確定申告で必要な持ち物とは?医療費控除などケースによって必要となるものも解説
「確定申告会場での確定申告を予定しているけど、必要になる持ち物は?」
「申告の種類や控除の種類の違いによって、必要になる持ち物は変わる?」
「住宅ローンで家を購入した。住宅ローン控除を受けるために必要になる書類は?」
確定申告の時期になるとこのような悩みを抱える方が多くなるのではないでしょうか。
この記事では、確定申告で必要な持ち物や医療費控除など、ケース別に必要になる持ち物を紹介していきます。この記事を読むことで、確定申告で必要になる持ち物を把握でき、持ち物を忘れて確定申告ができなかったという事態を避けられるでしょう。
確定申告で必要な持ち物が知りたい方や確定申告の持ち物について確認したい方は、ぜひこの記事を参考にしてください。
目次
確定申告で必要となる持ち物
自宅でスマホやパソコンからも確定申告はできますが、操作がわからないから税務署の窓口や確定申告会場に行って作成したいという方や、自宅で作成した確定申告書を直接提出したいという方もいるでしょう。
税務署の窓口や確定申告会場で確定申告する場合、事前に必要となる持ち物を確認しておいてください。当日、忘れ物をしてしまうと確定申告ができず、もう一度、税務署の窓口などに行かなくてはいけなくなります。
以下では、確定申告で必要となる主な持ち物を紹介していきますので、参考にしてください。
確定申告書
確定申告するすべての方に確定申告書が必要です。
確定申告書は、国税庁のホームページの「確定申告の手引き」からダウンロードするか、税務署の窓口や確定申告会場、市区町村の担当窓口で受け取るようにしてください。
また、国税庁のホームページにある「確定申告書等作成コーナー」に行けば、パソコンやスマホで確定申告書の作成を終わらせておくことも可能です。
確定申告書には、申告書Aと申告書Bの2種類の用紙があります。申告書Aは給与所得・雑所得・配当所得・一時所得がある方が使用するもので、申告書Bはすべての所得が対象です。
会社員やアルバイトの方は申告書Aを使い、個人事業主やフリーランスの方は申告書Bを使います。
ただ、申告書Aは令和5年1月に廃止され、申告書Bに統一されることになっており、令和3年度の申告分までしか使えません。
出典:所得税及び復興特別所得税の確定申告の手引き|国税庁(PDF)
青色申告の場合は青色決算申告書
青色申告を予定している方は、青色決算申告書が必要です。
青色決算申告書は、売上金額や経費、青色申告控除額などを記載する損益計算書と仕入金額や専従者給与の内訳などを記載する損益計算書の内訳明細書、資産や負債などを記載する貸借対照表で構成されています。
青色決算申告書は、税務署や確定申告会場で入手できますし、国税庁のホームページからもダウンロード可能です。一般用様式・不動産所得用様式・農業所得用様式・現金主義用様式の4つの様式があり、自分が申告しようとしている所得に合ったものを選ばなくてはいけません。
白色申告の場合は収支内訳書
白色申告を予定している方は、収支内訳書を持って行きましょう。
1年間の収入金額・明細、売上原価、仕入額の明細、経費、経費の内訳などを記載する書類です。
収支内訳書には、一般用様式・不動産所得用様式・農業所得用様式の3つがあり、税務署や確定申告会場で入手できますし、国税庁のホームページからもダウンロードできます。
本人確認書類やマイナンバーカード
確定申告には、本人確認書類やマイナンバーカードも必要です。
マイナンバーカードを持っている方は、マイナンバーカードで本人確認までできるため本人確認書類は必要ありません。マイナンバーカードの写しを持参する場合は、表面だけでなく裏面のコピーも持参してください。
マイナンバーカードを持っていない方は、マイナンバーが確認できる書類と本人確認書類の両方が必要です。
通知カードやマイナンバーが記載された住民票の写しなどのマイナンバーが確認できる書類1つと、運転免許証や健康保険証、パスポートなどの本人確認書類を1つ持って行くようにしましょう。
源泉徴収票などの添付書類
平成31年1月に国税関係手続が簡素化され、給与所得、退職所得、公的年金などの源泉徴収票や上場株式配当等の支払通知書、特定口座年間取引報告書など一部の書類の添付は不要になっています。
ただし、確定申告書に源泉徴収票や支払通知書などの内容を記載する必要があるため、税務署や確定申告会場で書類を作成するという方は持参しなくてはいけません。
また、各種控除を受ける方は控除を証明する書類の添付が必要です。
申告内容に応じた添付書類を用意するようにしましょう。
