法務に向いている人の特徴5選!役立つスキルやおすすめしたい資格なども解説
「法務部に配属されることになったけど、法務って実際何をする部署なの?」
「法務の仕事に興味があるけど、自分に向いているのかな」
近年、企業には従来以上に個人情報の保護やコンプライアンスが求められ、法務専門の部署を設置する企業が増えている中で、このような疑問を抱く方は多いのではないでしょうか。
今回の記事では、法務とは何か、法務に向いている人と向いていない人の特徴、法務の仕事をする際に必要な資質や、持っていると役立つスキルや資格などについて紹介します。
この記事を読むとどのような人が法務に向いている人か、法務の仕事に就くためにどのようなことを勉強したらよいかがわかるでしょう。
法務の仕事に興味がある方や関連する資格を知りたい方は、ぜひ読んでみてください。
目次
そもそも法務とは?
企業の経営は、常に多くのリスクと隣り合わせです。中でも、法令や契約に違反した際に生じるリスクは「法務リスク」と呼ばれます。
法務リスクとして挙げられるのは、取引先とのトラブルや社員に対するパワーハラスメントやモラルハラスメント、知的財産の侵害、個人情報の漏えいなどです。
「法務」とは法律・司法関連の実務全般であり、法務リスクへの対処に欠かせない部署といえます。ここでは、法務の具体的な仕事内容や1日のスケジュールなどを紹介しましょう。
法務の仕事内容
会社の経営は法律と密接な関わりがあるため、法務の仕事範囲も幅広いです。
例えば取引先と契約する際の書類作成、取引先や顧客との間における訴訟トラブルの処理、会社法に則った株主総会の運営、不動産や知的財産といった企業財産の管理などがあります。
以前は総務部などにまとめられていた法務の仕事ですが、多くの企業で独立した部署が設けられるようになりました。
1日のスケジュールの例
法務は、総務や経理などと同様にオフィス内での仕事が中心であるため、勤務は8~17時、または9~18時といった日勤の時間帯が基本です。では、スケジュールの一例を紹介しましょう。
出社するとメール確認を行い、次に、チームミーティングでそれぞれが抱えている事案について、情報を共有します。顧客や取引先と締結する契約書の内容を担当者と協議したあと、協議内容に沿って契約書の草案作成にとりかかります。
昼休憩をはさみ、社内向けコンプライアンス研修会、他社製品の意匠権侵害防止を目的とした新製品の類似性チェック、弁護士へのメール連絡など、1日のタスクは多いです。
契約書などをはじめとする重要度の高い書類を扱うことが多い法務は、1つ1つを念入りに確認する必要があります。株主総会前や大きな契約の締結日が近くなると、残業も増えるでしょう。
法務の年収
幅広い仕事を求められる企業法務ですが、年収は都道府県によって違います。
年収を都道府県別で見ると、東京都は約510万円で宮崎県が約300万円と、やや開きがあるようです。
ただし、どの都道府県も平均年齢が40代という中で、宮崎県については平均年齢が30代(39.3歳)と若めであったため、年齢が影響している可能性はあるといえるでしょう。
法務に向いている人の特徴5選
法務では契約書作成から勉強会の運営、株主総会のサポートといったさまざまな仕事を行うため、早出や残業をすることもあるでしょう。さらに、法令が改正されるたびに新しい知識を取り入れる必要があります。
やりがいがある分仕事量も多い法務の仕事ですが、どのような人が向いているのでしょうか。
次は、法務に向いている人の特徴について解説していきます。
1:強い正義感のある人
法務の仕事では、不正やコンプライアンス違反などを防いで会社の信用を守るために、相手が上司でも進言しなければならない場合があります。
相手が上司だからといって問題を曖昧にしてしまうと、状況は悪くなるばかりです。
そのため法務に向いている人は、どのような相手であっても強い正義感をもって対応できる人だといえます。
2:学習意欲が高い人
法律は時代の変化と共に改正されていくため、その都度知識をアップデートする必要があります。
調べ物が好きで、日頃から能動的に新しい知識を吸収する意欲があることも、法務に向いている人の特徴といえるでしょう。
3:ルールや規則に忠実な人
法務の大切な仕事として、社内におけるルール作りがあります。また、内部通報窓口も法務部に設置する場合が多いです。
そのため、自ら設定したルールを破ってしまうようでは他の社員に示しがつきません。枠からはみ出て行動する人よりも、ルールや規則を守れる方が法務に向いている人の特徴だといえます。
