在職中の転職活動は違法になる?違反との違いやペナルティの例などを紹介
「転職活動をしたいけど、在職中に転職活動ってしてもいいの?」
「在職中の転職活動って法的に問題はない?」
「在職中の転職活動と、仕事を辞めてからの就職活動はどちらが有利?」
在職中に転職活動をするにあたって、このような疑問を抱いている方も多いのではないでしょうか。現在、日本では自由に転職を行うことが可能となっています。
自由に転職が可能とはいえ、最低限守らなければならないルールなどもあるため、この記事では、在職中の転職活動について注意点やメリットなどを紹介していきます。
注意点やメリットなどを踏まえた上で転職活動を行うことにより、一層スムーズな転職活動に繋がることでしょう。
在職中の転職活動は違法になるのか気になるという方は、ぜひチェックしてみてください。
在職中の転職活動は違法になる?
結論から述べますと、在職中の転職活動は違法ではありません。日本国憲法において、何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有すると定められているため、自由に転職活動を行うことが可能でしょう。
ただし、上記のように違法ではありませんが、いくつか注意しなければならないことがあります。
労働者は「労働契約の原則」により会社に対して誠実に働くことが求められているため、転職活動をしたいからといって、就業中に面接を受けることや、作業中にスマートフォンやPCなどを使用しての求人検索などは避けるようにしましょう。
就業中に転職活動をしていることが会社にわかってしまうと、就業規則に違反しているとみなされ、訓戒や懲戒などのペナルティを受ける可能性があります。また、転職活動に影響を及ぼす可能性もあるため、就業時間内においては作業に集中することをおすすめします。
「違法」と「違反」の違い
こちらでは「違法」と「違反」の違いについて紹介していきます。違法とは、法律の定めから外れている行動、行為をすることを指します。違法は、あくまでも法律の中で決められたことに反していなければ罰せられることはありません。
違反とは、命令や協定、契約などにそむくことをいいます。就業規則へ記載している内容については法律における条例として定められているわけではないため、就業規則に反する行為をすることについては、違法ではなく違反を使用します。
例をあげると、転職活動を行うために週単位もしくは月単位などで休暇を取得する、就業中においても作業に関係のないことをする、著しく勤務態度が不良であるなどの行動は法規上、違法ではありませんが就業規則及び職務規定に違反しているといえるでしょう。
在職中の転職活動でペナルティを与えられた例
在職中に転職活動を行うことは違法でも違反でもありませんが、ペナルティを与えられてしまう例もあります。
下記で紹介する例と同じような行為をすることで自身へ不利に働くこともあるため、注意しましょう。
「競業避止義務」に違反した
個人には職業選択の自由が与えられていますが、競業避止義務契約を結んでいる場合においては、その限りではありません。競業避止義務とは、就業規則の中に定められており、在職中の企業に不利益を与える可能性のある競業行為を禁止する定めです。
競業避止義務契約が有効となる判断基準については、いくつかの項目があります。
守るべき企業の利益があるか否か、利益があることを前提とし契約の内容が合理的な範囲に留まっているか否か、従業員の地位が義務を課す立場にあるものといえるか否か、という項目です。
また、ほかにも地域的な限定があるか否か、競業避止義務の存続期間、範囲に必要な制限がかけられているか否か、代償措置が講じられているか否かの項目により判断を行っています。
競合他社への就職後に企業秘密をもらした
競合他社への転職後にも注意しなければならない点があるため、紹介していきます。就業規則には、競業避止義務契約のほかに秘密保持契約があり、各企業によって締結される内容はさまざまですが、例にあげると営業情報、サービス情報などが該当します。
秘密保持契約で締結されている情報を競合他社へ漏洩させることは、秘密保持契約に違反することとなり、秘密保持契約において秘密保持義務や損害賠償については期間の定めがないため、注意が必要です。
在職中に転職活動をする場合の注意点10選
