あなたの「キャリア」「働く」を応援するメディア

produced by A.T.S Advanced Technology Service
労務に向いている人の特徴とは?人事との違いや業務内容もあわせて紹介

労務に向いている人の特徴とは?人事との違いや業務内容もあわせて紹介

「労務が行う具体的な業務内容が分からない」
「労務と人事って一緒のもののように感じるけど、何か違いがあるの?」
「労務の仕事に興味はあるけど、自分が労務の仕事に向いているか分からない」
労務の仕事に興味がある人の中には、このような疑問や不安があるのではないでしょうか。

この記事では、人事と労務の仕事の違いや労務が行う業務内容、労務に向いている人の特徴を紹介していきます。この記事を読むことで、労務が行う業務内容を把握でき、自分が労務に向いているか確認できるでしょう。

また、労務の仕事に活かせる資格についても紹介しているため、キャリアアップや労務へのジョブチェンジのための準備に役立ちます。

労務の仕事に興味がある人は、ぜひこの記事を参考にしてみてください。

人事と労務の仕事の違い

人事と労務の仕事の違い

人事と労務があることを知っているが、2つの違いについて説明できるという人は少ないでしょう。

人事の仕事は、組織で働くための優秀な人材を集め、能力を発揮できるようにサポートしていくことです。具体的には採用活動、社員教育・研修、評価制度の作成などを行います。

一方、労務は社員が安心して働くことができる環境や組織を作ることがミッションです。詳しい業務内容については後述しますが、給与計算や勤怠管理など社員の生活に直結するような業務を行っています。

人事は「人材を使って組織を活性化する」ことを仕事としており、労務は「安心して働くための組織を作る」ことを仕事としていると覚えておくと良いでしょう。

労務の主な8つの業務内容

労務の主な8つの業務内容

労働者が安心して働ける組織や環境を作ることを目的としている労務では、様々な業務が行われています。ここからは、労務が行う主な8つの業務内容について見ていきましょう。

1:勤怠の管理

勤怠の管理とは、労働者の出勤・退勤時刻、休憩時間、遅刻、欠勤、休日取得、残業など労働時間を正確に把握するための業務です。

しっかりとした勤怠管理が行われないと、給与計算が正確に行えませんし、違法な長時間労働が横行し、健康被害が起きてしまう危険性もあります。

労務の目的である労働者が働きやすい組織や環境を作るために、勤怠の管理は重要な業務です。

2:給与の計算

労働時間や残業時間、ポジションなどを正確に把握したうえで、給料日までに給与の計算をするのも労務の仕事です。

給与計算でミスや遅れが生じてしまうと、労働者のモチベーションの低下を招いてしまう可能性があります。期日内に正確に給与を計算する能力が求められる業務です。

また、毎月の給与から天引きされる健康保険や年金、住民税、所得税などの計算も行わなくてはいけません。税金や労働保険、健康保険などの知識も必要になります。

3:安全衛生の管理

労働者が働きやすいように、健康面や精神面の衛生管理を行うことも労務の重要な業務です。

安全衛生管理の代表的なものに、年1回、実施されている健康診断があります。労働安全法で常時雇用する労働者に定期健康診断を義務付けられており、労働者への通知、結果の記録、労働基準監督署への報告などの業務を行わなくてはいけません。

そのほか、2015年12月から年1回、義務付けられるようになった自分のストレス状態を把握するストレスチェック実施にかかる業務も労務の仕事です。

出典:労働安全衛生法に基づく定期健康診断|厚生労働省(PDF)

出典:ストレスチェック制度 導入マニュアル|厚生労働省(PDF)

4:労働環境に関する相談への対応

組織の中では、労働者間で人間関係のトラブルが起こる場合もありますし、企業と労働者との間で長時間労働、残業代の未払いなどのトラブルが起こることもあります。

このような、労働環境に関する相談への対応も労務担当者が行う業務の一つです。労働者などから相談があった場合、労務担当者が間に入り、トラブルの解決を図ることになります。

5:入社・退社の手続き

人事が採用した人材の入社手続き、辞めることが決まった場合の退職手続きも労務の業務です。

入社時は雇用契約書の作成や労働条件通知書の交付、給与振込口座の登録など必要書類の連絡、退職時は退職金の計算や回収書類の通知などをします。

また、福利厚生に関する手続きも労務の業務です。福利厚生には法令や政令で定められた法定福利と企業が独自に行う法定外福利があります。

法定福利には、健康保険、厚生年金、雇用保険、労働災害保険など各種保険があり、入社時には労働者に代わり加入の手続きを行わなくてはいけません。在職中に、氏名の変更や家族の変更などの申し出があった場合には、速やかに届け出をする必要もあります。

