あなたの「キャリア」「働く」を応援するメディア

produced by A.T.S Advanced Technology Service
労務が行う具体的な仕事内容とは?仕事のやりがいや役立つ資格なども紹介

労務が行う具体的な仕事内容とは?仕事のやりがいや役立つ資格なども紹介

「労務として働きたいが、具体的な仕事内容が分からず不安」
「そもそも自分は労務に向いているのだろうか?」
このような思いから、労務という働き方に興味は持っているものの、実際に働くことに不安を覚えている人も多いのではないでしょうか。

本記事では、労務とは何かや、労務が行う仕事内容の紹介に加え、役に立つスキルや資格、労務に向いている人に見られる特徴などを具体的に解説しています。

この記事を読むことで、労務として働く際の基礎知識や自分に労務としての適性がどれくらいあるかが分かり、就職・転職活動に役立てることができるでしょう。

労務に興味を持っている人や、実際に労務として働きたいと考えている人は、ぜひこの記事をチェックしてみてください。

労務とは?

労務とは?

労務とは、企業において労働者を管理・サポートする業務のことです。労働者に対して適切な管理・サポートを行って働きやすい環境を作り、労働生産効率を上げる役割があります。

労働者の働き方に対して直接関わる業務のため、仕事範囲は多岐にわたります。労働者の勤怠管理や給与の算出、就業規則の作成、労働者と使用者の間に起こったトラブルへの対応など、様々な役割が求められます。

そのような仕事のため、労働基準法や社会保険制度などの専門知識を持つことも必要となります。

労務と人事の違い

労務と人事の違い

労務と人事の違いという意味では、それぞれはっきりとした定義はありません。企業によっては労務と人事を同じ部署が担当していることもあります。

ただし一般的に、労務は労働者の給与算出や労働上の安全衛生管理など「労働者を管理し、働きやすい環境を作り生産性を上げる業務」を担当します。

人事は人材の採用、研修、人事評価制度の策定など「労働者となる人材を確保・育成し、活用できる場を考える業務」を担当することが多いです。

労務が行う仕事内容

労務が行う仕事内容

ここでは、労務が行う仕事内容を8つ紹介します。

どの仕事も労働者が健全に働いていくために大切なものです。ぜひ目を通しておき、実際に労務として働く前に勉強しておきましょう。

勤怠の管理

労務は、労働者の出退勤時間や休憩時間、時間外労働や休日出勤回数など、労働者の労働時間を正確に把握し管理する仕事です。

これらを把握することにより、就業規則に準じた働き方をしているか確認したり、人事評価の基準にしたりします。

勤怠管理する際は、労働基準法に反した働き方(サービス残業や勤務時間の過少報告など)をしていないか確認することも大切です。そのため、労務として働く際には労働基準法などの法律の知識を持っておく必要があります。

給与の算出

給与の算出は、勤怠管理で把握した情報を用いて、給料の具体的な支払額を計算する仕事です。

基本給や残業手当、法定控除などを考慮し、正確な支払額を出す必要があります。

給与算出業務はミスが許されない重要なものであり、かつ労働基準法や所得税法などの関連する法知識も必要な大変な作業です。そのため、社会保険労務士や給与計算代行サービス会社に外注する場合もあります。

就業規則の作成

就業規則とは、労働者とその使用者の間における雇用のルールを定めたものです。事業場ごとに作成されます。

常時10人以上の労働者を使用する使用者は、労働基準法第89条に則って就業規則を作成し、所轄の労働基準監督署長に届け出なければなりません。

労使間でトラブルが起きないように就業規則を設け、また決めた後も「実態に合った規則になっているか」「規則のせいで問題が起こっていないか」を常に確認し、改善します。

出典:モデル就業規則について|厚生労働省

労使間のトラブル対応

労使間のトラブル対応とは、労働者とその使用者・企業の間にトラブルが起こった場合に対応する仕事です。

労使間におけるトラブルには残業代不払や解雇、またセクハラやパワハラなどのハラスメント、さらにはいじめや嫌がらせの問題もあります。そのような問題が起こった際に労使の間に立ち、両者が納得できる妥協案をまとめるなどします。