ここからは、在職中に転職活動をする場合の注意点について紹介していきます。今回は「会社の就業規則をよく読む」を始めとした、10項目をピックアップしていきます。
在職中に転職活動をする場合の注意点10選についてご興味がある方は、これらをしっかり確認しながら転職活動に励みましょう。
- 会社の就業規則をよく読む
- 会社の退職規定をしっかり理解しておく
- 転職活動はこっそり行う
- 勤務時間中に転職活動をしない
- 転職活動で有休を使う場合は理由をうまく隠す
- 会社で転職活動がバレるような行為は控える
- 会社から支給されているPCやスマホは使わない
- 転職活動の様子をSNSにアップしない
- 仕事の手を抜かない
- 転職先が決まったら余裕をもって退職届を出す
1:会社の就業規則をよく読む
まずは、就業規則をしっかりと読むことが大切になります。就業規則は入社時に紙媒体で配布されていたり、社内の誰もが見られる場所に保管されていたりするため、確認しておきましょう。
特に、退職についての規定の項目を熟読しておくことをおすすめします。
2:会社の退職規定をしっかり理解しておく
就業規則の項目の中に退職規定の記載があるため、しっかり理解しましょう。まず、退職するにあたって重要な事項があります。民法の規定により退職するには、退職予定の日から起算して14日前までに退職の申し出をしなければなりません。
退職の基本的な流れとしては、退職願の提出もしくは口頭による退職の申し出を行います。会社の承認が得られると退職という流れになりますが、承認がなくとも退職願を会社が受理して14日が経過すれば退職は可能です。
3:転職活動はこっそり行う
転職活動を行うときは、なるべく在職中の会社には知られないようにしましょう。
競合他社へ転職するのであれば在職中の会社へ不利益なことが起こるのではないかと、あらぬ疑いをかけられる可能性があり、さらに転職する予定の企業まで知られてしまうと邪魔が入る可能性もあるため、注意が必要です。
4:勤務時間中に転職活動をしない
前述したように、勤務時間中に転職活動を行うことは控えましょう。勤務時間中の転職活動は生産能力を著しく低下させるとともに、在職中の企業へ不利益を与えてしまうこととなります。場合によっては罰則を受ける可能性もあるため、気をつけましょう。
5:転職活動で有休を使う場合は理由をうまく隠す
有給休暇の申請についてですが、有休の申請事由に転職活動を行うためと記載すると、受理されない可能性があります。そのため、転職活動で有休を使用する場合は転職活動のためと記載せずに、ほかの理由を考えましょう。
1日程度の有休取得であれば、体調不良や家庭の事情でやむを得ず取得しなければならなくなったという理由が比較的取得しやすい理由ではないでしょうか。
6:会社で転職活動がバレるような行為は控える
転職活動をしている中で、在職中の企業に転職活動をしていることがわかってしまうと、転職活動へ邪魔が入ったり、企業側は退職することを前提として考えるため、膨大な仕事の量を振り分けられたりと、自分に負担がかかる可能性があるでしょう。
また、社内の人間が自分の味方になってくれるとは限らないため、なるべく転職活動は秘密裏に行い、同僚にも退職するギリギリまで転職活動をしているという話はしないことをおすすめします。
7:会社から支給されているPCやスマホは使わない
転職活動を行うときに、会社から支給されているPCやスマートフォンは使用しないようにしましょう。会社から支給されているPCやスマートフォンにはログを管理する機能やアプリケーションが入っている可能性もあります。
ログを辿ってどこへ転職しようとしているのか調べることも可能であるほか、会社支給の備品を私用で使っていると判断され、罰則を受ける可能性もあります。転職サイトや求人情報を調べるときは個人のPCやスマートフォンを使用しましょう。
8:転職活動の様子をSNSにアップしない
昨今ではSNSが幅広く普及しており、不特定多数の人間が個人の写真や動画を閲覧することが可能となっています。転職活動の様子をSNSにアップするということは、在職中の企業内の人間に転職活動をしていることがわかってしまう可能性があります。
ちなみにSNSにおいてはどのようなものでもアップロードしていいとは言えません。例えば、転職先企業の情報や企業内の写真などに会社の機密情報が映り込んでしまっている可能性もあるため、転職活動の内容や写真についてはアップロードを控えましょう。
