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施工管理とは?向いている人の特徴や取得におすすめの資格などを紹介

施工管理とは?向いている人の特徴やおすすめの資格などを紹介

「転職サイトで施工管理の募集を見るけど、どんな仕事をしているんだろう」
近年は「セコカン」ともよばれて知名度が上昇しつつある施工管理ですが、実際にどのような仕事をしているのか、知っている人はまだ少ないのではないでしょうか。

今回は、施工管理の概要をはじめ、現場監督との違い、施工管理の需要や平均年収といった現状、仕事の内容、施工管理に向いている人の特徴、施工管理技士に必要な資格などを解説します。

この記事によって施工管理技士の仕事や資格の種類などがわかるため、建設業界へ就職・転職する際の参考となるでしょう。

建設業界への就職を考えている方はもちろん、施工管理の仕事内容に興味のある方は、ぜひチェックしてください。

施工管理とは?

施工管理とは?

施工管理とは、適切な工事施工のために資格や経験のある技術者を現場に配置して、施工状況を管理することです。

元請けの監理技術者や主任技術者による施工管理は、下請け会社が請け負う工事も含めた全体的なものですが、下請け主任技術者の場合は、元請け会社から請け負った部分についての施工管理を行います。

現場監督との違いは?

現場監督との違いは?

現場監督の主な仕事は、作業員への指示を中心とした現場管理です。

一方、施工管理は管理・監督する役目として現場に立ち会いますが、工程表の作成、工事発注者との調整や話し合いなども行うため、仕事の範囲は現場監督より幅広いといえます。

施工管理の現状

施工管理の現状

建設業は若者離れが増えている上、年齢によって引退するベテランも多いため、慢性的な人手不足です。

ここでは、建設業において施工管理技士の需要はどの程度あるのか、月収や年収はどれくらいか、休日はきちんと取れるのか、将来性はあるのかといった全体的な実情について紹介します。

需要

総務省の「令和2年 労働力調査年報」によると、建設業全体における29歳以下の就業者数は約12%、続く30代の就業者数も約16%と低いです。

一方、55歳以上の就業者数は36%(そのうち60歳以上は約26%)で、高齢化が進んでいる状況にあります。

これは建設業全体の数字であり、施工管理技士はさらに少ないため、公共工事が増えていく中、年齢が若い資格者の需要は今後も高まるでしょう。

平均年収

国税庁の「令和2年分 民間給与実態統計調査」によると、建設業全体の平均年収は約510万円であるとわかります。

では、施工管理技士の平均年収はどのくらいかというと、役職や現場の規模、経験年数などで違いますが、1級施工管理技士は500万円程度、2級施工管理技士は400万円ほど、実務経験がある無資格者の場合は約350万円です。

ゼネコン勤務や手がける工事によって1,000万円に手が届く人もいるため、同じ施工管理技士でも平均年収には幅があるといえます。

男女の就業比率

女性の雇用がいくらか増えてきたとはいえ、建設業全体における女性の就業比率は2020年の時点で約13%です。

建設業の女性技能者は2018年あたりから微増傾向にあるため、需要が増えている施工管理についても同様といえるでしょう。

出典:建設業における女性の活躍推進に関する取組実態調査(PDF)

休日・残業

建設業において、週休2日の工事現場は年々増えているものの、2021年時点で工事全体の3割程度にとどまっています。

日曜日以外はすべて作業を行う現場も多く、工期が迫っている場合や作業が押している場合には休日に出勤する、あるいは残業せざるを得ないというのが実際のところです。

施工管理技士は残業だけではなく、朝礼や作業の準備をするために朝早い時間から出勤する場合もあります。

将来性

工事は水道や道路・電気・電話線工事といった生活基盤に関わることがほとんどであるため、定期的に行われる場合が多いです。

例えば、幹線道路の舗装工事や電柱の交換、建造物の耐震工事などさまざまな工事がありますが、どの工事現場でも施工状況を管理するために、主任または監理技術者となる施工管理技士が配置されます。

また、建設業の許可を受けるための条件として、営業所ごとに専任の技術者を配置しなければならないと定められているため、施工管理技士の資格を持っていると営業所の専任技術者に選ばれる可能性もあり、将来性は大いに見込めるでしょう。

出典:建設業法|e-Gov法令検索

施工管理の主な仕事内容

施工管理の主な仕事内容

施工管理技士は、主任技術者または監理技術者として仕事を行いますが、施工管理の範囲は所属する営業所が元請けであるか、下請けなのかによって違います。

2022年時点の建設業法において、主任技術者と監理技術者の職務についてはっきりとした線引きはされていません。

ここでは「4大管理」と呼ばれる、施工管理技士の代表的な仕事内容を紹介します。

工程管理

まず行うのは施工計画書の作成ですが、もし元請けであれば下請けの分も含めた全体の施工計画書を、下請けの場合は施工要領書を作成します。

工事のスムーズな施工のために必要なのが工程管理です。

PDCAに沿って、バーチャートやネットワーク工程表といった工程表を作成して、工事全体の進捗を確認しながら納期までのスケジュール管理を行います。

品質管理

工事の規模によっては工事計画や設計、作業を行う会社は違うことが多いため、それぞれのセクションにおいて共通認識を持たせて、発注通りの建造物を仕上げる必要があります。