6:社労士などの社外関係者への対応

労務の業務には、法律など専門知識がないと対処できないものもあります。

社内の人だけでは解決が難しい問題が起きた場合や専門知識が必要な業務を行う場合には、弁護士や社会保険労務士、税理士など社外の専門家を頼ることも少なくありません。

弁護士など社外の専門家とのやり取りが必要になった場合の対応も労務の業務です。

7:労働基準法に基づく就業規則の作成と管理

労務は、労働基準法に基づく就業規則の作成と管理も行います。

就業規則とは、就業時間、休憩時間、賃金などの労働条件や職場で守るべきルールなどを定めたものです。常時10人以上の労働者(パートやアルバイトを含む)を使用している事業所では所轄の労働基準監督署に届け出る決まりになっています。

また、法改正や経営状況の変化で就業規則の変更があった場合には、改定を行い届け出が必要です。

作成した就業規則は、皆が見やすい場所に掲示する、労働者全員に書面で交付するなどして周知しなければなりません。

出典:就業規則を作成しましょう|厚生労働省(PDF)

8:年末調整に関する業務

年末調整とは、源泉徴収された税額と納めるべき税額を一致させるための作業で、年に一度行われています。

労務は、年末調整のための必要書類の配布、記入済み書類や控除証明書の回収、所得税額の計算、過不足額の清算といった業務を行わなくてはいけません。

源泉徴収の対象となる労働者が多く(給与総額が1,000万円を超えるもの、災害減免法の規定により所得税の徴収猶予を受けているものは対象外)、個々で控除額が違うため、非常に複雑で膨大な作業量となります。

ミスをしてしまうと年末調整のやり直しなどが必要になり、労働者にも迷惑をかけてしまうことになるため、作業には正確性が求められるでしょう。

出典:No.2665 年末調整の対象となる人|国税庁

労務の仕事のやりがい

労務の仕事のやりがい

労務には、労働者が気持ち良く働くための環境を作れる、法律や税金に関する知識が身につくといったやりがいがあります。

労務の主な目的は、労働者が安心して働ける環境を作ることです。長時間労働を是正し、人事評価基準の見直しなどを行い、労働環境の改善が図られると達成感を得られるでしょう。

また、労務での業務を通じて法律や税金の知識を得られるということもやりがいと言えるでしょう。法律は定期的に改正が行われるため、知識を定期的に更新しなければならないという大変さはありますが、勉強すれば実務に直結するため、大きな成果を感じられるでしょう。

労務に向いている人の7つの特徴

労務に向いている人の7つの特徴

労務が行う業務は細かな計算作業が多く、法律や税に関する知識が必要になる場面があるため、向いている人と向いていない人とが明確に分かれてしまいます。向いていない人が労務の仕事に就いてしまうと、ミスマッチを感じ早期離職してしまう恐れがあるでしょう。

労務への転職を考えている場合、まず自分に適性があるかということを判断する必要があります。

ここからは、労務に向いている人の7つの特徴について紹介していきますので、自分に適性があるか考えながら読んでみてください。

  • 地道な作業が苦にならない人
  • 社会保険労務士へのキャリアアップを目指している人
  • コミュニケーション力が高い人
  • 思いやりがある人
  • 事務処理能力が高い人
  • 法律に関心がある人
  • オンとオフの切り替えがしっかりできる人

1:地道な作業が苦にならない人

労務の仕事の中には、給与計算や勤怠管理、入社・退社の手続きといった地道な事務作業が多く含まれます。

ミスをしてしまうと労働者の生活に多大な影響を与えてしまうため、ミスが許されず、同じ作業を繰り返し、何度も確認するということも多いです。

地道な作業が苦にならず、コツコツと積み重ねることができる人の方が向いているでしょう。同じ作業を繰り返すことが苦手な人や根気のない人は労務には向いていないと言えます。

