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個人事業主がおさえておきたい帳簿のつけ方| 複式簿記や青色申告との関係も説明

個人事業主がおさえておきたい帳簿のつけ方| 複式簿記や青色申告との関係も説明

「個人事業主は帳簿をつけなければいけないって本当?」
「帳簿にはどんな種類があるんだろう?」
「帳簿の付け方がわからないから教えてほしい!」
このように、個人事業主で帳簿の作成を考えている方の中には、たくさんの疑問や不安がある方もいるのではないでしょうか。

本記事では、帳簿の枠割や帳簿作成が必要な理由といった基礎知識に加えて、帳簿のつけ方や、つける際の考え方についてポイントを紹介しています。

本記事を読むことで、帳簿の種類や、作成手順について把握できます。その知識をもとに自分で帳簿を作成することで、確定申告時に白色申告だけでなく、青色申告を行い、特別控除を使えるようになるでしょう。

帳簿のつけ方に不安がある方は、ぜひこの記事をチェックしてみてください。

帳簿の役割

帳簿の役割

これから個人事業を始める人や、フリーランスで働く予定の人なら、一度は帳簿という単語について聞いたことがあるのではないでしょうか。ただ、帳簿という単語は知っていても、実際にどのようなものなのか、人に説明できる人は多くはないのではないかと思います。

帳簿とは何か、個人事業主やフリーランスに、なぜ帳簿が必要なのかを解説していきます。

取引やお金の流れを記録する帳面

帳簿とは、正式には会計帳簿といい、事業の取引やお金の流れを記録する帳面や台帳のことを指します。この後詳しく説明しますが、帳簿には、主要簿、補助簿など様々な種類が存在します。

帳簿を作成すると聞いて、面倒な作業と思われた方もいらっしゃるかもしれませんが、帳簿を正確につけることで、事業の財政状態や経営成績を正確に把握することができるため、重要な作業だと言えます。

すべての個人事業主に記帳義務がある

以前は小規模な白色申告なら記帳が免除されていましたが、2014年1月から、すべての個人事業主は記帳と帳簿保存が義務化されています。

白色申告と青色申告で帳簿のつけ方は変わりますが、個人事業主として必ず必要な作業であることは覚えておくと良いでしょう。

出典:帳簿の記帳のしかた|税務署(PDF)

個人事業主が帳簿を付ける理由

個人事業主が帳簿を付ける理由

日本では、納税者自らが所得等を申告することで税額を確定し納付する、申告納税制度を採用しています。

正しく所得を計算するためには、事業の取引やお金の流れを正確に把握する必要があるため、個人事業主には帳簿付けが必要と言えます。

出典:4. 申告納税制度|国税庁

帳簿のつけ方

帳簿のつけ方

帳簿には、簡易簿記と複式簿記の2つのつけ方があります。また、確定申告は青色申告と白色申告があります。

自分が行う確定申告の方法によって、求められる帳簿のつけ方や種類が変わるため、まずは帳簿のつけ方や考え方について知っていきましょう。

簡易簿記と複式簿記

簡易簿記では、取引の収支や内容のみを記録し、複式簿記ではお金の出入りと、その要因について記録します。

例えば、1月31日に事業で電車代を現金で5,000円支払った場合を考えます。簡易簿記では、1月31日旅費交通費5,000円と記録します。複式簿記では、1月31日旅費交通費5,000円現金5,000円と1行に記録します。

簡易簿記では、旅費交通費として5,000円支払ったことしかわかりませんが、複式簿記ではそれが現金で支払われたことがわかるようになっています。

青色申告と白色申告で異なる帳簿の作成方法

確定申告では、青色申告と白色申告の2つから任意の方法を選べますが、求められる帳簿の作成方法が異なります。具体的には、青色申告では、簡易簿記、複式簿記どちらかを選び、白色申告は簡易簿記で良いとされています。

ここで注意したいのが、青色申告特別控除で55万円(e-Taxで65万円)の控除を利用したい場合は、複式簿記で作成した帳簿が必要な点です。控除とは収入から引くことのできるもので、控除額が大きいと納める税金が少なくなります。

