インボイス制度のメリットとは?注意点や対応するためにしておくことも紹介
「インボイス制度ってどんなものなの?」
「インボイス制度のメリットって?」
「インボイス制度にはどんなデメリットや注意点がある?」
このように、フリーランスとして働いている人や独立を検討している人の中には、インボイス制度について不安や疑問を抱えているという人もいるのではないでしょうか。
本記事では、インボイス制度の概要やインボイス制度のメリット・デメリットなどを紹介していきます。本記事を読むことで、インボイス制度とはどのようなものなのか把握することができるでしょう。
また、インボイス制度に対応するために準備しておくことも紹介するため、これから準備を始めようと考えている人も参考にできます。
インボイス制度について知りたい人は、ぜひ本記事を参考にしてみてはいかがでしょうか。
目次
知っておきたい「インボイス制度」
インボイス制度とは、適格請求書(インボイス)によって仕入税額控除を受けるための制度です。インボイス制度は正式名称を「適格請求書等保存方式」と言い、適格請求書は売り手が買い手に対して正しい適用税率や消費税額などを伝えるものです。
売り手側は、取引相手からの求めに応じてインボイスを交付する必要があります。買い手側が仕入税額控除を受けるためには、売り手から交付を受けたインボイスを保存する必要があります。
ここではインボイス制度の概要について解説していくため、ぜひ参考にしてみてください。
インボイス制度が導入される目的
インボイス制度に関して不安を感じている人の中には、どのような理由で導入されるようになったのかという経緯を知りたいという人も多いでしょう。インボイス制度が導入されることになった目的としては、益税を無くすこと、消費税を正確に把握することという2点が挙げられます。
ここでは、インボイス制度が導入される目的について詳しく解説していきます。
益税に関する問題を解消するため
インボイス制度導入の目的の一つに、益税に関するさまざまな課題を無くすという目的が挙げられます。益税とは、納税の免除や軽減などによって事業者の手元に残った消費税のことです。
益税には、免税事業者の場合は商品やサービスを販売することで得た代価に関する消費税を支払わなくて済むという問題や、易課税制度によって本来納付すべき税額よりも少なくなるなどの問題があります。
インボイス制度を導入することにより、このような問題を解消できるようになるでしょう。
出典:適格請求書等保存方式(いわゆるインボイス方式)の導入後における仕入税額控除方式―欧州等のインボイス制度を参考に―|国税庁
消費税額などを把握しやすくするため
2019年10月に消費税が引き上げられましたが、軽減税率制度により消費税には8%と10%が混在することになりました。そのため、納税額を正しく計算するには税率ごとに分けて計算する必要があります。
インボイス制度には、商品の価格や税率が記載されているインボイスを使用することで、複雑化した計算をわかりやすくしたいという目的があります。
免税事業者と課税事業者について
消費税は、課税売上高が1,000万円以下の場合に納税義務が免除されます。そのため、事業者は売上高が1,000万円に満たない免税事業者と課税事業者に分けることができます。
しかし、インボイス制度が導入されることで免税事業者が取引相手から適格請求書を求められた場合、免税事業者のままではインボイスが発行できません。
このように、インボイス制度を正しく理解するには、免税事業者と課税事業者について理解しておく必要があるでしょう。
インボイス制度によって得られるメリット
インボイス制度はフリーランスや個人事業主にとってのデメリットが大きく取り沙汰されていますが、本来は請求処理などの業務を効率化できる制度です。
インボイス制度にはメリットも多く存在しているため、事業者としてはどのようなメリットがあるのかきちんと把握しておくことが大切です。
ここでは、インボイス制度によって得られるメリットを紹介していきます。
- 電子インボイスによって業務効率化やペーパーレス化できる
- 在宅勤務でも請求業務ができる
- 海外の取引にも対法できる
- 新しい取引先を増やすチャンスが広がる
電子インボイスによって業務効率化やペーパーレス化できる
電子インボイスとは、電子データで作成された適格請求書を指します。インボイス制度では電子データでの適格請求書の交付・保存も可能であるため、電子インボイスに対応することでペーパーレス化につながるでしょう。
電子インボイスの場合、紙の請求書の発送や保管を行う必要がなくなるため、業務効率化にも繋がります。
在宅勤務でも請求業務ができる
これまでの請求書業務は在宅での対応が難しい面がありました。しかし、インボイス制度では電子インボイスも可能であるため、電子化することによって在宅勤務での対応も可能になります。