発注された通りに工事を完成させるための工程管理をするのが、品質管理です。

施工管理技士は品質管理のために、請け負った作業の立ち会い確認や作業ごとの写真撮影・記録を行います。

原価管理

公共機関や福祉団体などと違い、建設業を含むどの会社にも「利益をあげること」が求められています。

確かに品質管理は重要ではありますが、どれほど質の高い工事を行ったとしても、人件費や建築資材がかさんで予算を超えてしまうと、会社は利益を得ることができません。

そこで、材料費をはじめ、建設機械の軽油代やメンテナンス代・宿舎の光熱費・人件費といったコストを把握して、黒字となるようコントロールするのが、現場に携わる施工管理技士の役目です。

安全管理

施工管理で行う安全管理とは、作業員の安全を確保するため、現場で事故を起こさないように設備を整えることです。

例えば手すりの設置、安全大会における作業員の教育、整理整頓による通路の確保などが挙げられます。

歩道や道路に隣接している危険な場所の工事では、予告看板を設置し交通規制をかけるなど、歩行者や一般車に対する安全確保も必要です。

施工管理に向いている人の特徴

施工管理に向いている人の特徴

施工管理技士は主任技術者や監理技術者として工事現場をまとめる職務上、作業員として働く場合と違い、さまざまな状況に対応する必要があります。

施工管理技士に向いているのは、次のような特徴を持つ人です。

  • 優れたリーダーシップがある
  • 危機管理能力に優れている
  • マルチタスクに対応できる
  • コミュニケーション能力が高い
  • 判断力・説明力に優れている
  • 体力に自信がある

優れたリーダーシップがある

工事現場において的確な指示をするリーダーがいなければ、作業は進んでいきません。また、指示があやふやだと、作業員も不安になります。

施工管理に向いている人は、単に指示を出すだけではなく、作業員のやる気を引き出してうまくまとめ上げることができるリーダーシップがある人です。

危機管理能力に優れている

工事中に事故を起こすと数日間は現場が止まり、後の作業にも影響が出ます。工事が中止になると、深刻な事故であれば労働基準監督官が現場検証に来て、事情聴取を受けることにもなりかねません。

どのような現場でも色々な危険をはらんでいるため、危ないときにはキッパリと作業員に注意をする必要があります。

現場全体にたえず気を配り、事故につながりそうな場所を見つけたら素早く対処できる能力も、施工管理する上で大切なことです。

マルチタスクに対応できる

工期中に完成させてコストを少しでも抑えるために、現場ではさまざまな工程を並行して進めていきます。

同時に色々な対応をしなければならない施工管理技士に向いているのは、どの作業がどれだけ仕上がっているのかを常時把握できる能力を持っている人です。

コミュニケーション能力が高い

工事では工程ごとにさまざまな会社が関わってくるため、どのような相手であっても潤滑にコミュニケーションできる人が施工管理に向いているといえます。

工事を円滑に進めるためにも、現場作業員だけではなく、視察に来る工事発注者や現場付近の住民などと意思の疎通をはかって上手に信頼関係を作り、理解を深めてもらうことが必要です。

判断力・説明力に優れている

例えば、雨の日にはどの程度の雨量で工事を中止するのか、作業が進んできたら作業員のローテーションをどうするのかなど、現場の状況に合わせて判断できる人は施工管理に向いています。

道路工事や建築工事、雪の多い地域では冬の排雪作業にもいえることですが、クレームがつかないように地域住民の理解を得ることも必要です。地域住民にも生活があるため、どのような作業をどの期間、何時から行うのかなどを端的に説明できるようにしましょう。

体力に自信がある

施工管理技士は、特にスポーツが得意でなくてもできる仕事です。

ただ、現場の作業が終わっても業務があって勤務時間が長くなりがちであるのと、現場と事務所の往復も多いため、忍耐力やスタミナがある人、健康管理ができる人は施工管理に向いているといえます。

施工管理者なら取得したい資格

施工管理者なら取得したい資格

建設業界で総合職として働きたい、年収を増やしたいなど、施工管理を目指す理由は人によってさまざまでしょう。

建設業法で、工事現場に主任技術者または監理技術者を配置することが義務づけられています。

この主任技術者や監理技術者となるために取るべき資格が国家資格の施工管理技士です。業種ごとに7種類、それぞれ1級と2級があります。

2021年(令和3年)から受験資格が緩和され、2級の第一次検定は17歳以上であれば未経験でも受験できるようになり、それぞれの級で第一次検定に合格した人には「技士補」の称号が与えられることとなりました。

