「スキルや資格を活かせそうな企業だけど、給与の低さがネック」
「前職より手取りの額が下がってしまう」
「今までの年収や経験を考慮して、もう少し給与を上げて欲しい」
求人サイトのチェックや実際に転職活動を行っていると、このような悩みや疑問が湧いてくる場面も多いのではないでしょうか。

内定がもらえたり、自分の経験が活かせそうな企業を見つけたりした場合、給与面がネックで見送りとなってしまうのは残念に思う方もいるでしょう。そのような時、企業に給与交渉をしてみるという選択肢を取ることも可能です。

この記事では、転職時の給与交渉の方法やタイミング、交渉時の注意点などを詳しく紹介します。本記事を参考にすることで、給与交渉を成功させるコツやどれくらいの金額を提示すれば良いのかを、具体的に知ることができます。

企業への印象を悪くすることなく、十分に納得のいく条件で新しいビジネスライフをスタートできるように、ぜひ参考にしてみてください。

転職時の給与交渉はしても良い？

入社した後に給与交渉することは難しい場合が多いため、転職時に行っておくと良いでしょう。

面接時に希望の給与額がいくらかを採用担当に伝えることで、企業側の内定条件に影響を与えられる可能性があります。妥当な金額を提示するためにも、業種の給与水準や年収相場などの情報収集をしっかりと行ってから、交渉に臨みましょう。

転職時の給与交渉はいくらまで上げて良い？

給与交渉で一般的な給与水準よりも高すぎる額を要求してしまうと、企業にマイナス印象を与える可能性があります。

業界の知識が不足していると不信感を持たれたり、実際の能力よりも高いパフォーマンスを求められたりしてしまい、入社後に苦労するケースがあるためです。

ここでは、具体的な交渉金額を決めるためのポイントを説明します。

前提として業種の給与水準を参考にする

業界が違えば前職との給与水準に大きく差が出る場合もあるため、事前に希望業種の給与水準がいくらなのかしっかり確認しておきましょう。業界の水準を知らないまま交渉を始めると、事前リサーチが足りていないという印象を与えてしまいます。

業種別の平均給与金額については、国税庁や転職サービスなどのサイトで調べられるため、参考にしてみましょう。

自分の経験や実績に見合う額を提示する

希望業種の給与水準をきちんと確認した上で、今までに培った経験や実績などを＋αした現実的な金額を希望年収として提示しましょう。

あまりにも待遇面の希望ばかりを前面に出しすぎると、高収入ばかりが目的だという悪印象を与えたり、客観的な自己評価ができないと思われたりするため注意が必要です。

未経験からのキャリアチェンジの場合は難しい

企業はスキルや経験に見合った給与を設定するため、経験のない状態ではその人がどれくらいの戦力になってくれるのか未知数です。その状態で給与交渉をするのは、自分の立場を客観的に把握できていないという印象を与え、採用担当者の心象を悪くする可能性が高いでしょう。

特別にアピールできるような資格を持っている場合を除いて、未経験からのキャリアチェンジの場合は給与交渉をしない方が無難といえます。

転職の給与交渉のタイミングは？

企業が応募者に内定を出す段階では、すでに給与が決定している場合が多いため、その前に交渉をする必要があります。そのため、面接中か内定承諾前が良いでしょう。

また、面接時に給与規定について面接官から説明されたり、希望年収がいくらなのか聞かれたりする場合もあるため、そのタイミングで交渉を切り出すようにしましょう。

転職の給与交渉を成功させる9つのコツ

企業に給与交渉する場合、切り出し方やタイミングを間違えると採用担当者の心象を悪くしてしまう可能性があるため、注意が必要です。

ここからは、転職の給与交渉を成功させる9つのコツを詳しく説明していきます。

• できるだけ対面で交渉する
• 転職先の平均年収を調べておく
• 具体的な数字ではなく割合を提示する
• 希望年収の明確な根拠を伝える
• あくまで希望であり絶対条件ではないことを伝える
• 事前に許容できる最低ラインを決めておく
• 今より下がる可能性があることも考慮しておく
• 他社からのオファーがあることを伝える
• 転職エージェントに交渉を代行してもらう

1：できるだけ対面で交渉する

面接官の顔色を見ながらタイミングを計ったり、探りを入れたりすることができるため、できるだけ面接などの対面の場で交渉するのが望ましいです。

しかしその分、応募者である自分自身の態度などをチェックされやすいため、希望が通らなくてもがっかりして表情に出さないよう十分に気をつけましょう。

2：転職先の平均年収を調べておく

平均年収は業界や職種によっても幅があるため、給与交渉を行う前にあらかじめ転職先の平均年収がいくらなのか調べておくことも重要です。

前職を基準にしすぎると的外れの額を伝えてしまい、業界の知識が不足しているとマイナスに取られることがあるため注意しましょう。

3：具体的な数字ではなく割合を提示する

曖昧な上がり幅を言われた方がよりマイルドに相手に伝わり、交渉が受け入れられやすくなるため、給与交渉は具体的な数字ではなく割合で提示しましょう。

例えば現在の年収が500万円で、さらに550万円まで上げて欲しいならば、現状の10％の年収アップを希望したいというように伝えます。

4：希望年収の明確な根拠を伝える

ただやみくもに上げて欲しいと希望するだけの交渉は失敗する可能性が高いため、客観的で合理的な理由があることをアピールする必要があります。

前職で取得した資格や実績を活かして、企業に貢献できる人物であることを面接官に理解してもらうことが重要でしょう。

5：あくまで希望であり絶対条件ではないことを伝える

希望の年収がそもそもの企業の採用予算よりオーバーしていた場合、どんなに良い人材でも選考から外されてしまう可能性があります。

そのため給与交渉はあくまで希望程度で、給与面だけが仕事を決める条件ではないことをきちんと企業に伝えましょう。

まずは内定を取ることを目標として、企業への関心や仕事の内容が一番であることをアピールしましょう。

6：事前に許容できる最低ラインを決めておく

応募者としては、できる限り年収アップしたいでしょう。しかし、下限のラインを決めずに転職活動すると、給与以外の条件が合う企業から内定が出た場合に、なかなか踏ん切りがつかず、後悔するということもあります。