さまざまな経理業務の中でも請求書に関連した業務が在宅勤務できるようになれば、経理担当者もテレワークでの勤務がやりやすくなるため大きなメリットがあると言えるでしょう。
海外との取引にも対応できる
インボイス制度での日本国内の電子インボイスの仕様は、「Peppol」と呼ばれるグローバルな規格に準拠しています。Peppolは取引の受発注、請求の際に使用する電子文書の文書仕様やネットワーク規格、運用ルールなどの標準規格です。
そのため、電子インボイスに対応することで海外取引にも対応できるようになるというメリットがあります。
新しい取引先を増やすチャンスが広がる
免税事業者と取引を行っている買い手は、インボイス制度導入によって仕入税額控除を受けられなくなるため、納税額が増加してしまいます。そのため、取引先を失ってしまうリスクもあるでしょう。
しかし、適格請求書発行事業者になれば取引を継続してもらえる可能性が高いです。さらに、仕入税額控除を受けられる事業者として新しい取引先を増やすことも可能になるでしょう。
インボイス制度によって発生するデメリットや注意点
ここまで紹介した通り、インボイス制度にはさまざまなメリットがあります。しかし、インボイス制度にはデメリットもあるため、事業者としてどのようなデメリットがあるのかも把握しておく必要があるでしょう。
ここでは、インボイス制度によって発生するデメリットや注意点について解説していきます。
経理業務が煩雑化したり手間が増えたりする
インボイス制度では請求書の記載事項が増えるため、請求書のフォーマットを変更しなければならない可能性があります。また、仕入税額控除適用のための要件も変わるため、経理業務も煩雑になるでしょう。
他にも、インボイス制度では従来の割戻し計算だけでなく積上げ計算が選択できるようになるため、計算方法が変わる可能性もあります。このように、インボイス制度によって新しく業務が追加されることになるため、経理担当者の負担が増してしまうというデメリットがあるでしょう。
個人事業主などは仕事相手が探しづらくなる場合がある
個人事業主などの免税事業者は、買い手側が適格請求書の交付を求めても発行することができません。そのため、仕入税額控除を受けたい取引先が取引をしてくれなくなる可能性があります。
個人事業主やフリーランスの場合、収入が減少してしまうリスクがあると言えるでしょう。
免税事業者と仕事をする場合仕入税額控除が減額する場合がある
取引先の事業者が免税事業者の場合はインボイスの交付ができないため、買い手側は仕入税額控除を受けられません。そのため、買い手側にとっては仕入税額控除額が受けられなくなり、消費税の控除額が減額するというリスクがあります。
買い手側がこれまでのように仕入税額控除を受けるためには、取引先の事業者に適格請求書発行事業者になってもらう必要があります。しかし、取引先の事業者には消費税の納税義務が発生するため、フリーランスなどの個人事業主には負担が大きいと言えるでしょう。
インボイス制度に対応するためにしておくこと
インボイス制度の導入が始まる前に、事業者としていくつか行っておかなければならない準備があります。ここでは最後に、インボイス制度に対応するためにしておくことを紹介していきます。
適格請求書発行事業者の登録をする
インボイス制度で適格請求書を発行するためには、事前に適格請求書発行事業者の登録を行っておく必要があります。適格請求書発行事業者の登録を行う場合は、登録申請書を記載してインボイス登録センターに提出しましょう。
出典:[手続名]適格請求書発行事業者の登録申請手続(国内事業者用)|国税庁
経理業務や請求書の見直しをする
インボイス制度での適格請求書では、税率ごとに合計した対価の額や適用税率、税率ごとの消費税額などを明記する必要があります。また、書類のフォーマットが変わるため、経理業務も煩雑化するでしょう。
そのため、これまで使っていた請求書のフォーマットや経理業務の見直しが必要です。
インボイス制度のメリットやデメリットを確認しておこう
インボイス制度とは、益税に関する問題の解決や消費税額の把握などを目的に導入される制度です。メリットも多いですが、手続きが煩雑になる、個人事業主は取引先が見つかりにくくなるなどのデメリットもあります。
ぜひ本記事で紹介したインボイス制度の概要やインボイス制度によって得られるメリット・デメリットなどを参考に、インボイス制度について理解を深めてみてはいかがでしょうか。
※初回公開日:2023年3月29日
監修:キャリテ編集部【株式会社エーティーエス】
株式会社エーティーエスが運営する本サイト「キャリテ」では、みなさまの「キャリア」「働く」を応援する記事を掲載しています。みなさまのキャリアアップ、より良い「働く」のために、ぜひ記事の内容を参考にしてみてください。
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