簡易簿記で青色申告した場合は、10万円の控除額になり、白色申告の場合、控除はないため、複式簿記で帳簿をつけた方がメリットが大きいと言えます。

出典:No.2070 青色申告制度|国税庁

出典:No.2080 白色申告者の記帳・帳簿等保存制度|国税庁

発生主義と現金主義の違い

簡易簿記、複式簿記以外にも帳簿をつける際に気をつけたいのが、発生主義と現金主義という考え方の違いです。

発生主義は売上や費用を債権債務が確定日に計上する方法、一方、現金主義は入出金時点で計上する方法です。

例えば、2月1日に商品を売り、その代金を2月10日に回収したとします。発生主義では、2月1日に帳簿を付けますが、現金主義では、2月10日に帳簿をつけます。

ただし、会計処理上は、発生主義を採用していることは、覚えておくと良いでしょう。

帳簿の種類【青色申告の55万円控除に必要な主要簿】

帳簿の種類【青色申告の55万円控除に必要な主要簿】

帳簿には、大きく主要簿と補助簿の2つがあり、青色申告特別控除を利用したい場合は、主要簿と補助簿が両方必要です。

さらに主要簿は、仕訳帳と総勘定元帳の2つからなります。それぞれどのような帳簿なのかを具体的に紹介していきます。

仕訳帳

仕訳帳とは、日々の取引記録を、勘定科目に関係なく日付順に記録した帳簿のことです。

日付順に帳簿を付けることで、抜け漏れなどが発生しにくいメリットがあります。

日付(年月日)、借方と貸方に勘定科目と金額、摘要に取引先などを記帳します。

総勘定元帳

総勘定元帳は、発生した取引記録を勘定科目ごとにまとめた帳簿のことです。

特定の勘定科目の金額を確認したい場合に、すぐにわかるメリットがあります。

例えば、現金の勘定科目を確認すれば、手元にいくら現金が残っているかわかるといった具合です。

帳簿の種類【青色申告・白色申告で必要な補助簿】

帳簿の種類【青色申告・白色申告で必要な補助簿】

補助簿は、主要簿の詳しい取引を記録(補助)するために作成される帳簿です。青色申告、白色申告の両方で、作成が必要です。

補助簿には、現金出納帳、売掛帳、経費帳など様々な種類があります。世の中にはたくさんの補助簿がありますが、全てを作成する必要はなく、事業によって必要なものを作成すれば良いとなっています。

ここでは、その中でも代表的な補助簿に絞って紹介していきます。

現金出納帳

現金出納帳は、日々の現金を管理するために作成され、入出金があった場合、その取引内容を記録します。

どのような事業でも、現金を持たないということは少ないと考えられるため、どの事業でも作成される補助簿だと考えられます。

あるはずの現金が無い事態が起こらないよう、記帳すると良いでしょう。

預金出納帳

預金出納帳は、日々の預金残高を把握するために作成される補助簿です。

報酬の受け渡しは銀行間で取引するケースが多いと思われるため、どの事業でも作成が必要な補助簿と考えられます。

また、取引先によって銀行口座を使い分けているなど口座を複数持っている場合は、銀行ごとに作成が必要になります。

売掛帳

ビジネスの世界では、何か取引をする際、すぐにお金が動くわけはなく、後払いをすることが多いです。これを掛け取引と言います。

売掛帳とは、まだ支払われていない取引残高を把握するために作成される補助簿です。日付、摘要、売上金額、回収金額、残高を記帳します。

また、取引先が複数の場合、取引先ごとに作成します。売掛帳を確認することで、取引先ごとの未回収残高がどの程度あるのか、すぐに把握できます。

買掛帳

買掛帳とは、未払いの取引残高を把握するために作成される補助簿です。日付、摘要、仕入金額、支払金額、残高を記帳します。

売掛帳同様に、取引先が複数ある場合、取引先ごとに作成します。買掛帳を確認することで、未払いの取引残高がどの程度あるのか、滞留していないかを、すぐに把握できます。

経費帳

経費帳は、旅費交通費や、消耗品費などを購入した際に作成される補助簿です。日付、摘要、購入金額、合計金額を記帳します。

勘定科目ごとに作成するため、旅費交通費と消耗品費の補助簿は分けて記載することになります。

固定資産台帳

固定資産台帳は、事業に使用している減価償却資産を管理するための補助簿です。

減価償却資産とは、1年以上使う10万円以上の機械、車両、備品などのことです。これらの資産は、年月と共にその価値が減っていくため、法定耐用年数で分割して、1年ごとに経費として計上していきます。

