メーカーとは?顧客層の種類・仕組みの分類・職種などを理解しよう
「転職を検討しているものの、どんな業界があるのか分からない」
「メーカー業界について詳しく知りたい、どんな仕事があるんだろう?」
転職活動中に、このような疑問が浮かんだことはありませんか。
この記事では、メーカー業界への転職を考えている人のために、メーカーとは何か、どのような種類があるのか、募集している職種は何か、この業界に転職するメリットやデメリットは何かを解説しています。
これを読むことで、メーカー業界の基礎について理解を深められる他、業界全体の近年の動向や、企業の傾向や自分との相性を知るためのポイントも知ることが可能です。
転職のために色々な業界の情報を集めたい方、メーカー業界について詳しく知りたいという方は、ぜひ読んでみてください。
目次
メーカーと商社の相違点とは?
メーカーとは、製品となるモノを生産して販売する企業です。「製造業」とも呼ばれています。作るモノの種類や工程ごとに業界の種類が分かれており、様々な規模の企業があるのが特徴です。
メーカーと商社は、どちらも製品を販売しているという共通点があります。しかし、商社では製品の生産までは行っていません。
仕入れた材料や部品から自社で製品を作って販売するのがメーカーの仕事です。一方、仕入れた商品をそのまま販売する「流通の仲立ち」が商社の仕事になります。
つまりは、販売する商品を自社で生産しているかどうかがメーカーと商社を分ける大きな違いであると言えるでしょう。
メーカー業界の動向
メーカーへの転職を目指すならば、近年の動向やトレンドは押さえておきたいところでしょう。ここでは、そんなメーカー業界の動向を5つご紹介します。
メーカーに求められる消費者からの要望や、解決すべき課題は年々複雑化し高度になっています。その分、技術面での進化や変革が促進されていくことが予測されるため、その動向は注目することがおすすめです。
1:製品販売後も新規事業の開拓がされている
これまでメーカー業界では、生産した製品を売った時点でビジネスとしては完結していました。しかし、それでは販売した製品から継続的な利益は得られません。
そこで、近年では一度販売した製品に対する様々なサービスを提供し、販売後も継続的な利益を得られる仕組みを取る企業が増えています。自社の製品における特性を利用したサービスを長期に渡って提供することで、顧客との接点を持ち続けるねらいがあるのです。
2:ブランド化や差異化が進んでいる
各メーカーから新製品が出るスピード感は、年々上昇傾向にあります。そのため、ひとつの製品に対する話題性が下火になるのも早いです。
そこで、製品のライフサイクルを長期化するため、+αのブランド価値を付ける製品開発が行われています。モノに付随したサービスの展開や、商品の背景へのストーリー付けなど、他社の競合製品との差別化を進めるのがねらいでしょう。
3:オープンイノベーションを推進している
オープンイノベーションとは、製品開発や技術及び組織の改革を、自社以外の組織が持つ知識や技術を取り込んで行うことです。これには、他の機関との交流を通して新しい発想が生まれるのを促すねらいがあります。
メーカーでは、特に他の企業や研究機関と提携した商品開発をする企業が多いです。
消費者ニーズの多様化に対応するため、また技術革新のスピードに合わせて開発にかける時間を短縮したいという目的のもと、このオープンイノベーションを推進する企業が増えています。
4:グローバルニッチを目指している
国内市場向けの製品だけでなく、国際的な市場の開拓も試みられています。グローバルニッチの商品として、最初から海外で商品展開することを視野に入れた商品開発が行われているのです。
また、生産拠点を海外に移して製造コストを下げる、生産性の高い製造ラインのプロデュースを海外で行うなど、今後も海外との関わりは増えていくでしょう。
5:AIやIoTの導入が進んでいる
近年、特に顕著なのが、IT技術を取り入れた製品開発です。AIやIoTといった先端技術を導入し、製品作りやサービスの提供に活用する企業が増加しています。
AI技術を利用すれば、工場の生産ラインを自動化することができ、その分人材リソースを研究開発に回すことが可能です。効率的な製品開発のために、機械を使った「分業」が進んでいるとも言えます。
IoTとは、「Internet of Things」の略称で、家電などの製品がインターネットと接続されている状態を指します。これにより、購入者へ生活に必要な情報を提供したり、製品の使用状況をメーカー側に送信したりして持続的なサービスの展開に役立てようとしているのです。
IT技術を用いた製品開発は、今後も加速していくでしょう。
メーカー業界の顧客層の種類
メーカーの顧客には、大きく分けて2通りの種類があります。それは、個人と企業です。
このどちらを相手取るかによって、メーカーの知名度は大きく異なります。しかし、知名度が低くても確かな技術を持っているメーカーも多いです。顧客の違いをもとに今まで知らなかった業界のメーカーについて調べてみることで、思わぬ発見もあるでしょう。
BtoC型の特徴
BtoCとは「Business to Customer」の略称です。通常の消費者向けの製品を作っている企業がこれにあたります。
一般に流通している商品の生産を担当しているため、製品や会社自体の知名度が高いです。生産しているモノのイメージもしやすいため、就活や転職における人気の高い企業になります。
