契約社員は契約期間中に辞めることはできる?辞められる事由やタイミングを解説
「契約社員は契約期間中に辞めることはできるの?」
「辞める場合のタイミングや許される事由について知りたい」
契約社員として働いていると、このような疑問を抱えている方もいるのではないでしょうか。
本記事では、契約社員が契約期間中に辞めることができるのかどうかという基礎知識に加え、辞める場合に許可される事由や言い出すタイミング、辞める際に背負う可能性のあるリスクについても紹介しています。
本記事を読むことで、契約社員を期間中に辞めたい場合の準備やタイミングを把握することが可能です。その知識をもとにトラブルなく辞めることができるだけではなく、契約社員から正社員への転職もしやすくなるでしょう。
契約社員で現在の仕事を辞めたいと考えている方は、ぜひこの記事をチェックしてみて下さい。
目次
転職のために契約社員を途中で辞めるのは危険?
原則として契約社員は労働契約を結んでから1年が経過するか、やむを得ない事由が認められない限りは途中で退職することができないとされています。
もしやむを得ない事由がないにもかかわらず1年未満で退職した場合、注意しなければいけないのが会社側から損害賠償請求をされてしまう危険性があることです。
場合によっては損害賠償以外のトラブルに発展するリスクもあるため、転職を理由にした契約期間中の退職は避けた方が良いと言えるでしょう。
契約社員を途中で辞めることによって被る損害賠償とは
契約社員の中途退職は、会社側にも何らかの損害を与えてしまうリスクがあります。そのため途中で辞めることによって何らかの損害が発生した場合は、会社側から損害賠償を請求される可能性があるでしょう。
どの程度の損害賠償が発生するのかは事由によって異なるものの、契約社員を雇用することで得られたはずの利益が退職によって失われた場合など、主に会社側が実際に被った被害額に応じて請求されると考えられます。
ただ、これはあくまでも強制的に退職した場合のみに発生する可能性であり、双方が合意して退職した場合は損害賠償請求をされる可能性は低くなります。
契約社員が契約期間中に辞めることを許可される事由
原則として契約社員が契約期間中に辞めることはできませんが、やむを得ない事由がある場合は例外として途中退職が認められる場合があります。
ここからは、契約社員が契約途中の退職を認められる事由を3つ紹介します。
1:両者が話し合いで納得できたとき
契約社員の中途退職で望ましい形として挙げられるのが、会社と契約社員の両者が話し合って納得した上での円満退職です。
会社側との話し合いで契約途中の退職を認められたのであれば、途中退職であっても契約違反とは認められないでしょう。
ただ、話し合いをすれば必ず納得してもらえるというわけではありません。話し合いで円満退職したい場合は、会社側が納得できるやむを得ない事由をきちんと伝えられるようにすることが必要でしょう。
2:ハラスメントを受けたことによるもの
ハラスメントには様々な種類がありますが、どのようなハラスメントであってもその被害を受けている、またはハラスメントが職場に横行している場合は途中退職もやむを得ないと判断してもらえるでしょう。
ハラスメントであるかどうかの判断基準は個々によって異なりますが、社内規則に違反しているかどうかはポイントのひとつです。会社に直接言いにくい事由であるため、相談窓口を経由して退職を申し出る方法もあります。
3:本人の怪我や病気によるもの
怪我や病気で就業不可能となった場合も、契約途中での退職が認められる事由に含まれます。
なお、中途退職が認められるのは、怪我や病気が原因で業務に耐えられない場合などです。怪我や病気で業務に耐えられないと感じた場合は、しっかりと会社側に相談して退職を申し出ましょう。
4:家族を介護しなければならないとき
契約社員が契約途中での退職が認められる事由として、家族の介護があります。この事由の場合は、家族介護の証明書の提出が求められることもあり、即日退職ではなく退職まで数日を要する場合もあります。
会社によっては家庭や介護状況に合わせて柔軟に対応してくれる可能性があるため、話し合いを通して退職を進めていくことが望ましいと言えるでしょう。
5:勤続1年以上が経っているとき
契約期間中であっても、勤続年数が1年以上経過している場合は退職を申し出ることが可能です。
