目次
はじめに:春、新しい一歩と共に生まれる“期待と不安”
4月から5月にかけて、多くの企業で新しいチーム体制がスタートします。
新入社員や配属異動、派遣社員の受け入れなど、チームにとって変化が多いこの季節。
“希望”と同時に“戸惑い”や“緊張”が入り混じる時期でもあります。
この時期のメンタル不調は、特別なことではありません。
誰もが新しい環境に適応しようとする中で、「自分の役割は何か」「この場所でやっていけるか」といった内なる問いが生まれます。
そんな今こそ、“つながり”を育てる好機。職場に安心と前向きなエネルギーを生み出すために、私たちができることはたくさんあります。
エンゲージメントとは“心の温度”を高めること
「エンゲージメント」という言葉は、人材領域でもよく聞かれるようになりました。
単にモチベーションを意味するのではなく、
「組織との心理的なつながり」
「自分の仕事への誇り」
「チームへの貢献意識」など、
感情と行動が重なり合った状態を指します。
エンゲージメントが高まると、仕事への意欲が自然と湧いてきます。また、困難な場面にも主体的に関わろうという気持ちが芽生えます。
その結果、組織やチームに対しての貢献意識が強まり、自らの役割を前向きに捉えるようになるのです。
このような変化を生み出すためには、日々の関係づくりが欠かせません。とくに、春のように環境が変わる時期は、関係性を築くためのアプローチを強化する絶好の機会です。したがって、人事担当者やマネジメント層には、意図的なコミュニケーション設計が求められます。
今こそ実践したい!現場でできるエンゲージメント施策
では、どんな取り組みがこの時期に有効なのでしょうか?
ここでは、実際に企業の中で行われている施策や工夫をもとに、すぐに始められる具体的なアクションをご紹介します。
✅ 1. ランチ・ディナー補助制度で「誘いやすさ」をつくる
当社(株式会社エーティーエス|ARIグループ)では、月1回、3名以上の参加でランチは1人1,100円、ディナーは2,200円のコミュニケーション補助制度があります。
この制度は「メンバーに声をかける理由」として活用されており、新しく加わったメンバーを自然に誘うきっかけに。
たとえば、ある部署では中途入社のメンバーが加わった週にウェルカムランチを実施。既存メンバーとの距離が一気に縮まり、プロジェクト内でのやり取りもスムーズになったという声がありました。
ウェルカムランチの効果:- コミュニケーションの促進: 新入社員と既存社員がリラックスした雰囲気で交流できるため、業務上のコミュニケーションもスムーズに。
- 相互理解の深化: お互いの価値観や働き方を知る機会となり、連携が円滑に。
- 早期離職の防止: 職場への安心感が生まれ、不安が軽減される。
- 手軽でリーズナブル: ランチタイムを活用するため、業務負担が最小限。
最近では、受け入れ派遣先企業様側でもウェルカムランチを実施してくださるケースが増加。派遣社員の定着率向上にもつながっています。
✅ 2. 1on1の継続で、信頼の土台をつくる
1on1ミーティングは、役職者とメンバーの対話の時間として定番化しつつあります。
「忙しくて対話の時間が取れない」という状況こそ、1on1の導入が求められるサインかもしれません。
特に変化の多い春には、心理的安全性を高める上でも有効です。
当社Aさんは、面談の質を高めるためにwill-can-mustの視点でシートを整理し、面談前に共有する工夫を行っています。
「今、自分はどこに向かっているのか」を言語化し、役職者と方向性をすり合わせることで、メンバーの主体性が高まる感覚があるとのこと。
大切なのは、“評価のための面談”ではなく、“関係づくりのための対話”としての1on1。
小さな変化に気づく時間を確保することで、メンバーの安心感や帰属意識は着実に育っていきます。
✅ 3. 社内理念を“日常の行動”に落とし込む
各社企業理念を掲げるていらっしゃいます。重要なのは、言葉として掲げるだけでなく、日常の中で具体的に体現すること。
たとえば、ある会社の社長は常日頃「ビジネスマインド中にも思いやりを持とう」と会議の中でお話されているそうです。
実際に完全リモート勤務のメンバーに感謝の気持ちを込めて、社長自らお菓子を送るといったエピソードがあります。
「理念の実践そのもの。」
こうした“小さな気遣い”が、組織全体の温度を高め、誰かの中に温かい印象として残っていきます。
もちろん、すべての人が同じ価値を持つわけではありませんが、「想いを行動で示す」姿勢こそが、エンゲージメントの起点です。
✅ 4. メンターメンティー制度で孤立を防ぐ
当社(株式会社エーティーエス|ARIグループ)では、入社後6ヶ月間、派遣社員向けにメンターメンティー制度を導入しています。
業務内容だけでなく、「ちょっとした相談ができる相手がいる」ことが、安心感を生むポイント。
実際にこの制度を通して、
「職場での孤立感が減った」
「些細な疑問が早期に解決できる」
といった声が多く寄せられています。これにより、早期離職の減少にもつながっており、制度としての有用性が高まっています。
✅ 5. トライする文化を育てる
施策を始めても、うまくいかないこともあるでしょう。しかし、それは“失敗”ではなく、“より良くするための気づき”です。
大切なのは、「完璧な制度」を求めるより、「まずやってみる文化」を根付かせること。
たとえば、制度導入に向けた小さなチャレンジ(例えば一部署のみでトライアル導入)や、フィードバックループの設計が功を奏することも。小さく試して、振り返り、改善する。この積み重ねが、エンゲージメントを高める土壌を育てていきます。
🌱 小さく始める、でも意義は大きい。そんな施策例
施策 | ポイント | 始めやすさ | 継続のコツ |
---|---|---|---|
コミュニケーション補助 | 誘いやすく、雑談しやすい | ★★★★★ | 月1回の定着を目指す |
1on1 | 対話による信頼形成 | ★★★☆☆ | シンプルなテンプレで負担軽減 |
理念の可視化 | 価値観を共有する場面づくり | ★★☆☆☆ | 経営層の行動がカギ |
メンターメンティー制度 | 不安を受け止める関係性づくり | ★★★★☆ | 定期的な振り返り機会を |
ウェルカムランチ | 最初のつながりを生む | ★★★★★ | 中途・新卒に合わせて活用 |
まとめ:誇れる職場は、“関わり”から生まれる
春は、“スタート”の季節です。新しいメンバーが加わる今こそ、チームのつながりや信頼を育む絶好のチャンス。
一人ひとりの不安に寄り添い、日常の中に「関わる仕組み」「話せるきっかけ」「思いやりの姿勢」を持つことで、チームは確実に前進していきます。
私たちは、課題から目を背けることなく、解決に向けて“できること”から取り組むチームでありたい。
そんな前向きな姿勢が、メンバーの心に届き、組織全体のエンゲージメントへとつながっていくのです。

監修:キャリテ編集部【株式会社エーティーエス】
株式会社エーティーエスが運営する本サイト「キャリテ」では、みなさまの「キャリア」「働く」を応援する記事を掲載しています。みなさまのキャリアアップ、より良い「働く」のために、ぜひ記事の内容を参考にしてみてください。
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