また、これらのトラブルを起こさないような環境作りも仕事内容に含まれます。

福利厚生の見直し・改善

福利厚生の見直し・改善とは、福利厚生に関する手続きや提供に関する仕事です。

福利厚生には、導入が法律で義務付けられている「法定福利」と、企業が任意で用意する「法定外福利」があります。

特に、法定外福利は企業の特色が出る場所であり、また労働者のモチベーションにも強く関わるため、労務の手腕が問われる場面とも言えます。

出典:就労条件総合調査:調査の結果|厚生労働省

年末調整業務

年末調整業務とは、毎月の給与支払の際に源泉徴収した所得税の合計額と、その年に実際に納めなければならない所得税額を比べて、その過不足額を清算する業務のことです。

年末調整の際には対象となる労働者に書類を提出してもらい、その内容をチェックしてから税額の計算をします。計算が終了した後は、税務署や自治体へ法定調書を提出します。

出典:令和3年分 年末調整のしかた|国税庁

労働上の安全衛生管理

労働上の安全衛生管理とは、労働者の心身の健康と安全を管理する仕事です。

具体的には、労働安全衛生法に基づいた健康診断の実施および結果の記録、その結果について医師からの意見聴取、その後必要性がある場合は措置をとります。

また、労働者が50人以上いる事業所ではストレスチェックをすべての労働者に対して実施することが義務つけられているため、場合によってはそれらを実行・運用するのも労務が中心となります。

出典:労働安全衛生法|e-Gov法令検索

出典:ストレスチェック制度導入マニュアル|厚生労働省

社会保険の手続き業務

社会保険の手続き業務とは、労災保険や雇用保険、健康保険や厚生年金保険などの、労働者が加入する必要のある保険の手続きをする仕事です。

特に、労働保険(労災保険と雇用保険の総称)は、事業主が労働者を1人でも雇用していれば必ず入らなければならない保険です。

労働者の立場や働きやすい環境を守る際に、保険へ加入するということは大切です。だからこそ、それらに関する手続きも重要な仕事になります。

出典:労働保険とはこのような制度です|厚生労働省

労務の仕事が持つ魅力

労務の仕事が持つ魅力

労務の仕事が持つ魅力は、「労働者の働き方に直接関わりながら、労働環境を守れる」ことでしょう。

現在、日本にあるすべての会社が法律を遵守した働き方や労働者の心身の安全を考えた働き方を実践できているかというと、残念ながらそうではありません。場合によっては、会社の上層部にあたる人ですら、そのような法令順守の意識が低いこともあります。

そのような場合において、労働者の勤怠を確認して法に反した働き方をしていないか確認したり、場合によっては役職者に説明し改善を促したりして直接労働環境を変えられることは、労務の大きな魅力の1つです。

労務に必要とされるスキル

労務に必要とされるスキル

労務に必要とされるスキルは、「秘密保持に対する意識」と「コミュニケーション能力」、そして「労務に対する専門性」です。

労務はその仕事内容上、給与額や個人情報など労働者のプライバシーに触れる機会が多く、労働者から相談を受ける場合もあります。そこで得た情報を外部に漏らさないようにする意識が大切です。

また、相談やトラブル対応などで労働者と直接話し合う機会も多いため、適切にコミュニケーションを取りつつ信頼を得るスキルも大切です。

そして、労務は給与計算や保険加入手続きなどの、専門性の高い業務を要求される仕事も多いです。それらに対する深い知識を持ち、実務にあたれるスキルは重要です。

労務に役立つ資格

労務に役立つ資格

労務として働く際に役立つ資格を、ここでは5つ紹介します。

労務以外の業務で働く際にも役立つ資格が多いため、現時点で労務として働いていない人もぜひチェックしてみてください。

社会保険労務士

社会保険労務士とは、社会保険労務士法に基づいた国家資格者です。

具体的な仕事内容としては、専門家として書類の作成・提出代行や労働関係の紛争の解決手続き、労働保険や社会保険に関する相談への対応などがあります。

社会保険労務士になるには社会保険労務士試験に合格し、一定の実務経験を経たうえで社会保険労務士名簿への登録を受けることが必要です。

出典:社会保険労務士試験オフィシャルサイト|全国社会保険労務士会連合会試験センター

出典:社会保険労務士に関する主な制度|厚生労働省

マイナンバー実務検定

マイナンバー実務検定とは、全日本情報学習振興協会が主催している民間資格です。

マイナンバー制度を理解し、個人情報を保護して適正な取り扱いをするための検定試験であり、3級ではマイナンバー制度の一般的な知識を、2級・1級ではさらに専門的な知識を身につけられます。