4:几帳面で細かい作業が苦にならない人
目端が利き、細かい作業でも面倒がらずにできる人も法務に適しています。
几帳面さがあれば正確な仕事をする傾向にあるため、大きなミスにつながることも少なく、ここも法務に向いている人の特徴といえるでしょう。
5:人とのコミュニケーションが得意な人
企業が大きな取引をするときや手違いなどによる問題を起こしたときには、法務がチームとして、また、別の部署と協力して対応する必要があります。
このように、同部署の人だけではなく他部署や経営陣、会社の顧問弁護士、取引先や顧客といったさまざまな人と関わる機会が多いのが、法務の仕事です。
そのため、どのような相手でも積極的にコミュニケーションを取れる人は、法務に向いている人といえるでしょう。
法務に向いていない人の特徴4つ
法務は目立つ部署ではありませんが、縁の下の力持ちとして会社の業務を支える、やりがいのある仕事です。
しかし、どんな仕事にも適性があるため、もちろん誰でも法務に向いているとは限りません。ここでは法務に向いていない人の特徴を紹介します。
1:裏方の仕事に魅力を感じない人
法務の仕事は契約書の作成をはじめ、知的財産の管理、研修会の資料作成・運営、法律相談といった裏方でのサポートが中心になります。
そのため自分が中心となって積極的にプロジェクトを進めたい人や、表立って大きな業績をあげたい人のように、自分自身に注目を集めたい人は法務には向いていないでしょう。
2:固定観念が強い人
法律やルールを守ることは重要ですが、法務の仕事では社会の動きに合わせた対応や、相談相手に配慮できる柔軟さなども大切です。
規律を守らなければならないという固定観念に縛られすぎている人や、融通がきかない人は、法務には向いていないでしょう。
3:大雑把な人
契約書を間違えないように作成し、法的に有効なものであるか、自社に不利な内容ではないかをチェックすること、立法・判例などの調査や分析、知的財産・不動産の管理などを行う性質上、法務で重要視されるのは正確さや仕事の細かさです。
その点から、忍耐力のない人や曖昧に物事を済ませようとする人、どんぶり勘定で考える大雑把な人は、法務には向いていないといえます。
4:人とのコミュニケーションが苦手な人
他の部署や顧問弁護士などと協力することもあるため、協調性をもっていると法務の業務を行いやすいでしょう。
そのためグループ行動が苦手な人や、黙々と作業に没頭するのが好きな人には向いてないでしょう。
法務で役立つスキルや知識
ここからは、法務として働くうえで特に役立つスキルや資質、求められる知識を挙げていきます。
会社の規模や国内外のどこで事業を行っているかで法務の仕事内容は変わりますが、どのスキルも必要であるといえるでしょう。以下の内容をぜひ参考にしてください。
リーダーシップや倫理観
法務の仕事では、チームのメンバーに対して、的確なサポートや指示ができるリーダーシップが必要とされます。
また、法令・道徳といった企業倫理を自ら守り、社内の模範となる倫理観も、法務において欠かせない資質です。
法律に関わる知識
法務の仕事に就く際に知っておくと役立つのは、民法や商法をはじめとする法律の知識です。売買などの契約を規定している民法は、特に勉強しておきましょう。
個人情報保護法の改正によって、多くの会社においてプライバシーポリシー(個人情報保護方針)の作成が必要になりました。そのため、個人情報保護法も押さえておくと法務で役立つでしょう。労働基準法や独占禁止法も重要です。
英語などの語学スキル
事業の規模が大きく、国内外で取引をしている企業では、英語で契約書を作成する機会も多いため、語学のスキルがあると重宝されます。グローバル企業で法務に携わる場合は、読み書き以外に会話能力があるとさらによいでしょう。英語での交渉にも役立ちます。
分析能力や事務処理スキル
契約書などの重要書類を読むときに意味を取り違えてしまうと、後になって大きな問題に発展しかねません。
物事に対する法的な分析能力も、契約書類や相談内容などを正しく判断するためには欠かせないスキルです。
新卒の方や他業種から転職する方は、事務処理スキルも身につけておきましょう。事務処理で役に立つのは、WordやPowerPointといったOffice系のスキルや文章作成力などです。
思考の柔軟性や交渉スキル
法律や世界情勢、世間の動きは刻々と変化していくため、法務では状況に応じた柔軟性のある考え方が求められます。
