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個人事業主でも従業員を雇える!必要な5つの手続きやメリット・デメリットを紹介

個人事業主でも従業員を雇える!必要な5つの手続きやメリット・デメリットを紹介

「個人事業主」という名称から、たった1人で事業を営む人のことを指していると思い込んでいる方も少なくないでしょう。個人事業主であっても、自分以外の従業員を雇うことは可能です。自分だけではさばけない仕事量に広がった場合は、従業員を雇うことを検討することになるでしょう。

ただし、従業員を1人でも雇うと事業主として複数の手続が必要になるため注意が必要です。本記事では、個人事業主が従業員を雇うときに必要となる手続きや、従業員を雇うことのメリットやデメリットを解説しています。

本記事を一読すれば、自分一人の場合と従業員を雇う場合の営業状況をイメージできます。雇用主となる状態をイメージできていないという方は、記事の解説を参考に、自分が雇用主となった状態をシミュレーションしてみましょう。

個人事業主が従業員を雇うために必要な5つの手続き

個人事業主が従業員を雇うために必要な5つの手続き

個人事業主が従業員を雇うことを決めた際、欠かさずに行わなければならない手続きが5つあります。ここでは「労働条件の通知」「社会保険の手続き」「労働保険の手続き」「税務署への届け出」「源泉徴収の準備」という5つの手続きについて見ていきましょう。

1:労働条件を通知する

従業員を雇うときは、賃金や労働時間など、従業員がこれから働くために知っているべき条件を通知する必要があります。雇用する従業員に対し「労働条件通知書」を作成して明示しなければなりません。

労働条件通知書として明示すべき内容とサンプルは、厚生労働省のホームページで公開されているため活用しましょう。

出典:労働基準法の基礎知識|厚生労働省(PDF)

2:社会保険の手続きをする

健康保険や介護保険、厚生年金保険など「社会保険」については、個人事業主として手続きが必要な場合と不要な場合があります。

個人事業主でも社会保険の手続きが必須となるかは、業種と雇用する従業員の人数に依存します。社会保険適用が必須ではない個人事業主も、従業員の雇用をきっかけに手続きをすることも可能です。必須となるのは一定の業種で5人以上の従業員を常時雇用する場合です。

出典:適用事業所と被保険者|日本年金機構

3:労働保険の手続きをする

労働保険の加入手続きは、従業員を1人でも雇う場合には必須となります。従業員がアルバイトやパートなどであっても、雇用主となる個人事業主は労働保険料を支払わなければなりません。

労働保険とは、雇用保険と労災保険の総称です。雇用保険は、パート・アルバイトの場合は、所定の勤務日数や時間を満たす従業員のみが適用対象となります。

個人事務所を管轄する労働基準監督署への「保険関係成立届」の提出と、公共職業安定所への「雇用保険適用事業所設置届」「雇用保険被保険者資格取得届」の提出が必要です。

出典:労働保険とはこのような制度です|厚生労働省

4:税務署への届け出をする

従業員を雇った場合、給与に応じた納税額をあらかじめ差し引いて給与を支払う「源泉徴収」が義務とされています。従業員を雇用してから所定の期間内に「給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書」を税務署へ提出しなければなりません。

臨時で家族を雇ったような場合でも、給料を支払う以上は必要になる手続きとなるため覚えておきましょう。

出典:No.2502 源泉徴収義務者とは|国税庁

5:源泉徴収の準備をする

源泉徴収は初回の給与から発生するため、準備を速やかに行っておくことが必要です。源泉徴収税額は、国税庁発行の「給与所得の源泉徴収税額表」をもとに算出します。

源泉徴収すべき金額は、従業員の家族構成によって算出方法が異なるため、従業員に「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を提出してもらっておくことが必要です。

源泉徴収の納付期限については、従業員数によって特例を認めてもらえます。該当する場合は「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」を税務署へ提出しておくことが必要です。

出典:令和4年分 源泉徴収税額表|国税庁

出典:[手続名]給与所得者の扶養控除等の(異動)申告|国税庁

出典:源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請|国税庁

個人事業主が従業員を雇うことで得られるメリット

個人事業主が従業員を雇うことで得られるメリット

従業員を雇うと何かと手続きが大変そうだ、自分一人でがんばった方がむしろ楽なのではないか、と従業員を雇うことに後ろ向きな考えになってしまった人もいるのではないでしょうか。

しかし、従業員を雇うための面倒な手続きを経てでも、従業員を雇うべきと考えを改めるようなメリットも確かに存在します。ここでは、個人事業主が従業員を雇うことで得られるメリットについて見ていきましょう。

  • 事業拡大につなげることができる
  • 事務的な作業を任せることができる

事業拡大につなげることができる

個人事業主として一人でがんばっていても、一人でできる仕事量には限界があります。事業を広げていきたいのであれば、従業員を雇うことも必要です。

個人事業主である自分と同じ仕事はできなくても、従業員を適材適所に配置して業務分担できれば、一人で消化できる業務の何倍もの業務を捌くことができます。

事務的な作業を任せることができる

特殊な知識や技術を必要とする仕事の場合でも、電話番や事務作業、経理作業などを従業員に振り分けることはできるでしょう。

個人事業主でなくてもできる仕事については、従業員に振り分けて個人事業主の業務負担を減らし、個人事業主は本業に集中することができます。個人事業主が本業に集中できれば、業務拡大につながることも期待できます。