出典:マイナンバー実務検定|一般財団法人全日本情報学習振興協会

衛生管理者

衛生管理者とは、労働安全衛生法に基づいた国家資格者です。

具体的な仕事内容として、作業環境の衛生管理や労働者の健康管理・衛生教育などがあります。

また、衛生管理者の資格は第一種衛生管理者と第二種衛生管理者の2つがあります。

第一種衛生管理者は、有害業務(健康被害を引き起こすおそれのある業務)を含む業種でも衛生管理者として働くことができます。

第二種衛生管理者は、有害業務の少ない業種(デスクワークや営業が主体となる業種など)に限り衛生管理者として働くことができます。自分に必要なのはどちらなのか、事前に確認しておきましょう。

出典:受験資格(第一種衛生管理者・第二種衛生管理者)|公益財団法人安全衛生技術試験協会

出典:職場のあんぜんサイト:衛生管理者[安全衛生キーワード]|厚生労働省

メンタルヘルス・マネジメント検定試験

メンタルヘルス・マネジメント検定試験とは、大阪商工会議所と施行商工会議所が主催している民間資格です。

仕事に関して不安や悩み、ストレスを抱える人が増加傾向にある現在、心の健康管理への取り組みも一層重要となっています。

この試験では、働く人達の心の不調を未然に防止すること、活力のある職場を作ることを目指し、メンタルヘルスケアに関する必要な知識や対処方法を習得します。

出典:メンタルヘルス・マネジメント検定試験|大阪商工会議所、施行商工会議所

MOS

MOSとは「マイクロソフト オフィス スペシャリスト」の略であり、ExcelやWordなどのMicrosoft Office製品の利用スキルを証明できる国際資格です。

MOSを習得することにより、職場でMicrosoft Office製品を使う際に知識を活かせるほか、自分のパソコンスキルを客観的に証明できます。

出典:試験概要|MOS公式サイト

労務に向いている人に見られる特徴

労務に向いている人に見られる特徴

労務に向いている人に見られる特徴として、「コツコツとした作業ができる」「コミュニケーション能力がある」「法律への学習意欲が高い」などがあります。

労務は入力や計算などの細かい事務処理が多い仕事です。そのような作業をコツコツとこなせる人でなければ苦痛に感じてしまうでしょう。

また、「労務に必要とされるスキル」でも書きましたが、労務は労働者と直接話すことも多いため、コミュニケーション能力も大切になってきます。

さらに労働に関する法律の知識も求められるため、法律を学ぶ意欲が高い人は労務に向いていると言えます。

労務からのキャリアパス

労務からのキャリアパス

労務からのキャリアパスとして、人事・労務部のスペシャリストとして昇進することが挙げられます。

労務として実務経験を積みながら、課長や部長などの地位に昇進していくキャリアパスです。労務だけでなく人事としての知識や経験も積むことで、活躍するチャンスを広げることもできます。

昇進することによって、経営陣と近い場所で組織作りをサポートすることもできるでしょう。

労務の仕事内容を把握しておこう

労務の仕事内容を把握しておこう

ここまで、労務の仕事について解説してきました。

労務は幅広い仕事を求められる業務ですが、労働者の働き方に直接関わることができるやりがいのある仕事です。

もし、この記事で労務という仕事に興味を持ったのであれば、ぜひその道も視野に入れてみてください。

監修:キャリテ編集部【株式会社エーティーエス】

株式会社エーティーエスが運営する本サイト「キャリテ」では、みなさまの「キャリア」「働く」を応援する記事を掲載しています。みなさまのキャリアアップ、より良い「働く」のために、ぜひ記事の内容を参考にしてみてください。

新着記事