企業との給与交渉でも話がまとまりやすくなるため、事前に許容できる年収の最低ラインがいくらなのか決めておくようにしましょう。

7：今より下がる可能性があることも考慮しておく

交渉が成功して一時的に年収が上がっても、元々の能力よりも高いパフォーマンスを求められてしまい、結果的に期待通りの働きができない場合もあります。そういった際は、給与交渉して良い金額をもらえていたとしても、次第に給与が下がってしまうでしょう。

一時的な収入を追い求めすぎず、長い目で見て自分に合った企業を探すことも重要です。

8：他社からのオファーがあることを伝える

給与交渉には、アップしてもらうだけの具体的な材料が必要となります。その際にオファーがあることを伝えることで、複数の企業から望まれる優秀な人物であるとアピールすることができます。

また、他社からオファーがあることを伝えることで、交渉の判断材料にできるでしょう。

9：転職エージェントに交渉を代行してもらう

自分で直接企業に給与交渉することをハードルが高いと感じる場合は、転職エージェントに交渉を代行してもらうことができます。

転職エージェントは、求人の募集背景や業界の給与水準など詳しい知識を持っているため、応募者が個人で交渉するよりもスムーズに行く場合が多いです。

年収にこだわりがある場合、事前にキャリアアドバイザーに相談し、アドバイスしてもらいましょう。

履歴書に希望年収を書いても問題ないのか？

履歴書や職務経歴書だけでは応募者の良さが企業側に伝わりづらく、希望額によっては条件と合わないからと機械的に不採用にされてしまうケースがあります。そのため、履歴書の希望年収欄には、具体的な金額は書かない方が無難と言えるでしょう。

給与交渉を希望しており、企業側にもそれとなくその意向を伝えたい場合には「応相談」とだけ記載しておき、実際の対面で具体的な話をしましょう。

【ケース別】転職の給与交渉をする時の4つの事例

ここからは、転職の給与交渉をする時の事例をケース別に4つ紹介します。

選考時にはタイミングを見定めて、スムーズに給与交渉を切り出すことが重要です。ぜひ実際に給与交渉をする時の参考にしてみてください。

1：自分から給与交渉を切り出す場合

面接の最後で応募者からの質問がないかを聞かれることが多いため、そのタイミングで給与体系の質問を始めるのがスムーズな流れです。

その場合、いきなり給与交渉から始めてしまうと、収入にしか興味がなく、仕事自体への熱意が低いのではないかという印象を与えてしまいます。十分に企業や業務についての前向きな質問や熱意を伝えた後で、さりげなく切り出しましょう。

2：面接官から希望額を聞かれた場合

面接時に、面接官から希望年収がいくらかを聞かれる場合もあります。その際も、資格や前職での経験をどのように業務に活かすかを具体的に伝え、その上で希望額を提示するようにします。

あくまでも希望であり、最終的には企業側の規定に従うという謙虚な姿勢で臨むようにしましょう。

3：面接官から具体的な金額を提示された場合

面接官から具体的な金額を提示された場合でも、あくまでも相談であるという切り出し方で給与交渉を行うことは可能です。

しかし、年収テーブルを採用している企業の場合は、社員の等級によって年収があらかじめ決まっているため、交渉が難しいこともあります。

また、面接官は応募者の態度や表情をよくチェックしているため、提示された年収が希望にそぐわなくても、不満を表に出さないように注意しましょう。

4：メールで給与交渉をする場合

面接中に希望収入や給与体系の話がなかった場合、後からメールで給与交渉をするという手段もあります。

ただ、メールでは細かいニュアンスなどが伝わりづらいため、本来の意図とは違った受け取り方をされてしまうというリスクがあり、十分な注意が必要です。

内定後、条件などが提示されたタイミングで希望額と仕事に対しての熱意を簡潔に記載し、再考を依頼しましょう。

転職の給与交渉をする時にしてはいけないこと

転職の給与交渉をする時には、採用担当者に悪印象を持たれないために注意しておくことがあります。

例えば、内定が欲しいあまり希望額を低く見積もることや、いくらでも問題ありませんと答えてしまうと、スキルや能力が不足していて自信がないのではないかという印象を持たれ、むしろ逆効果になってしまうことがあるでしょう。

また、即戦力になれない未経験の業界・職種からのキャリアチェンジにもかかわらず前職と同等の金額を希望してしまうと、客観的な自己評価ができないというマイナス評価を下されてしまう可能性があります。

転職の際はいくらまで給与アップの交渉ができるか見極めよう

転職の際はいくらまで給与交渉ができるのか、ヒントを紹介してきました。

給与交渉のためには、会社に貢献できる人材であることのアピールや、あくまでも希望であり、最終的には企業側の規定に従うという謙虚な姿勢が重要です。

給与面が納得できないまま入社してモチベーションが下がってしまい、生活が行き詰まって再度転職するといった状況にならないように、納得のいく転職活動ができるように心がけましょう。