出典:源泉徴収票等の添付が不要となりました|国税庁(PDF)
銀行口座がわかるもの
通帳など銀行口座がわかるものも忘れずに持って行きましょう。
特に、払いすぎた税金があり還付を受ける場合、還付金を受け取るための口座情報を記載する必要があるため持参するようにしてください。
また、振替納税を希望する方も3月15日までに「預貯金口座振替依頼書兼納付書送付依頼書」に必要事項を記入して税務署に提出すれば、口座引き落としで税金の支払いが可能です。振替納税する方も銀行口座がわかるものを持って行きましょう。
出典:納税の方法|国税庁
申告書の控え
確定申告書を自宅で作成する場合には、申告書の控えも一緒に持って行くようにしましょう。
申告書の控えを税務署や確定申告会場に持って行くと、受付印(収受日印)を押してもらえます(郵送で申告する場合も、控えと切手を貼った返信用封筒を入れておくと、受付印を押したものを返信してもらえます)。
受付印のある申告書の控えは、収入や所得を証明する書類として使用可能です。住宅ローンや自動車ローンなどの申し込みや保育園の入園手続き、奨学金の申し込みなどに利用できますので、控えを持って行くようにしましょう。
印鑑と筆記用具
印鑑と筆記用具も必要です。
税制改正により令和3年4月1日以降、税務関係書類への押印が原則不要になったため、確定申告書への押印も不要になりました。しかし、振替納税を希望する方は「預貯金口座振替依頼書兼納付書送付依頼書」への押印は必要です。
振替納税を希望する方は、口座の届出印を持参するようにしましょう。
筆記用具は、申告書を作成するためのボールペンを持って行ってください。自宅で申告書を作成済みの方も、修正があった場合に備えてボールペンを持参しましょう。
ケースによっては必要となる持ち物
確定申告の持ち物には、すべての方に必要となる持ち物と申告内容によっては必要になる持ち物とがあります。必要となる持ち物が異なるため、自分の申告内容に合わせた持ち物を用意しなくてはいけません。ここからは、ケース別に必要となる持ち物を紹介していきます。
農業所得があるケース
農業所得は、事業所得に分類される所得です。農業収入から必要経費を差し引いて農業所得を計算し、確定申告する必要があります。
農業所得があるケースでは確定申告書とともに収入と支出の内訳がわかる収支内訳書(農業所得用様式)の提出が必要です。
収支内訳書の記入には、収入や支出がわかる証拠書類(帳簿、領収書、請求書など)が必要になります。税務署や確定申告会場で申告書の作成を行う方は、証拠書類を忘れずに持って行くようにしましょう。
なお、確定申告の際、帳簿や領収書、請求書などの証拠書類は提出する必要はありませんが、保存の義務があります。確定申告書の提出期限の翌日から7年間は保存する決まりになっていますので、失くさないようにしましょう。
事業所得があるケース
事業所得とは、農業・漁業・製造業・卸売業・小売業・サービス業・その他の事業の7つの事業から発生した所得のことです。この7つの事業を営んでいる方は、総収入から必要経費を差し引いて算出された事業所得を申告しなくてはいけません。
事業所得があるケースで、青色申告する方は確定申告書と青色申告決算書が、白色申告する方は確定申告書と収支内訳書が必要です。
税務署や確定申告会場で書類を作成する方は、収入や支出の内訳がわかる、帳簿や領収書などの証拠書類が必要になります。忘れずに持参しましょう。
雑損控除を受けるケース
雑損控除とは、災害や盗難、横領で資産に損害を受けたとき受けられる控除です。
「差引損害額(損害金額+災害等関連支出の金額-保険金等の額)-総所得金額等 × 10%」「差引損失額のうち災害関連支出の金額 - 5万円」のいずれか多い方の金額を控除できます。
雑損控除を受けるためには、確定申告書の他に、保険金などで補填される金額がわかる書類や被害を受けた資産の明細(取得時期、取得価格など)、災害関連支出の領収書、罹災証明書(被害状況がわかる写真も可)が必要です。
出典:No.1110 災害や盗難などで資産に損害を受けたとき(雑損控除)|国税庁
医療費控除を受けるケース
医療費控除とは、支払った医療費が一定額(所得が200万円以下の方は所得の5%、それ以外の方は10万円)を超えた場合に受けられる控除です。申告する方だけなく、申告する方と生計を一にする配偶者や親族のために支払った医療費も一緒に控除できます。
医療費控除を受ける方は、確定申告書に支払った医療費の内訳が書かれた医療費の明細を添付しなくてはいけません。
出典:医療費控除を受ける方へ:令和3年分 確定申告特集|国税庁
ふるさと納税をしているケース