固定資産台帳を見ることで、資産をいつ購入したか、いくら償却したか、資産としてどれぐらい残っているかが把握できます。

出典:No.2100 減価償却のあらまし|国税庁

帳簿作成の手順例

帳簿作成の手順例

帳簿の作成方法や作成する種類について紹介してきましたが、実際に帳簿はどのような手順で作成されていくのでしょうか。

ここからはステップと作業を解説していきますので、帳簿作成に不安のある方はぜひご覧になってください。

領収書や通帳などの記載内容を整理する

帳簿を付けるにあたってまず必要なのは、記録の元となる情報を漏れなく集め、時系列順などに整理しておくことです。例えば、消耗品を購入した際の領収書やレシート、銀行口座の入出金情報などがこれにあたります。

レシートなどは、個人事業主の分とプライベートで混ざってしまったり、うっかり捨ててしまったりしないように注意が必要でしょう。

取引内容を帳簿に記帳する

必要な情報を整理したら、実際に記帳を行なっていきます。

複式簿記の場合では、日付ごとに日々の取引を各勘定科目に従って仕訳帳に記帳していきます。仕訳帳への記帳が終わったら、勘定科目ごとに総勘定元帳に転記し、さらに補助簿を作成していきます。

仕訳帳、総勘定元帳、補助簿の順に記帳する流れを覚えておくと良いでしょう。

利益や損失を計算する

総勘定元帳などの情報から利益や損失が計算できます(より具体的には、貸借対照表や損益計算書が作成できます)。

日々の記帳をおろそかにすると、取引の詳細を忘れてしまうだけでなく、正確な利益や損失を計算できなくなるため、日々記帳を行い、途中の段階でも利益や損失がいくらになっているのか把握すると良いでしょう。

確定申告用の青色申告決算書などを作成する

計算した内容を青色申告決算書に記入していきます。貸借対照表や損益計算書を作成できていれば、その内容を移せば書類の完成に手間取ることはないと思います。

逆にいうと、日々の記帳が行われていないと、青色申告決算書の作成は難しいと考えられるため、個人事業主やフリーランスとして働きたい方は、レシートや領収書をためこんでしまわないように、帳簿を付ける時間を確保すると良いのではないかと思います。

帳簿や領収書の保管年数

帳簿や領収書の保管年数

帳簿や領収書などは保管年数が定められているため、書類をずっと保管していなければいけないわけではありません。保管期限はその事業年度の確定申告期限日の翌日から7年間となっています。

なお、青色申告では主要簿や補助簿などの帳簿は7年間保存が必要ですが、白色申告では、収入金額や経費などを記載した帳簿(法定帳簿)は7年間保存し、そのほか任意に作成した帳簿(任意帳簿)は5年間の保存期間で良いとされています。

保存義務に違反した際の罰則はないものの、税務署から問い合わせがあった場合に、帳簿などの資料がないと、申告の正確性を主張できるものがないため、必ず保管しておきましょう。

出典:No.5930 帳簿書類等の保存期間|国税庁

帳簿の電子保存

帳簿の電子保存

電子帳簿保存法により、国税関係帳簿書類を電子データで保存できます。電子データとは具体的には、DVDやハードディスクだけでなく、データをクラウド上で保管することをさします。

レシートなど紙で受け取ったデータを、スキャナ保存して保管することも認められています。ただし、タイムスタンプが必要であること、データをスキャナで取り込むまでの期間が決められているなど注意が必要なため、利用する前に確認するようにしましょう。

出典:電子帳簿保存法が改正されました|国税庁(PDF)

個人事業主の帳簿の種類やつけ方を理解しよう

個人事業主の帳簿の種類やつけ方を理解しよう

申告納税制度によって、個人事業主自らが、所得を計算し、税金の額を確定させ、納付しなければいけません。正しい申告には帳簿を付ける必要がありますが、帳簿にはつけ方や、様々な種類があるため、大変な作業だと思われた方もいらっしゃるかもしれません。

この記事を読むことで、帳簿のつけ方が理解できると思いますので、帳簿の作成に不安がある方は、この記事を読み返していただければと思います。

※初回公開日:2023年8月1日

監修:キャリテ編集部【株式会社エーティーエス】

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