他社との契約、中でも提携やM&Aといった重大な案件では、自社が損をしないように注意して話し合いを進めなければならないため、交渉スキルも重要です。
法律や社内規約などを守るのは当然ですが、よりリスクの少ない交渉ができれば高評価を得やすいでしょう。
法務におすすめしたい資格
法務部に配属された方はもちろんですが、企業における個人情報の保護や管理、著作権の取り扱い、コンプライアンスについて理解を深めたい方などにおすすめの資格を紹介します。
資格取得に向けた勉強を進めることで、実務に役立つ法務の知識も身につくでしょう。
ビジネス実務法務検定試験(R)
ビジネス実務法務検定試験は、東京商工会議所が主催する検定試験です。1級から3級まで設定されており、級が上がるにつれて求められる法律実務の知識が高度になり、扱う範囲も広がります。
実務に応用できる法律知識を総合的に学べるため、法務の方はもちろん、他部署の方にもおすすめの資格です。
ビジネスコンプライアンス検定
ビジネスコンプライアンス検定は、株式会社サーティファイのコンプライアンス検定委員会が主催する民間資格です。
ビジネスコンプライアンス検定では、受験者がコンプライアンスの理念や目的をどの程度わかっているか、また、価値判断基準やビジネスシーンでの対応能力が備わっているかが評価・認定されます。
ビジネスコンプライアンス検定の個人向け認定基準には、上級と初級があります。
初級に求められるのは、社会人としての基本的な法律の知識と価値の判断基準を持っていること、会社の経営理念や一般常識に従った行動ができることです。
上級ではコンプライアンス経営を行う中心的な存在として、高度な法律の知識や、さまざまな事例に対する具体的な解決策をもち、意思決定できることが求められます。
社内でコンプライアンスを推進していく法務の方に、おすすめの資格です。
ビジネス著作権検定
ビジネス著作権検定もビジネスコンプライアンス検定同様、個人向け認定基準は初級と上級の2つです。
初級では、著作物や著作権についてわかっているか、他の人の著作権を侵害しないで著作物を扱えるかが測定されます。上級の場合は、著作権に加え、契約・司法制度・条約の知識を把握して実務を行えるかが問われます。
著作権侵害についての問題が多い現代、ビジネス著作権検定を取得している人は、社内で重宝される存在となるでしょう。
個人情報保護士認定試験
個人情報保護については、企業による個人情報の漏えいなどが問題視される中、法務でも必要不可欠な知識です。
個人情報保護士認定試験では個人情報保護法とマイナンバー法、情報管理の実務知識などについて出題されます。
司法書士試験
司法書士の資格を取得するには、筆記試験と口述試験に合格しなければなりません。筆記試験はマークシートと記述式で、昼休みをはさんでほぼ1日かけて行われます。筆記試験に合格すると、口述試験の受験が可能です。
憲法をはじめ、企業で必要な商法・会社法・民法、不動産登記法・商業登記法・民事訴訟法などの法律を熟知している司法書士は、法律のエキスパートといえます。
法務職に弁護士の資格をもつ人や法律系の学校を出ている人材を採用する企業は多く、司法書士の資格があれば就職や転職にも役立つでしょう。
出典:司法書士試験|法務省
法務の仕事が向いてないと感じた場合の対処法
重要書類を多く扱ううえに、ミスが許されないといったプレッシャーもあるため、法務に向いていないと悩む人が多いようです。
適性はあるにもかかわらず法務に向いていないと感じる場合には、自分1人で解決しようとせず、同僚や、法務の仕事をある程度わかっていて信頼できる人に相談してみましょう。
自分は法務に向いている人物なのか知ろう
⑦今回の記事では法務の仕事内容から、法務の業務に向いている人や法務で役立つ資格やスキルなどを解説しました。
企業によっては法務に配属した人をしっかり育成することも多いため、未経験者でも将来的に活躍可能です。自分には適性がないと思っていても、仕事に就くとやりがいを見いだせる可能性もあります。
この記事を読んで興味をもった方は、ぜひ法務職も就職・転職の選択肢として考えてみてください。
監修:キャリテ編集部【株式会社エーティーエス】
株式会社エーティーエスが運営する本サイト「キャリテ」では、みなさまの「キャリア」「働く」を応援する記事を掲載しています。みなさまのキャリアアップ、より良い「働く」のために、ぜひ記事の内容を参考にしてみてください。
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