給与明細を保管する必要性とは?メリットや失くした場合の対処法も解説
「給与明細って保管する必要はあるの?」
「給与明細が必要なケースや失くした場合の対処法を知りたい」
このように、給与明細の保管や必要性に関して疑問を持っている人もいるのではないでしょうか。
本記事では、給与明細を保管する必要性や保管方法とともに、保管するメリットや万が一紛失した場合の対処法、給与明細が必要となるケースについて解説します。
この記事を読むことで、給与明細がどのような場面で必要になるのか、なぜ保管しておかなければいけないのか把握することが可能です。この知識をもとに、給与明細を正しく保管して必要なときに利用できるでしょう。
給与明細を保管するべきかどうか悩んでいる人は、ぜひこの記事をチェックしてください。
目次
給与明細は保管が必要?
給与明細を会社から受け取った後、その取扱いに関しては特に義務はありません。あくまで保管の義務があるのは会社側になります。
従業員側はそのまま破棄してもいいですが、給与明細には受け取った給料の証明書や支払った税金や社会保険料の証明として利用できるという特徴があるため、保管しておくことが望ましいと言われています。
給与明細は何年分保管しておくもの?
給与明細の保管は義務ではないため、保管する給与明細の期間や量についても特に決まっていません。そのため、何年分保管しなければいけないという決まりもありません。
ただ、雇用保険申請の時効が2年とされていることから、最低でも2年間は保管しておくことが望ましいとされています。
出典:雇用保険の給付金は、2年の時効の期間内であれば、支給申請が可能です。|東京労働局
給与明細が必要なケース
給与明細の提示や提出が必要となるケースとしては、給料や保険料、給付金などに関連する手続きをするときが挙げられます。
ほかにも給与以外の収入がある人の場合は、自分たちで確定申告を行わなければならないため、そのときにも給与明細が必要です。
このように給与明細が必要なケースはいくつかあるため、保管しておくことが推奨されています。ここからは、給与明細が必要なケースについて具体的に解説します。
出典:1.基本的な事項|国税庁
未払い給与を請求するとき
未払いの給与が発生している場合は、会社側に対して未払いの給与を請求できます。請求できる期間は限定されているものの、期間内であれば通常の賃金のほかにも残業代や休日手当なども請求可能です。
未払いの給与を請求する場合、未払いの給与が発生しているかどうかを証明するための資料として給与明細が必要となります。
会社側も給与明細を保管していますが、自己管理しておく方が良いでしょう。
出典:事業主の皆さま、労働者の皆さま|厚生労働省・都道府県労働局・労働基準監督署(PDF)
厚生年金保険料の内容を確認するとき
正社員またはフルタイムで会社に就職している場合は、国民年金以外にも厚生年金の保険料が給料から天引きされます。天引きされている厚生年金の保険料は毎月の保険料額と賞与の保険料額で異なっており、内容を給与明細で確認することが可能です。
このような点から、厚生年金の加入期間や未納期間、支払金額などの確認をするときには、給与明細が必要となります。
失業給付金の計算
会社を何らかの理由で退職する際、仕事をする意思・能力のある人が次の仕事を見つけるための支援をする制度として設けられているのが失業保険です。失業保険で支給される失業給付金は一律ではなく、退職理由や年齢、退職前の給与によって変動します。
失業給付金の計算をするためには、退職前の6か月分の給与総額の確認が必要です。さらに、失業給付金の計算に必要な離職票に記載されている金額が正しいことを証明するという意味でも、過去の給与明細の保管が重要になります。
給与以外に収入がある場合の確定申告
給与以外に収入がある人は、自分で確定申告をしなければならないケースがあります。確定申告をするときには給与所得も申告しなければいけないため、源泉徴収票か給与明細を提出します。
また、住宅ローンや医療費などの控除や還付を受ける場合にも確定申告が必要になるため、源泉徴収票か給与明細の準備が必要です。
給与明細を保管するメリット