BtoB型の特徴
BtoBとは「Business to Business」の略称です。企業相手の取引が主な企業を指し、素材メーカーや部品メーカーの大部分を含みます。
一般的な個人消費者向けの商品展開ではないため、知名度は高くない場合が多いです。その一方で、特定の分野に秀でているため「この企業にしかない製品」で世界レベルのシェアを誇ることもあります。
メーカーの仕組みから分類されるもの
メーカーは、生産の過程で担う工程によっても分類できます。主な工程は、素材の生産、部品の製造、最終的な製品の組み立てです。原材料に近い方を上流工程、製品に近い方を下流工程と呼称します。
どの工程を生業にするかにより、取引先の性質や企業の知名度も変化するのです。
1:総合メーカー
総合メーカーとは、素材の生産から最終的な製品の製造まで、すべての工程を自社内で完結させるメーカーのことです。
化粧品や医薬品のメーカーに多く見られます。主なビジネスモデルはBtoCであるため、知名度が高いのが特徴です。
2:上流工程・素材メーカー
素材メーカーとは、鉱石や木材など、原材料となる物品から製品の素材を作るメーカーを指します。
鉄、ガラス、紙、セメント、化学素材や繊維などを扱っており、その多くが受注生産です。そのため、ほとんどの企業がBtoBのビジネスを行っています。
3:中流工程・部品メーカー
部品メーカーとは、素材を加工して製品の一部となる部品を製造するメーカーのことです。
多くは機械の部品を扱います。大手自動車会社の系列企業など、固定の取引先がある企業がほとんどです。
4:下流工程・加工メーカー
加工メーカーとは、素材や部品を使って最終的に流通する製品を作るメーカーです。
広告や店頭で一般的に知られる製品を作っているため、知名度が高い企業が多くあります。自動車、家電、食品、アパレルなど、生活に直接関わる製品が多いです。
メーカー業界に存在する職種8つ
メーカー業界と言っても、携わる人の職種は実に様々です。実際に商品を生産する人、商品化の前に研究をする人、完成した商品の流通を助ける人などがいます。
どの職種も、その企業の商品をより良くし、広く手に取ってもらうために重要な存在です。ここでは、メーカー業界に存在する職種について詳しく見ていきましょう。
1:生産管理業
生産管理業は、工場での商品生産に関わる仕事です。製品の生産計画に沿って、品質や生産量を管理し出荷までを見守ります。
また、市場の動きや需要に合わせて生産のスケジュールを策定するのも生産管理の業務の一部です。
2:営業
メーカー業での営業職とは、自社商品の売り込みをする仕事です。上・中流工程の企業ならば顧客企業に、下流・総合メーカーならば商社や小売チェーンに営業をかけます。
既に取引が成立している相手の他、新規の販売ルートを開拓して商品流通の幅を広げていくのもひとつの役目です。
3:研究開発業
研究開発業とは、商品の生産に関わる技術の研究や開発を行う職種です。新製品の開発や、既存の製品の改良を行っています。
その性質上、商品企画部門と連携して業務を進めることも多いです。メーカーの技術を支える屋台骨の一部であると言えるでしょう。
4:商品開発や企画業
新製品の開発に関わるのが開発・企画の職種です。マーケティングにより調査・分析した市場の動向から、新しい製品の企画提案や、既に販売している商品の改良を模索する仕事になります。
メーカーの中でも花形と呼ばれ、人気が高い職業です。
5:宣伝・広報業
自社製品の宣伝のために、様々なメディアを通して活動するのが宣伝・広報業です。その目的は、企業そのものや生産している製品の魅力をより多くの人に知ってもらうことにあります。
従って、イメージアップのための広報戦略を組み立てることが仕事のひとつと言えるでしょう。
6:資材調達業
製品を生産するために欠かせないのが、資材調達の仕事です。自社製品の生産に必要な原材料の買い付けを行うのが主な業務になります。
国内だけでなく、海外の市場から仕入れる場合も少なくありません。また、商社と連携して買い付けを行うこともあります。
7:生産管理・品質管理・メンテナンス業
商品の製造工程において、トラブルや不具合が起きるのを防ぐために細かい検査やラインの点検・整備を行うのが管理・メンテナンス系の仕事です。もしも不具合が起きてしまった場合は、原因を解明して再発防止に努めます。
メンテナンスに関わる業務では、工場内の機器類を管理しているため、特に専門的な分野を扱う仕事であると言えるでしょう。
8:基礎研究業
多くの各種メーカーが力を入れているのは、基礎研究の分野です。10年後、20年後といった長期スパンでの製品化を目指して、新技術の開発や研究を行っています。
国や大学の研究機関といった外部との提携も多い仕事です。また、食品や医薬品、自動車メーカーといった個別の業界にまたがって最先端の分野を研究する仕事でもあります。
企業を含めた社会全体の将来的な発展に貢献したい人に適した仕事であると言えるでしょう。
メーカー業界へ転職するメリット
人々が生活していく上で、メーカーが製造する様々な製品は欠かすことができません。そのため、メーカーには転職するメリットがたくさんあります。
また、安定性以外にも技術面などで学ぶことが多いという利点もあるでしょう。ここでは、メーカーに転職するメリットを4つご紹介します。