ただ、退職予定日から何日前に退職の意向を伝えなければいけないのかという点は会社によって異なるため、就業規則を確認しておく必要があります。
契約社員を辞める際に受け取れるお金
中途退職であっても契約満了による退職であっても、契約社員として辞めるときにどの程度のお金を受け取れるのか、どのような種類のお金を得られるのかを知っておく必要があります。
一般的に退職時に受け取れると考えられているものの中には、契約社員だと受け取れないものもあるのです。また失業保険の場合は退職の理由で需給条件が異なるため、事前に確認しておかなければいけません。
ここからは、契約社員が退職時に受け取れるお金について解説します。
1:退職金
契約社員の退職金については、会社側は支払う義務はないとされています。
しかし、会社によっては契約満了金として退職金が支払われる場合もありますが、それは会社側の厚意なので必ずもらえるものではないと理解しておきましょう。
2:満了金
満了金とは、契約期間を終えた際に支払われる退職金代わりのお金です。会社側が契約書に定めている場合は支払いの義務が生じます。
ただ、契約期間の途中で退職する場合は支払われない可能性が高いため、会社側に支払い義務がない以上、払われなくても異議を唱えることはできないでしょう。
3:失業保険
契約社員も社会保険や雇用保険への加入が義務付けられているため、需給条件を満たしていれば失業保険を受け取ることが可能です。ただし、一定の要件を満たさない従業員については、加入義務の対象から除外されます。
失業保険が受け取れるかどうかは、退職理由が自己都合の場合と会社都合の場合で条件が異なるため、事前に確認しておかなければいけません。
自己都合で退職する場合
自分から退職を申し出る自己都合による退職の場合は、退職日以前の過去2年間のうち、12か月以上雇用保険に加入していることが条件となります。
この条件を満たしていれば、申請してから7日間の待機期間、2か月または3か月の給付期限を経て受け取ることが可能です。
会社側の都合で退職する場合
契約満了など会社側から退職を促された場合は、会社都合の退職という扱いになります。この場合は、退職日以前の過去1年間のうち、6か月以上雇用保険に加入していることが受給条件となります。
会社都合の場合は、申請から7日後に給付制限なしで失業保険を受け取ることが可能です。
契約社員を辞めるときのタイミング
契約社員が辞めるタイミングとして望ましいのは、契約期間が満了したときです。満了以前もしくは契約更新後に退職する場合は、退職するタイミングを見極める必要があります。
特に、退職者が多い時期や繁忙期は避けた方が良いと言われており、その点を踏まえて契約更新の意思確認や面談時に退職の意向を伝えると良いでしょう。
ここからは、そんな契約社員が辞めるのにおすすめのタイミングを紹介します。
1:退職者が少ない時期にする
退職者が多い時期に退職の意向を伝えると、会社側としては一斉に退職者が出てしまうため、人材確保や育成に悪影響が出る可能性があります。これだけなら困るのは会社側だと言えますが、一斉に退職するということは求職者がそれだけ増えるということです。
求職者が増えると求職の倍率が上がってしまうなどのデメリットが出てくるため、転職を視野に入れて退職のタイミングを考えるのであれば、退職者が少ない時期を選ぶと良いでしょう。
2:契約更新の意思確認で行われる面談の際に伝える
契約社員は契約更新の時期が近付くと、会社側から契約更新の意思確認のための面談の場が設けられます。そこで契約を更新するか満了するかを確認されるため、そのタイミングで退職する意思を伝えるのも良いでしょう。
ただ、会社側が契約更新を前提として確認してくる場合もあるため、契約更新の意思確認が行われる前に退職を決めているのであれば、事前に上司に伝えておくことも必要です。
3:面談がない場合は規則を確認する
契約更新の意思確認をするための面談が行われない場合は、まず会社の就業規則を確認しておきましょう。
一般的には、契約更新の1か月以上前には契約している会社に対して退職の意向を伝えておくのが望ましいと言われています。そうすることで会社側は早めに代わりの人材を探す時間を作ることができ、引継ぎをする時間も取りやすくなります。
会社によって非正規雇用労働者がいつまでに辞める意向を伝えなければいけないのかが異なるため、契約している会社の就業規則を確認しておくことが大切です。
4:繁忙期以外に辞める
