3年ちょうどで退職金は受け取れる?制度の確認方法や気を付けることも紹介
「退職金は3年勤務したら受け取れるの?」
「受け取れる退職金はどのように計算したらいいの?」
「退職金にかかる税金はいくら?」
会社を退職した時に受け取れる退職金について、このような疑問や不安を持っている人もいるでしょう。
本記事では、3年ちょうどの勤務でもらえる退職金の平均相場や、退職金、かかる税金の計算方法といった、退職金に関する基礎知識に加え、退職金が受け取れない時の対処法も紹介しています。
この記事を読むことで、退職金の計算方法や税金の計算方法、退職金を受け取る時の注意点を把握できます。その知識をもとに退職金の計算ができるため、安心して会社を辞めることができるでしょう。
退職しようかどうか検討している人は、ぜひこの記事を参考にしてください。
目次
3年ちょうどの勤務で退職金は受け取れる?
厚生労働省が公開している平成30年の「就労条件総合調査」によると、退職手当制度のある企業の中で、受給に必要な最低勤続年数を3年以上4年未満としている企業が多いという結果が出ています。
最低勤続年数が3年以上4年未満の割合は、会社都合の退職で42.2%、自己都合の退職で56.2%となっているため、3年以上勤務することで退職金を受け取れる可能性は高いでしょう。
企業年金と退職金の違い
退職金とは、勤めていた企業を退職した時に受け取れる給付金で、一括で支払われることが多いため、退職一時金と言われることもあります。
一方、企業年金とは、退職金を分割して受け取ることからスタートした制度で、退職者の老後の生活を支えるために企業が支給する年金のことです。
退職金と企業年金には、一括で支給されるか分割で支給されるかの違いがあるでしょう。退職金の代わりに企業年金を支給する企業もありますし、退職金と企業年金の両方を支給する企業もあります。
3年ちょうどの勤務でもらえる退職金の平均相場
退職金の額は、退職理由が自己都合か会社都合かにより変わるほか、学歴や企業の規模によっても変わります。
東京都産業労働局が発表した中小企業のモデル退職金によると、3年ちょうどの勤務でもらえる退職金の平均は以下の通りです。
自己都合の退職の場合、高校卒が18万4千円、高専・短大卒が21万円、大学卒が23万7千円、会社都合の退職の場合は、高校卒が28万円、高専・短大卒が31万2千円、大学卒が37万9千円となっています。
退職金制度を確認する方法
平成30年の「就労条件総合調査」によると、退職手当制度がある企業は全体の80.5%となっており、全ての企業に退職金制度があるわけではありません。
企業によって退職金制度に違いがあり、会社を辞める場合、まず退職金制度があるかを確認する必要があるでしょう。
ここでは、退職金制度を確認する方法について紹介していきます。
就業規則を確認する
就業規則は、その企業で働く社員が守るべき事項をまとめた、ルールブックのようなものです。退職金制度の有無は就業規則で確認できます。
退職金制度がある会社の場合は、就業規則の中に支給条件や支給時期などの詳細が書かれているため、一度確認してみましょう。
就業規則は社員であればいつでも閲覧できます。就業規則の閲覧を拒否されるようであれば、トラブルが起こる可能性があるため、注意しましょう。
人事や総務の担当者に確認する
就業規則で確認できない場合、人事や総務の担当者に確認する方法もあります。
人事や総務の担当者は退職に関する手続きに関わる機会が多いため、退職金制度について把握しているでしょう。そのため、他の人に尋ねるよりも人事や総務の担当者に聞く方が確かです。
ただ、退職金に関する質問をすると「退職するのでは」という疑念を持たれてしまう可能性があるため、「資産形成を考えている」などの理由をつけて聞くといいでしょう。
3年ちょうどの勤務で受け取れる退職金の計算式
ここでは、3年ちょうどの勤務で受け取れる退職金の計算式について紹介していきます。
退職する場合、事前に退職金をいくらもらえるのか、税金はいくらかかるのか知りたいという人も多いでしょう。
退職金の計算方法には、別テーブル制や定額制などの方法もありますが、ここではポイント制での計算方法を紹介していきます。
ポイント制での計算方法
ポイント制は、年齢、勤続年数、役職、職能などの評価要素をポイント化し、累計ポイント数にポイント単価を乗じて退職金額を決定する方法です。
能力や会社への貢献度が高いほど累計ポイントが高くなり、退職金も増加します。そのため、ポイント制の退職金は、実力や努力がきちんと反映される退職金制度だと言えるでしょう。また、勤続年数が新卒入社よりも少なくなる中途入社の人でも不利にならない退職金制度です。
税金の計算方法
給与と同じように、退職金には所得税や住民税がかかります。退職金は受け取る金額が大きくなるため、税金も高くなってしまうのではと心配する人もいるでしょう。
退職金は退職後の生活を支える重要な資金ですから、課される税金には分離課税や税制優遇といった負担を軽くする仕組みが取られています。そのため、課される税金を過度に心配する必要はないでしょう。
以下では、退職金に課税される税金の計算方法や受けられる控除について紹介していきます。
分割の場合の公的年金等控除額
分割して年金形式で退職金を受け取る場合、雑所得として扱われます。雑所得として扱われる退職金は、公的年金等控除の対象です。
65歳未満の人は年間60万円、65歳以上の人は年間110万円の控除枠が設けられています。1年間に支給された退職金と1年間に支給された公的年金とを合算した収入金額が控除額を超えない場合、税金はかかりません。
