、この交通費は控除の対象になるのかな?」
「バスや電車って普段領収書がでないけど、領収書がなくてもいいのかな?」
「子どもの付き添いで病院に行ったけど、私の分の交通費も対象になる?」
医療費控除の対象になる交通費について、疑問がある人は多いでしょう。
本記事ではそのような人に向けて、医療費控除の対象になる交通費はどのように決められているのかを紹介しています。
記事を読んだ後には、どのような交通費が控除として認められるのかが理解できるようになります。また、医療費控除が受けられる条件や、医療費控除を申告する確定申告についても紹介しているため、対象になる人は確定申告にチャレンジしてみましょう。
目次
そもそも医療費控除とは?
その年の1月1日から12月31日までの間に、自己または自己と生計を同じくする配偶者やその他の親族のために支払った医療費が一定額を超えるときは、その医療費を基に下記に記載の計算式で算出された金額の所得控除を受けられます。これを医療費控除といいます。
年間所得の合計額が200万円以上の場合は、対象となる医療費の合計額が10万円を超えていないと医療費控除は使えません。
医療費控除の計算式は、「その年に支払った医療費の総額-保険金等で補填された金額-10万円」です。(所得の合計額が200万円未満の場合は、所得合計額の5%が医療費控除額になります。)
出典:No.1120 医療費を支払ったとき(医療費控除)|国税庁
交通費が医療費控除の対象か判断する6つのケース
医療費控除の対象となる、医療に関連する交通費について紹介していきます。
どの交通手段かで控除の対象になるかが一概に決まるわけではありません。交通機関を使った理由を明確にすることが重要になることを覚えておきましょう。
1:バスを使った場合
医師の診療等を受けるためのバスでの通院費は、医療費控除の対象になります。
バスを日常的に利用する場合には領収書は発行されないため、自分で利用日や行き先の病院など、交通機関名や支払った金額を記録しておき、申告の際に記載できるようにしておきましょう。
2:電車を使った場合
医師の診療等を受けるための電車での通院費は、医療費控除の対象です。
こちらもバスと同じように領収書は発行されないため、自分で利用日や行き先の病院など、交通機関名、実際に支払った金額を記録しておく必要があります。
また、通勤・通学用に定期券を所持している場合は、定期分の経路の交通費は医療費控除の対象外となるので注意しましょう。
3:タクシーを使った場合
タクシーを使った場合は、基本的に対象になりません。
ただし、病状からみて急を要する場合や、病院や保健施設等に収容されるために使用したタクシー代については、一般的に支出される水準を著しく超えない部分の金額は医療費控除の対象となります。
4:新幹線を使った場合
病状からみて近隣の病院でも治療可能とされる場合は、新幹線を使った交通費は対象となりません。
ですが、遠隔地の病院でなければ治療できない難病にかかった場合、主治医の指示により遠隔地の病院に紹介される場合があります。この場合の旅費は、原則として医療費控除の対象となります。
出典:遠隔地の病院において医師の治療を受けるための旅費|国税庁
5:飛行機を使った場合
飛行機を使った場合は、基本的には控除の対象にはなりません。
ただし、こちらも新幹線と同じく、遠隔地の病院でなければ治療できない難病にかかった場合、主治医の指示により遠隔地の病院の紹介を受けた場合は、原則として医療費控除の対象となります。
6:自家用車を使った場合
自家用車を使った場合、駐車場代やガソリン代、高速代などは基本的には対象になりません。
医療費控除の対象となる通院費は「医師等による診療等を受けるために直接必要なもので、かつ、通常必要なものであること」とされています。
この場合の通院費は、電車やバスを利用した際の人的役務の提供の対価として支出されるものです。そのため、自家用車での駐車場代やガソリン代の料金は、医療費控除の対象にはなりません。
付き添いの場合の交通費は医療費控除の対象になる?
患者に付き添った場合に発生した交通費については、患者の年齢や病状を考えた場合に、患者一人での通院が危険であると判断した場合は、患者の通院費以外に付添人の交通費(通院のために必要なもの)も医療費控除の対象になります。
ただし、入院している患者の世話のために母親が通院する場合など、患者と付添人が一緒に通院していない場合は医療費控除の対象となりません。
医療費控除の対象となる通院費は、医師等の診療を受けるために直接必要なものであり、通常必要になるものであることが条件のため、患者自身が通院するのに必要なものに限られるということを覚えておきましょう。
意外と幅広い医療費控除の対象になる交通費
医療費控除の対象となる交通費は、他にも医師の送迎費も対象となります。ただし、自家用車での送迎でかかったガソリン代や駐車場代は対象外です。
他にも、医療費控除の対象となる項目は意外に幅広くあります。どの場合も、治療に対して必要な処置を受けた対価や、療養のために必要である費用については控除が認められるものがあるため、交通費に限らず控除の対象になるかどうか調べてみることをおすすめします。
医療費控除の申請手順
交通費が医療費控除の対象になると分かっていても、実際に申告しない限り税金の還付はありません。
医療費控除は確定申告時に必要な書類を添付して申請することで、税金の還付を受けられることがあります。3月の確定申告に向けて準備ができるように、必要な書類を用意しておきましょう。
必要な書類を用意する
医療費の領収書をもとに「医療費控除の明細書」を作成して、確定申告書に添付して提出する必要があります。
国税庁のHPから医療費集計フォームをダウンロードすることができるため、そちらを使って明細書を作成すると良いでしょう。
また、医療保険者から交付を受けた医療費通知がある場合は、それを添付することによって医療費控除の明細書の添付を簡略化できます。
確定申告期限から5年間は医療費控除の明細書の内容に間違いがないかを証明するため、医療費の領収書(医療費通知を提出している場合は、医療費通知で記載されている情報は除く)の提出を求められることがあるため、領収書は5年間保管する必要があることを覚えておきましょう。
出典:No.1120 医療費を支払ったとき(医療費控除)|国税庁
確定申告書を作成して提出する
医療費控除の適用を受ける場合は、「医療費控除の明細書」を確定申告書に添付して所轄の税務署に届け出なければなりません。
国税庁のホームページの確定申告書等作成コーナーでは、「医療費控除の明細書」も「確定申告書」も作成できます。こちらで医療費控除の明細書を作成すると、自動的に確定申告書に反映されるので便利です。
利用した交通費が医療費控除の対象となるか確認してみよう
医療を受けるために支払った交通費が医療費控除の対象になるのかならないのか、ケース別に紹介してきました。
公共交通機関であれば医療費控除の対象になりますが、どの公共交通機関を利用したかを覚えておいて、申告の際に交通費を記載する必要があることに注意しましょう。
公共交通機関の利用でない場合や付き添いの場合でも、控除の対象となる場合はありますが、その手段を使う必要性があったのかを問われる場合があるため、理由付けをしっかりしておきましょう。
確定申告の直前に細かい交通費の詳細を思い出して記載するのはとても大変なため、医療費の領収書や交通手段のメモ書きなどは残しておき、医療費控除の対象となるか確認しておきましょう。
※初回公開日:2023年3月22日
監修:キャリテ編集部【株式会社エーティーエス】
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