2:社会保険労務士へのキャリアアップを目指している人

社会保険労務士へのキャリアアップを目指している人も、労務に向いているでしょう。

社会保険労務士は、社会保険に関連する手続き代行や労働社会保険諸法令に基づく書類の作成、労務や社会保険に関する相談に対応する、人材に関する専門家です。

実務経験がなくても社会保険労務士を目指すことはできますが、経験があることで資格取得の勉強がスムーズに進められます。また、社会保険労務士の資格取得をした後の実務においても労務で働いていた経験が活かせる可能性が高く、即戦力として活躍できるでしょう。

出典:社労士とは|全国社会保険労務士会連合会

3:コミュニケーション力が高い人

労務の業務は、給与計算や入社・退社の手続きのような、一人で行う事務作業だけではありません。

労働者からの労働環境に関する相談を受ける場合もありますし、社会保険労務士などの社外関係者への対応も必要です。また、同じ部署の中でも協力して一つの業務を行うこともありますし、他部署の人とやり取りをしなければならないこともあります。

労務は人と関わる場面も多いため、コミュニケーション力が高い人の方が労務に向いている人と言えるでしょう。

4:思いやりがある人

労務担当者は、労働者からの、人間関係などの労働環境に関する相談窓口になることがあります。

相談窓口として話を聞いている人が、思いやりがなく、理解を示さないと労働者は追い詰められ、最悪の場合、離職につながってしまう可能性があるでしょう。

思いやりを持って相手に寄り添い、理解を示せる人の方が、労務には向いている人と言えます。

5:事務処理能力が高い人

労務の仕事は、給与計算や入社・退社手続き、社会保険などの手続きなどの事務処理がメインです。

ExcelやWordなどを使いこなせるパソコンスキルや計算スキルなどの事務処理能力が低い人は、労務の仕事を苦痛に感じてしまうでしょう。

6:法律に関心がある人

労務の仕事には、労働条件に関する最低基準を決めた労働基準法だけでなく、税法や社会保険関連法など様々な法律が関わってきます。

法律は情勢に合わせて改正されることもあるため、法律に関心があり、日々勉強を続けられる人でないと、労務の仕事を続けていくことは難しいでしょう。

また、労働者から労働トラブルの相談を受けた場合、法律を重んじて適切なアドバイスができないと、企業のイメージダウンや業績悪化などの影響を与えてしまうことになります。

法律に関心があり、法律を重んじて行動する人の方が労務に向いている人と言えるでしょう。

出典:労働基準情報:労働基準に関する法制度|厚生労働省

7:オンとオフの切り替えがしっかりできる人

労働者からの相談を受けると必要以上に共感しすぎてしまい、四六時中、ネガティブな感情に支配されてしまうこともあるでしょう。

共感する気持ちを持てることは悪いことではありませんが、休日まで仕事のことを考えてしまうと、精神的に追い込まれストレスが溜まり、ほかの業務に影響してしまうことも考えられます。

そのため、オンとオフを上手に切り替えることができる人の方が労務に向いている人と言えるでしょう。

労務の仕事のキャリアパス

労務の仕事のキャリアパス

労務の仕事に就くと、若手の頃は給与計算や社会保険の手続きなど、実務を担当しながら経験を積み、中堅になると労務相談や労働基準監督署への対応を経験するのが一般的です。

ベテランになると管理職として要員計画(人員計画)や評価制度などを担当し、最終的には経営層やプロフェッショナルといったキャリアパスが考えられるでしょう。

また、労務として働いた経験を活かして社会保険労務士資格を取得して独立する人や、人材コンサルティング会社、人材紹介、社員研修の代行などを行う企業に転職する人も少なくありません。

未経験から労務の仕事に転職するには?

未経験から労務の仕事に転職するには?

「未経験者歓迎」と記載された求人もあるため、未経験からでも労務を目指すことは可能です。

しかし、誰でも簡単に転職できるわけではありません。「なぜ労務を選んだのか」ということを明らかにし、「労務に活かせるスキルや知識があること」をアピールできなければ採用に至るのは難しいでしょう。

必要とされている人材像を理解し、その企業に合う志望動機を考え、パソコンスキルやコミュニケーションスキルなど労務に活かせるスキルをアピールしていきましょう。

もし、現在、社会保険労務士資格取得に向けて勉強しているなど労務に関わる勉強をしているなら、それを伝えることもアピールになります。

労務の仕事に活かせる5つの資格

労務の仕事に活かせる5つの資格

ここからは、労務の仕事に活かせる5つの資格について紹介していきます。

労務の仕事に特別な資格は必要ありません。しかし、資格があることで、より重要な仕事を任せてもらえるようになりますし、実務経験がなく労務へ転職する場合のアピール材料になります。