- 労働環境が良い
- 安定性がある
- 最新鋭の技術を目にすることができる
- マーケティングの知識が身に付く
1:労働環境が良い
メーカー業界に転職するメリットのひとつとして、労働環境が比較的良いことが挙げられます。メーカー業界は、労働組合の力が強い場合が多いです。特に、知名度の高い大手企業であるほどその傾向は高まるでしょう。
労働組合が強ければ、昇給やボーナス増額など給与面での交渉や、休日の増加など待遇改善への要求が通りやすくなります。よって、メーカー業界はホワイト企業率が高いのです。
2:安定性がある
メーカー業界は、基本的に経営が安定している企業が多いです。その企業が生産している商品が求められ続ける限り、企業自体も存在し続けると言えるでしょう。
特に、下流に向けて素材や部品を提供している上流メーカーほど安定性が高い傾向にあります。下流のひとつのブランドが倒れることがあっても、他に製品を供給する取引先があるためです。
BtoBの取引を行っているメーカーは、経営面での安定性が高いと覚えておくと良いでしょう。
3:最新鋭の技術を目にすることができる
消費者から必要とされ続けるために、メーカーは常に最先端の技術を研究しています。特に、日本のメーカーは国内でのモノづくりのほとんどを担っており、屈指の技術力を誇るのです。
海外メーカーの製品においても、その部品が日本製であるなど世界の中でも日本の技術は高く買われています。そういった国内の技術力を目の当たりにできるというのは、大きな魅力であると言えるでしょう。
4:マーケティングの知識が付く
生産した製品を売り込むためには、マーケティングの技術が必要です。メーカーでは、近年特にマーケティングに力を入れる傾向が強まっています。
そのため、市場や消費者の動向を調査・分析するノウハウを積み重ねている企業も多いです。メーカーに就職し、企画開発や生産管理に関連する部門に入れば、そういったマーケティングの技能を身につけることができるでしょう。
メーカー業界へ転職するデメリット
メーカーへ転職するということは、良いことばかりではありません。長年存続している企業が多く、技術力が高いからこそ発生し得るデメリットが存在します。
ここからは、メーカー業界に転職する際に懸念されるデメリットを3つご紹介します。
- 努力や成果が評価されにくくなる可能性がある
- 技術に偏りすぎな企業がある
- 年功序列の影響が残った企業がある
1:努力や成果が評価されにくくなる可能性がある
メーカーでは、社員の待遇自体は安定しているものの、急激に給与が上がるということは少ないです。つまり、仕事にかけた努力や労力、得られた成果というものがボーナスなどに反映されにくいという側面があります。
自分の仕事次第でどんどん稼ぎたい、という気持ちがある人には向いていない業界でしょう。
2:技術に偏りすぎな企業がある
今でこそマーケティングに力を入れる企業が増えてはいるものの、もともとメーカーは技術力を重視しがちな傾向があります。そのため、マーケティング分野を軽視する企業も未だ少なくありません。
良いモノさえ作れば相応の評価が得られる、という考えで広報やマーケティングを怠る企業も存在します。その企業のマーケティング部門が名前ばかりで形骸化していないかどうかは、実際に入社してみるまで分からないという不安が残るのです。
3:年功序列の影響が残った企業がある
メーカーの技術力が高く経営面での安定性が高いのは、長年操業し培ってきた経験があるためです。言い換えれば、企業風土や経営理念においては昔ながらの日本企業らしい特徴が残っている面が多くあります。
年功序列の影響が色濃く若手の発言権があまりない、という部分はその最たるところでしょう。その他にも、閉鎖的な環境で固定観念が根強い企業も存在するため、上の世代とのコミュニケーションにおいては特に注意が必要です。
転職する際にメーカーの特徴を把握する方法
メーカーは、その業界や取引先、工程など様々な要因によって仕事内容が多岐に渡る存在です。転職する前には、仕事内容や企業の求める人材像が自分とマッチしているかどうかをしっかり確認する必要があります。
まず、その企業が作っている製品が何かを把握しましょう。どの工程にあたる製品なのかを調べるのも重要です。また、どこから材料を仕入れているのかも知っておくと良いでしょう。
次に、その企業が製品を販売している顧客層がどこなのかを知る必要があります。他のメーカーに素材や部品を提供しているのか、商社や小売業者に製品を卸しているのかなどの確認です。
また、国内で完結しているのか海外にまで事業を展開しているのかによっても求められる仕事は変わってくるでしょう。
最後に、その企業にとって強みとなる技術は何かを調べます。企業独自の「他にはない技術」が存在しているかどうかは、メーカーに転職する上で重要な条件と言えるでしょう。
メーカーとは様々な職種がある業界ということを知っておこう
監修:キャリテ編集部【株式会社エーティーエス】
株式会社エーティーエスが運営する本サイト「キャリテ」では、みなさまの「キャリア」「働く」を応援する記事を掲載しています。みなさまのキャリアアップ、より良い「働く」のために、ぜひ記事の内容を参考にしてみてください。
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