個人事業主が従業員を雇ったときに考えられるデメリット

個人事業主が従業員を雇ったときに考えられるデメリット

事業拡大のためには、従業員を雇うことは欠かせないともいえますが、従業員を雇うデメリットも存在します。目標とする事業拡大の規模と従業員を雇うことのメリット・デメリットを合わせて検討し、従業員を雇うのか一人でがんばり続けるのか判断する必要があります。

ここでは従業員を雇うことのデメリットについて見ていきましょう。

保険料の負担が増える

従業員を1人でも雇うと労働保険料を負担しなければなりません。雇用人数が増えると社会保険料も負担することになります。

雇用している従業員の働きと、負担すべき保険料の金額が見合わないと考える場合は、負担すべき保険料が最小になるよう雇用調整してみることも1つの方法です。

社会保険料を負担する必要がない人数に抑えたり、保険料の負担が最小となるような日数・時間で勤務してもらったりなどの調整が可能です。

採用面接や手続きなどの手間が生じる

従業員を雇うために必要な採用面接や採用の手続きには多くの時間と労力が必要です。従業員のあてがあらかじめあるような場合は、信頼できる人を簡単に雇うこともできますが、一般的には募集して面接過程で人物を選ばなければなりません。

採用過程で手を抜いてしまうと、従業員に期待していた作業量を消化してもらえない危険も伴います。間違った選択をしてしまった場合でも、簡単に辞めさせることはできません。

個人事業主が従業員を雇う方法

個人事業主が従業員を雇う方法

従業員を雇おうと決めた場合、従業員をどのように募集すればよいのか、最善の道がわからないという方は多いでしょう。

テレビコマーシャルでもよく見かける「採用サイト」や、旧来から職業安定所として知られていた「ハローワーク」などを思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。また、自社のホームページで募集できないものかと考える方もいるでしょう。

ここでは、従業員を募集する3つの方法について見ていきます。

求人サイトを利用する

インターネットが浸透し、Webサイトで求人を探す応募者も増えています。求人サイトに求人を掲載しておけば多くの求職者に求人を目にしてもらえます。

自ら求人サイトをわざわざ作成するのは、個人事業主やフリーランスにとって費用対効果が見合わないのではないかと考える場合、無料の求人サイト、サービスを利用することも可能です。

ハローワークを活用する

ハローワークは求職の場として国民に浸透しており、仕事を求める多くの人が訪れる場です。現在ではハローワークに足を運ばなくても、簡単にネット検索で募集企業と募集要件・内容を確認できる仕組みになっています。

掲載は無料なので、初めて従業員を採用するときは公的機関であるハローワークを活用してみるのもおすすめです。

自分で採用サイトを作成する

継続的に採用を行っていく予定の場合は、採用サイトを作成してみましょう。採用サイトを作成しておけば、自分なりのこだわりを持った内容を掲載することもできます。

Webサイトを作成するといっても特別なIT知識は必要なく、採用サイト作成ツールを使って簡単に作成することもできます。

個人事業主が従業員を雇うときに知っておくといいこと

個人事業主が従業員を雇うときに知っておくといいこと

個人事業主やフリーランスとして従業員を雇うことを考え始めたら、従業員を雇うことのメリットやデメリットの他にも意識しておきたい事項があります。

ここでは、従業員を雇うときに知っておきたいポイントについて解説していきます。従業員を雇うことが事業運営にできるだけプラスになるよう、ぜひとも覚えておいてください。

家族を従業員として雇う方法もある

個人事業主やフリーランスの場合、人手が足りなくなったときにまず家族や親せきなど身近な人に手伝ってもらおうと考える方も多いでしょう。家族を従業員として雇う場合でも従業員を雇うための手続きは必要になりますが、採用に費やす労力を省くことができます。

家族の中でも収入が少ない者を従業員として雇用すれば、事業専従者という扱いになり、「青色事業専従者控除」を受けることもできます。「青色事業専従者控除」を受けるためには青色申告による確定申告が必要です。

場合によっては法人としての起業を検討することもできる

個人事業主やフリーランスのまま仕事をしていくのではなく、将来的に法人化したいという目標を持っている方も少なくないでしょう。従業員を雇えば売り上げアップが見込まれ、法人化が視野に入る可能性も高まります。

従業員を雇うときは、法人化を見据えて、従業員を雇うための手続きや採用サイト、屋号・商号を整えておけば、スムーズに法人に移行していけます。

個人事業主が従業員を雇う際にすべきことを知っておこう

個人事業主が従業員を雇う際にすべきことを知っておこう

個人事業主やフリーランスとして働いている段階では、事務処理から営業まですべて一人で行わなければなりませんが、従業員を雇い入れることで状況が一変します。

わずらわしい手続きも必要となり、面倒に感じることもあるでしょう。しかし事業を拡大したいのであれば、必要な作業ともいえます。従業員を雇い入れるときに必要な手続きや作業を理解し、スムーズに進められるようにしておきましょう。

初回公開日:2024年3月29日

監修:キャリテ編集部【株式会社エーティーエス】

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