一括の場合の所得税
一括で退職金を受け取る場合、退職所得控除の対象です。退職金控除は勤続年数20年以下と20年以上とでは計算の方法が変わってくるので、注意しましょう。
勤続年数20年以下の場合は「40万円×勤続年数」で出された金額が控除され、勤続年数20年以上の場合は「800万円+70万円×(勤続年数-20)」で出された金額が控除されます。退職金の額が控除額を超えなければ課税されません。
sたとえば、3年ちょうどで辞めた場合は、40万円×3=120万円が控除されるでしょう。
出典:退職金と税|国税庁
退職金について気を付けること4つ
ここからは、退職金について気を付けることを4つ紹介していきます。
会社を辞めれば退職金をもらえると思っている人や退職金に関してあまり知識がないという人は以下で紹介する注意点をしっかり把握しておきましょう。
- 就業規則の条件で受け取れないこともある
- 在籍した期間が長いほど高くなる
- 金額は退職する理由で変わる
- 退職金制度のない企業もある
1:就業規則の条件で受け取れないこともある
退職金がどのような条件で支給されるかは企業により異なります。
5割程度の企業が退職金受給の最低勤続年数を3年以上4年未満としていますが「5年以上勤めた者に支給」というような規定を就業規則に設けている企業もあります。この場合、5年以下で辞めてしまうと退職金は受け取れません。
就業規則で規定された退職金に関する条件は企業によって異なるため、きちんと確認しておく必要があるでしょう。
2:在籍した期間が長いほど高くなる
企業に在籍した期間が長いほど退職金は高くなるということにも注意しなくてはいけません。
ポイント制のように在籍期間だけでなく実力や努力を評価して退職金額を決める計算方法もありますが、在籍期間が長い人の方が金額が高くなる計算方法を取っている企業の方が多いです。
短期間で辞めてしまうと受け取れる退職金の額が少なくなることを覚えておきましょう。
3:金額は退職する理由で変わる
退職金の金額は在籍期間だけでなく、退職理由によっても変わります。
転職などの自己都合の退職よりも、会社都合の退職や定年による退職の方が退職金額が高めに設定されているのが一般的でしょう。
4:退職金制度のない企業もある
前述したように、退職金制度はほとんどの企業が導入していますが、全体の2割の企業は導入していません。法律で退職金を支給しなければならないという規定はなく、支給するかどうかは企業が自由に決められます。
退職金制度がない企業を退職する場合、当然ですが退職金は支給されません。退職金を受け取れないと、転職する場合に問題になってしまう可能性もあります。自分の勤める企業が退職金制度を導入しているかは、入社前に確認しておいた方がいいでしょう。
退職金が受け取れない時の対処法3つ
退職金制度が就業規則などに明記されている場合や慣例的に支給されている場合には退職金の支払いの義務が生じます。
もし就業規則で明記しているにもかかわらず、退職金が支払われなかった場合、どのように対処したらいいのでしょうか。
以下では、退職金が受け取れない時の対処法を3つ紹介していきます。
1:競合の同業企業に転職する場合
企業の利益を守るため、競合の同業企業への転職を禁止する旨を就業規則に記載している場合があります。規定に違反した場合、退職金の減額や不支給とする規定を設けていることも少なくありません。
競合の同業企業に転職する場合、退職金がもらえないのか心配する人もいるでしょう。
退職金の不支給規定は、会社に多大な損害を与えるなど退職者に背信性があった場合にのみ適用されます。ただ単に競合の同業企業へ転職するだけでは、退職者の不利益が大きいため、無効と判断されることが多いでしょう。
2:退職金が未払いにされた場合
退職金が未払いにされた場合、一定要件を満たせば未払賃金立替払制度を利用できる可能性があります。
未払賃金立替払制度とは、企業が倒産し賃金の支払いが行われないまま退職した人に対して、未払賃金の一部を立替払する制度のことです。未払いの定期賃金と退職手当の8割(年齢による上限あり)の支払いを受けることができます。
退職金が受け取れない場合、未払賃金立替払制度を利用できないか調べてみましょう。
3:制度があるのに受け取れなかった場合
未払賃金立替払制度を利用できない場合、個別労働紛争解決制度を利用して解決を図りましょう。
個別労働紛争解決制度とは、労働者と事業主の間で起こった労働条件などのトラブルが自主解決できなかった場合に利用できる制度です。
総合労働相談センターでの情報提供や助言、都道府県労働局長による助言や指導、紛争調整委員会によるあっせんの3つの制度でトラブルの解決を図ります。
出典:個別労働紛争解決制度(労働相談、助言・指導、あっせん)|厚生労働省
3年ちょうどの勤務で退職金はもらえるのか確認しておこう
ここまで、退職金について紹介していきました。
退職金を受け取れる最低勤続年数を3年以上4年未満としている企業は5割程度で、そもそも退職金が出ない企業もあります。
3年ちょうどで辞めてしまうと勤続年数が浅いため、長く働いた人よりももらえる額は少ないです。そのため、3年ちょうどで会社を辞める場合は、もらえる退職金が少ないことを理解し、しっかり資金計画を立てて退職するようにした方がいいでしょう。
監修:キャリテ編集部【株式会社エーティーエス】
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