施工管理技士補の資格を取得した人は、指定された年数の実務経験を積んで第二次検定に合格すれば施工管理技士となれるため、ぜひ受験することをおすすめします。

出典:建設業法|e-GOV法令検索

1:建築施工管理技士

建築施工管理技士は、戸建住宅からオフィスビルやショッピングモールといった建造物の建築・リフォームなどを行う企業への就職・転職を考えている方におすすめの資格です。

第一次検定は共通問題ですが、第二次検定は実務経験に応じて受検種別が「建築」「躯体」「仕上げ」に分かれます。

自分で手がけた建築工事の種別と受検種別が違う場合は受験できないため、間違えないようにしましょう。

出典:建築・電気工事施工管理技術検定|一般財団法人建設業振興基金 試験研修本部

2:建設機械施工管理技士

建設機械施工管理技士の場合、建設機械によって6種の検定科目に分けられ、種別ごとに試験が行われます。

例えば、パワー・ショベルは第2種のショベル系建設機械、アスファルト・フィニッシャーは第5種の舗装用建設機械です。

建設機械施工管理技士の合格種目によっては、労働安全衛生法に基づく車両系建設機械の運転技能講習時間が短くなるメリットもあります。

出典:1・2級建設機械施工管理技術検定試験|一般社団法人 日本建設機械施工協会

3:管工事施工管理技士

上下水道工事をはじめ、ガス管工事、設備工事などを管理するのが管工事施工管理技士です。

1970年代あたりまでの高度経済成長期に敷設された水道管・ガス管の交換工事が追いつかず、金属管の老朽化が問題視されています。

今後も管工事を行う必要性が高いことから、管工事施工管理技士は需要がある資格といえるでしょう。

出典:1級管工事施工管理技術検定|一般財団法人全国建設研修センター

4:電気工事施工管理技士

電気工事施工管理技士は、建築物の構内における受変電設備や自家用発電設備をはじめ、発電・変電設備の工事・試運転、架空電線、屋内への引込線、交通信号工事などほとんどの電気工事に携わります。

第一次検定はマークシート、第二次検定は記述中心です。

出典:電気工事施工管理技士(1級・2級)|CIC日本建設情報センター

5:電気通信工事施工管理技士

電気通信工事施工管理技士は、通信ケーブルや電話線、無線LAN設備工事といった電気通信工事のほか、監視カメラ設備・河川情報システム工事・ETCの設備工事などと関係のある資格です。

2019年(令和元年)に新しくできた施工管理の資格で、今後さらに通信が高速化することから、需要は増えるといわれています。

出典:1級電気通信工事施工管理技術検定|一般財団法人全国建設研修センター

6:土木施工管理技士

土木施工管理技士は、道路・上下水道・地下構造物といった身近なものから、ダム・港湾・空港・トンネルといった大がかりな建造物まで、携わる工事の幅は広いです。

老朽化による建造物の補修や、近年多くなっている自然災害による復旧作業も手がけるため、土木施工管理技士の需要は今後も見込まれます。

無資格でも、すでに実務経験を積んでいる方は、ぜひ資格の取得を考えてみてはいかがでしょうか。

出典:1級土木施工管理技術検定|一般財団法人全国建設研修センター

7:造園施工管理技士

造園施工管理技士は、公園や庭園・墓苑・遊園地に植栽、移植、ベンチ・テーブルの設置などの工事を手がけます。

造園会社の仕事はほかに、中央分離帯の除草などもありますが、造園施工管理の実務経験にはこのような工事は含まれないため注意しましょう。

出典:1級造園施工管理技術検定|一般財団法人全国建設研修センター

施工管理とはどんな仕事か理解しよう

施工管理とはどんな仕事か理解しよう

施工管理技術検定は7種目あり、2級の場合、建築施工管理と土木施工管理はさらに3種別、建設機械施工管理については6種別に分かれるため、経験のない種別を受験しないように注意しましょう。

また、建設業で手がけたい工事が決まっている学生の方は、受験する施工管理技術検定の指定学科がある高校や大学を選ぶと、指定学科以外の学校を出た人よりも資格取得において有利です。

工事現場における施工計画の作成やコスト管理、近隣住民への説明などを行う施工管理技士は、マネジメントに興味がある人にとってやりがいのある仕事といえます。

建設業界で上を目指したい、収入を増やしたいという方は、施工管理の仕事に対する理解を深め、資格取得を考えてみましょう。

監修:キャリテ編集部【株式会社エーティーエス】

株式会社エーティーエスが運営する本サイト「キャリテ」では、みなさまの「キャリア」「働く」を応援する記事を掲載しています。みなさまのキャリアアップ、より良い「働く」のために、ぜひ記事の内容を参考にしてみてください。

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