ふるさと納税とは、自分が生まれた自治体や応援したい自治体に寄附できる制度です。ふるさと納税すると、自己負担額2,000円を越える部分について、所得税と住民税から原則、全額控除を受けられます(控除額には上限があり、家族構成や収入で異なります)。
ふるさと納税した方が控除を受けるためには、確定申告書に寄附金受領書や寄附金控除に関する証明書の添付が必要です。
なお、ふるさと納税先が5団体以内かつ一定条件を満たした方は、確定申告をせずに控除が受けられるワンストップ特例制度を利用できます。
ワンストップ特例制度を利用するためには「寄附金税額控除に係る申告特例申請書」に必要事項を記入して自治体に送付しなくてはいけません。
住宅ローンで家を購入・改築したケース
住宅ローンで家を購入・改築したケースでは「住宅の新築・改築した日から6か月以内に住み始め、控除を受ける年の12月31日まで引き続き住んでいる」など要件を満たすと住宅借入金等特別控除(住宅ローン控除)が受けられます。
住宅借入金等特別控除を受けるためには、確定申告書に以下の書類を添付しなくてはいけません。
・(特定増改築等)住宅借入金等特別控除額の計算明細書
・住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書
・家屋の登記事項証明書
・土地の登記事項証明書
・工事請負契約書または売買契約書
・補助金等に関する書類(自治体などから補助金を受けた場合)
・住宅取得等資金の額を証する書類の写し(贈与税の特例を受けた場合)
出典:No.1212 一般住宅の新築等をした場合(住宅借入金等特別控除)|国税庁
障害者控除を受けているケース
障害者控除とは、申告する本人やその方と生計を一にする配偶者や親族の所得税法上の障害者に該当する場合に受けられる控除です。障害者控除を受ける方は、確定申告書に必要事項を記入して提出してください。
障害者控除の対象となる人は、身体障害者手帳に身体の障害があると記載されている方や療育手帳を交付されている方、65歳以上で認知症または寝たきり状態などになり障害者控除対象者認定書の交付を受けている方などです。
扶養控除を受けるケース
扶養親族がいる方は、扶養控除が受けられます。納税者と生計を一にする配偶者以外の親族、年間合計所得金額が48万円以下、青色申告者の事業専従者や白色申告者の事業専従者でない者という条件をすべて満たす方が扶養親族です。
一般の控除対象扶養親族(12月31日現在の年齢が16歳以上の人)は38万円、特定扶養親族は63万円(年齢が19歳以上23歳未満の人)、老人扶養親族(年齢が70歳以上の人)のうち同居老親等以外の者は48万円、同居老親等は58万円の控除が受けられます。
扶養控除を受けられる方は、確定申告書に必要事項を記入して提出してください。
給与の収入金額が2,000万円を超えるケース
給与所得者は、勤め先が毎月の給与から所得税や住民税、社会保険料を差し引き、年末調整で過不足の精算を行うため、確定申告は原則不要です(医療費控除などを利用する方は確定申告が必要)。
しかし、給与の年収金額が2,000万円を超える方に関しては、年末調整を行わないことになっているため、個人で確定申告をしなくてはいけません。
確定申告を行わないと配偶者控除や社会料保険控除、扶養控除といったものが反映されないため、払いすぎた税金の還付を受けられず損をしてしまいます。必ず確定申告しましょう。
給与の収入金額が2,000万円を超える方が確定申告を行う場合、確定申告書と控除を受けるために必要な書類(控除を受けられる方)を提出してください。また、添付は不要ですが申告書作成のために源泉徴収票も忘れずに持って行きましょう。
確定申告の持ち物をチェックしてしっかり用意しておこう
ここまで、確定申告で必要な持ち物について紹介してきました。
確定申告に必要な持ち物には、申告を行うすべての方に必要な物と申告内容に応じて用意しなければならない物とがあります。
税務署や確定申告会場に行ってから忘れ物をしてしまったということがないように、事前に自分に必要な持ち物をチェックして、しっかり用意しておくようにしましょう。
※初回公開日:2023年1月10日
監修:キャリテ編集部【株式会社エーティーエス】
株式会社エーティーエスが運営する本サイト「キャリテ」では、みなさまの「キャリア」「働く」を応援する記事を掲載しています。みなさまのキャリアアップ、より良い「働く」のために、ぜひ記事の内容を参考にしてみてください。
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