契約社員が辞めるタイミングとして一番避けたいのが、繁忙期です。繁忙期は会社全体が忙しく、人手が足りない時期として挙げられます。そのため、この時期に退職の意向を伝えると、引継ぎの時間がなかなか取れずに転職活動の時間も取りにくくなるでしょう。
転職したとしても、繁忙期だと落ち着いて指導してもらえない可能性があるなど、デメリットも多いため、繁忙期以外のタイミングで退職するよう調整していくことが良いと言えるでしょう。
契約社員から正社員への転職方法
契約社員として仕事をしているうちに、正社員になりたいと考えて転職を検討するようになった方もいるのではないでしょうか。方法によっては契約社員から正社員への転職は可能なため、自分に合ったやり方を検討することが必要です。
ここからは、契約社員から正社員になるための転職方法を3つ紹介します。
1:これまでの経験や前向きな意欲をアピールする
契約更新の意思確認の面談や通常の転職活動での面接の際、これまでの経験や前向きな意欲をアピールすることが大切です。
これまで培ってきた経験や、資格があるからこそ成果につなげられたエピソードなどがあれば即戦力として判断してもらいやすいでしょう。
正社員として働きたいことよりも、その会社で働きたいという前向きな意欲をアピールした方がその会社を志望した動機付けにつなげやすく、面接でも好印象を与えやすいと言えるでしょう。
2:正社員登用制度を活用する
会社によっては、非正規雇用の社員を正社員として登用する制度を設けている場合があります。
登用制度で実際に正社員になれる可能性は決して高いわけではありませんが、適性が認められれば務めていた会社でそのまま正社員になれる場合もあります。
現状与えられている仕事をしっかりこなし、職場や顧客との関係も良好でコミュニケーション能力も高い契約社員であれば、会社側も登用したいと考えるでしょう。
ただこの制度を利用する場合は、正社員登用試験が行われる場合があるため、試験対策を行っておく必要があります。
3:転職サイトを活用する
自分で企業のことを調べるには限界があるだけではなく、正社員への転職を目指している契約社員を支援している会社を探すのは難しいでしょう。
転職サイトや転職エージェントを活用することで、希望に沿った会社を見つけやすくなり、プロのサポートを受けながら正社員に転職することができます。
転職活動期間が延びてブランクが増えるなどのリスクも抑えやすいため、上手く活用してスムーズに正社員に転職することがおすすめです。
契約社員を辞める際に退職届は必要?
一般的に仕事を辞める場合は、会社に退職届を提出するようになっています。ただこれはあくまでも雇用期間が決まっていない正社員の場合です。
雇用期間が決まっている契約社員の場合はどうすれば良いのかわからないという方もいるのではないでしょうか。
ここからは、契約社員が辞める際に退職届が必要なのかどうか解説します。
契約途中で辞めるとき
契約途中での退職の場合は、会社都合でも自己都合でも基本的に退職届を提出する必要があります。退職届のフォーマットは会社のものがあればそちらを利用し、なければ一般的なフォーマットを参考にして作成します。
契約満了で辞めるとき
契約期間満了で辞める場合は、原則として退職届の提出は必要ありません。ただし、会社側が提出を求めた場合は提出が必要になります。
提出する場合、自分から契約更新をしなかったのか、会社側から退職を勧められたのかによって書き方が異なるため注意が必要です。
転職のために契約社員を辞めるときは契約満了で辞めよう
契約社員は原則として契約満了以外に退職はできないとされていますが、例外として辞めるのも仕方ないと会社が許可できる事由であれば中途退職が可能です。
ただ契約社員の中途退職は、場合によっては損害賠償を請求されるリスクや、退職金だけではなく契約満了であれば受け取れる可能性のある満了金すら受け取れないなど、デメリットもあることを理解しておきましょう。
転職のために契約社員を辞めるときは、中途退職ではなく契約満了で辞めることがおすすめです。
監修:キャリテ編集部【株式会社エーティーエス】
株式会社エーティーエスが運営する本サイト「キャリテ」では、みなさまの「キャリア」「働く」を応援する記事を掲載しています。みなさまのキャリアアップ、より良い「働く」のために、ぜひ記事の内容を参考にしてみてください。
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