9:仕事の手を抜かない
就業中においては、作業に集中することが大切です。転職活動は就業時間内ではなく休み時間や平日夜間、休日などに行いましょう。
転職活動をしていることを公にしている場合、作業に集中できていないのは、転職活動のせいではないかと周りから批判を受けたり、上司より叱責を受けたりする可能性もあるため、注意が必要です。
10:転職先が決まったら余裕をもって退職届を出す
転職先が決定した場合についてですが、決定したからといってすぐに退職できるわけではありません。前述したように、退職をするには前もって申告する必要があります。
企業によっては引き継ぎの期間なども考慮しなければならないため、退職願を提出する際は1ヶ月程度の余裕があるとスムーズに退職の手続きができるでしょう。
在職中に転職活動する場合のメリット
在職中の転職活動はたくさんのメリットが生じ、逆に失業中においての就職活動は、心にもお金にも余裕がない状態での就職活動になる可能性もあるでしょう。
早く働かなければならないという焦りから正常な判断ができない可能性もあるため、転職活動を行うのであれば、在職中に行うことをおすすめします。ここからは、在職中に転職活動する場合のメリットについて紹介していきます。
- ブランク期間が発生しない
- 金銭の心配が少ない
- 慌てて転職先を探さずに済む
- 現職で働き続けるという選択肢が選べる
1:ブランク期間が発生しない
在職中の転職活動のメリットとして、ブランク期間が発生しないということが挙げられます。次の転職先へ入社するまでに、2週間~1ヶ月程度の短いスパンで働き始めることが可能となるため、特に競合他社への転職であればブランクがないことは強みになるでしょう。
2:金銭の心配が少ない
退職してからの就職活動は、給与がない状態での生活をしていかなければならないため、金銭的な部分で不安になることがあるでしょう。金銭面の不安は、心に負担がかかり早く就職先を見つけなければならないと焦りの気持ちが生まれてしまいます。
在職中であれば、給与を貰いながら転職活動が可能なため、金銭的な不安がなくなり心に余裕ができるため、自分にあった転職先をしっかりと探すことが可能でしょう。
3:慌てて転職先を探さずに済む
失業中の就職活動においては、次の就職先がすぐに見つからない可能性があります。就職先がなかなか決まらないという焦りから、自分の希望を満たす企業への就職が叶わず、適当な企業へ入社してすぐに希望に合わないから退職するという負のスパイラルに陥りかねません。
失業保険の支給もありますが、基本的に転職での退職は自己都合扱いでの退職となるため、一定の期間は支給されません。この期間内は無給の状態になり、生活が逼迫する可能性もあるため注意しましょう。
手元に資金がない状態での就職先探しは、気持ちに余裕がなくなってしまい、慌てて適当な企業へ入社をしてしまうと後悔することになりかねません。そのため、余裕のある在職中に希望の企業へ転職をしましょう。
4:現職で働き続けるという選択肢が選べる
転職活動を行うことは多くの労力を必要とします。在職中であれば、希望に合わない企業しか見つからない場合においても、希望の合う企業が見つかるまで現職で働き続けることが可能となります。
時間がかかればかかるほど、今の仕事を簡単に辞めなくてよかったと思うことでしょう。現職で働き続けるという選択肢を残しておくことも1つの手段です。
在職中の転職活動は誠実に臨もう
在職中に転職活動をする場合は、就業時間内の活動は控え、休憩時間や退社後、または休日などに取り組むようにしましょう。在職中の企業へ迷惑をかけることのないように就業時間中は作業に集中し、転職先が決定した場合においては期間に余裕をもって退職の申し出をします。
企業と自分にとってお互い不利益を生まない形での転職が望ましいため、特に競合他社へ転職をする場合は、前職での機密事項の漏洩防止に努めましょう。
監修:キャリテ編集部【株式会社エーティーエス】
株式会社エーティーエスが運営する本サイト「キャリテ」では、みなさまの「キャリア」「働く」を応援する記事を掲載しています。みなさまのキャリアアップ、より良い「働く」のために、ぜひ記事の内容を参考にしてみてください。
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