給与明細は、その人のお金に関連する情報が詰まった重要な個人情報記録です。保管しておくことで収入や支出に関する情報だけではなく、保険料や税金などの控除される金額についても一目で確認できるようになっています。
ここからは、給与明細を保管するメリットについて解説します。
- 控除される金額を確認できる
- 収入や支出の確認ができる
控除される金額を確認できる
給与明細には会社から支払われた給与だけではなく、控除される金額も明記されています。控除される金額というのは、一般的には以下の内容が該当することが多いです。
・健康保険料
・厚生年金保険料
・雇用保険料
・所得税
・住民税
・介護保険料(40~64歳の場合)
ほかにも会社の種類、業種や職種によって控除される項目が増減するため、控除される種類や金額について確認したい場合には給与明細があると便利です。
収入や支出の確認ができる
基本的に給与明細で確認できる情報として挙げられているのが収入や支出に関する部分です。支出は前述した控除される項目とその金額で、収入は基本給や時給、手当関連、残業代などを含めた総支給額のことを指します。
一般的に給与として支払われるのは総支給額の8割程度とされており、残りの2割程度が控除として天引きされることが多いです。自分が最終的にどの程度の収入を得ていて、その中からどの程度支出しているのか、内容に間違いがないかを毎月確認できるようになっています。
万が一給与明細を失くした場合は?
万が一給与明細を処分してしまったもしくは紛失してしまった場合は、会社で再発行してもらえる可能性があります。
会社側は労働基準法に基づいて、賃金台帳の作成ならびに3年間の保管が義務づけられているため、過去3年分の給与明細を保管しているからです。
ただこれはあくまでも保管の義務が法律で定められているだけで、再発行に関する規則は会社によって異なります。場合によっては再発行してもらえない、口頭でのみ伝えられるという場合もあるようです。
また、あくまでも保管義務は3年間となっており、それ以前の給与明細は廃棄されている可能性があるため、その点を踏まえて再発行してもらうかどうか検討しましょう。
出典:~労働関係法令上の帳簿等の種類と保存期間について(簡易版)~|厚生労働省(PDF)
給与明細を保管する方法
給与明細は保管するメリットや必要となるケースがあることから、できる限り保管しておきたい書類の1つです。ただ実際に保管するとなると、紛失しないようにどうやって保管すればいいのかわからないという人もいるのではないでしょうか。
保管しているという人も、最初は丁寧にしていたのにいつの間にか、ぐしゃぐしゃになってわからなくなってしまったというケースもあるようです。
ここからは、給与明細保管の方法について2つほど紹介します。
データ化する
給与明細をデータ化している会社であれば、データ化された給与明細をスクリーンショットし、PCやスマートフォン内、USBなどに保管できます。
書面の場合は、スマートフォンやデジタルカメラで撮影したものをデータ化して保管する方法もあるでしょう。ほかにも、スキャナーでPCに取り込みPDF化して保存することもできます。
ファイリングして専用スペースで保管する
紙媒体で保管するのであれば、2穴ファイルやバインダーなどに時系列でファイリングする方法もおすすめです。時系列であれば過去の情報を確認するときにもわかりやすく、片付ける際にも手間がかかりません。
また、ファイルは適当なところに片付けるのではなく、給与明細専用のスペースを作って保管するようにすれば、ファイル自体が紛失してしまう事態を予防できます。
給与明細を保管する必要性を知っておこう
給与明細の保管義務は会社側のみのもので、従業員側にはありません。ただ廃棄してしまうと再発行できない可能性があるほか、いざ必要となる場面が出てきてもすぐに再発行してもらえないこともあります。
給与明細は最低でも2年ほど保管しておけば、自分の収入や支出に関して定期的に確認できるため、必要性を理解した上で適切に保管しておきましょう。
初回公開日:2023年12月19日
監修:キャリテ編集部【株式会社エーティーエス】
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