労務への転職や労務としてキャリアアップを希望しているのであれば、資格取得を検討してみましょう。

1:メンタルヘルス・マネジメント検定試験

労務は、労働者の相談窓口となる機会がある職種です。仕事への強い不安やストレスを抱える労働者が相談に訪れることが考えられるでしょう。

そのため、労働者のメンタルヘルスケアに関する知識や対処法などを習得できる、メンタルヘルス・マネジメント検定試験がおすすめです。メンタルヘルス・マネジメント検定試験を取得しておくことで、労働者のメンタルヘルスケアに関する業務に携われるでしょう。

メンタルヘルス・マネジメント検定試験は、職位・職種別に、I種(人事労務管理スタッフ、経営幹部)、II種(管理監督者、管理職)、III種(一般社員)の3つがあります。

2:マイクロソフト オフィス スペシャリスト(MOS)

マイクロソフトオフィススペシャリスト(MOS)は、WordやExcelなどマイクロソフトオフィス製品に関するスキルを証明する国際的な資格です。

レベルは、一般レベルと上級レベル(エキスパート)の2段階になっており、バージョンごとに試験が用意されています。

労務では、Word、Excelなどのマイクロソフトオフィス製品を利用する機会が多いため、資格を取得しておくことで、パソコンスキルのアピールになるでしょう。

3: 労務管理士

労務としてキャリアアップを目指すのであれば、労務管理のスペシャリストであることの証明になる労務管理士もおすすめでしょう。

試験の内容は労働基準法を中心に、労務管理の基礎から最新の法律知識などを問う内容となっています。社会保険労務士のような国家資格ではないため認知度は低いですが、労務管理の知識やスキルのアピールになるでしょう。

労務管理士資格の取得方法は、公開認定講座・通信講座・書類審査・Web資格認定講座の4つが用意されています。忙しい人でも未経験の人でも自分の状況に合わせた方法で資格取得を目指せるためおすすめです。

4:社会保険労務士試験

国家資格である社会保険労務士は、労働基準法や労働安全衛生法、社会保険関連法など労務に関する法律知識を持った人材に関する専門家です。

令和2年度の合格率は6.4%で、非常に難しい試験となっていますが、資格を取得することで、社会保険に関する手続き代行や労務管理の指導などができるようになります。

専門的な知識やスキルを極め、労務のプロフェッショナルとして活躍したいのであれば、社会保険労務士はおすすめです。

出典:第52回社会保険労務士試験の合格者発表|厚生労働省

出典:社会保険労務士試験オフィシャルサイト|全国社会保険労務士会連合会

5:キャリアコンサルタント試験

キャリアに関する相談を受ける可能性がある労務には、キャリアコンサルタントという資格もおすすめです。

キャリアコンサルタントは、最新の知識やスキルを有するキャリアコンサルティングを行う専門家であることを証明する国家資格です。

試験に合格した上でキャリアコンサルタント名簿に登録することで、はじめてキャリアコンサルタントと名乗れるようになります。

キャリアコンサルタントの資格を取得しておくことで、労働者からのキャリアの相談への対応、助言、指導を行え、労働者のキャリア形成のサポートができるでしょう。

出典: 国家資格キャリアコンサルタント試験|国家資格キャリアコンサルタント試験公式ウェブサイト

労務に向いている人の特徴について知ろう

労務に向いている人の特徴について知ろう

労務の業務は、給与計算や労務管理、入社・退職に関連する手続きといった事務作業だけではありません。時には、悩みを抱えた労働者の良き相談相手にならないといけない場面もあります。

そのため、事務処理能力が高いだけでなく、コミュニケーション力やオンとオフの切り替えができるといった力が必要です。

労務への転職を検討している人は、まず労務に向いている人の特徴について知り、自分に適性があるか考えてから行動を起こすようにしましょう。

監修:キャリテ編集部【株式会社エーティーエス】

株式会社エーティーエスが運営する本サイト「キャリテ」では、みなさまの「キャリア」「働く」を応援する記事を掲載しています。みなさまのキャリアアップ、より良い「働く」のために、ぜひ記事の内容を参考にしてみてください。

新着記事