あなたの「キャリア」「働く」を応援するメディア

produced by A.T.S Advanced Technology Service
個人事業主になるには?メリット・デメリットや必要な届出を解説

個人事業主になるには?メリット・デメリットや必要な届出を解説

「個人事業主になるには何をしたらいいの?」
「個人事業主のメリットとデメリットは?」
「個人事業主になるにはどのような届け出が必要?」
このように、個人事業主について、さまざまな疑問を持っている方も多いのではないでしょうか。

会社員から個人事業主を目指したいと考えている場合、今からどんな準備が必要なのか、知っておいた方が良いことなど、知識を増やしたい方もいるでしょう。

本記事では、個人事業主になるにはどのような行動が必要になるのか、個人事業主になった場合のメリットとデメリット、個人事業主になった後にやるべきことについてなどを紹介します。

この記事を読むことで、個人事業主に関する知識が増えるため、今やっておくべきことが見えてくるでしょう。これから個人事業主になろうと考えている方は、ぜひ参考にしてみてください。

個人事業主とフリーランスとの違い

個人事業主とフリーランスとの違い

個人事業主とフリーランスとの違いは、開業届の有無にあります。税務署に開業届を出すことで、個人事業主になります。

それぞれの違いを詳細に説明すると、フリーランスは、会社や団体などと雇用関係を持たず、日限、報酬などを個人で取り決めた働き方をする人を言います。

個人事業主とは、税務上分類される場合の呼び方であり、継続的に事業を営む人のことを言います。そのため、一時的に不用品をフリマアプリ等で売る場合は、継続性が不透明なため個人事業主とは言いません。

出典:[手続名]個人事業の開業届出・廃業届出等手続|国税庁

個人事業主のメリット

個人事業主のメリット

個人事業主になることによって得られるメリットは、いくつかあります。このメリットを重視して、個人事業主を目指す方もいるのではないでしょうか。

これから個人事業主になろうと思っている方は、以下のようなメリットがあることを知っておきましょう。

独立・起業への基礎固めができる

個人事業主になることで、本業ではなかなか対応する機会のない資金繰りや人脈集め、個人事業主として屋号の登録、青色申告の提出や帳簿付けなども自分でこなしていく必要があります。

こういった経験を予めしておけば、いずれ起業する際などに役立ちます。個人事業主ならではのメリットと言えるでしょう。

青色申告特別控除の対象となる

個人事業主になると、青色申告特別控除の対象になり、支払うべき税金の額を押さえることが可能です。要件に当てはまっていれば、10万円・55万円・65万円などの特別控除が受けられるようになります。

注意点は、65万円の控除を受ける場合、e-Taxでの電子申告、または電子帳簿保存していることなどが求められます。また、白色申告では要件を満たしていてもこうした控除は受けられないため、注意しましょう。

出典:青色申告特別控除|国税庁

赤字を繰り越すことができる

個人事業主で青色申告制度を利用していれば、損失額を翌年以後3年間繰り越すことが可能になります。

さらに、前年から青色申告制度を利用している場合は、前年の損失額を繰り戻すことで前年の所得税の還付を受けることも可能です。

出典:青色申告制度|国税庁

個人事業主のデメリット

個人事業主のデメリット

続いては、個人事業主のデメリットを紹介します。個人事業主は、メリットばかりではありません。人によっては「やはり会社員がいい」と思う人も出てくるでしょう。

ただ、事前にデメリットを把握しておくことで、「こんなはずじゃなかった」という後悔や失敗を防ぐことにもつながります。以下の点を理解しておきましょう。

自分の時間が少なくなる可能性がある

個人事業主になると、会社員のように毎月決まった額の収入を得られるかは分かりません。事業を軌道に乗せて利益を生み出していくためには、プライベートの時間まで仕事に割く可能性も出てくるでしょう。

事業について計画を考えたり実際に作業をしたり、営業活動をしたりと、1人で動かなければいけないことが多いため、自分の自由な時間が少なくなることもあります。自由な時間が減ることは、人によってはデメリットになってしまうでしょう。

失業保険の対象とならない

会社員のときに、仕事を失った場合は失業保険の対象になります。しかし、個人事業主として開業していると、本業(会社員)で失業しても、個人事業主でもあるために無職状態とは判定されず、失業保険の対象となりません。

副業の個人事業の方で利益が出ていれば、経済的に大きな打撃とはならないこともありますが、そうでなかった場合、個人事業でも廃業届を出して失業保険をもらった方が得策でしょう。

廃業して受給資格(離職の日以前2年間に被保険者期間が12カ月以上ある)が残っていれば、失業保険の対象となります。

出典:失業等給付について|厚生労働省(PDF)

青色申告の手続きに労力がかかる

控除を受けられるメリットは大きいものの、青色申告には、複式簿記や貸借対照表と損益計算書の作成、期限内に申告する必要があるなど、やらなければならないことが多く、手続きに労力がかかります。

通常業務で手一杯な人にとっては経理事務の負担が大きく、精神的なストレスにもなるでしょう。

個人業主になるための準備

個人業主になるための準備

次は、個人事業主になるための準備について見ていきましょう。個人事業主として事業を開始させるためには、どのような立場で個人事業主になるのかによってするべき準備が変わってきます。

以下で、それぞれのケースについて取り上げているため、該当する方をチェックしてみてください。

会社を辞めて本業とする場合

住宅や車など高額なものをローンで支払う計画がある方は、特に注意が必要です。ローン申し込みの際に必ず審査があり、審査には社会的な信用がかかわってきます。個人事業主になると、この社会的な信用の低下が予想されます。

信用度が低いと判断されれば、ローン申請は通りません。必要なタイミングで買おうとしていたものが買えないと、予定が狂ってしまうこともあるでしょう。会社員でいる間にローンを組んだり、クレジットカードを申し込んだりしておくことがおすすめです。

また、個人事業の活動でも必要になることがあるため、雇用保険被保険者証や源泉徴収票、年金手帳は会社を辞める際に受け取っておきましょう。

副業として取り組む場合

副業で個人事業主になる場合は、始める前に会社の就業規則を確認しておきましょう。副業を認めていない会社もあるため、知らずに副業で個人事業主になってしまうと、後で会社と揉める可能性があります。

また、売り上げから経費を引いた副業の所得が20万円を超えていれば、確定申告が別途必要になるため、把握しておきましょう。

個人事業主になるには?必要な届出

個人事業主になるには?必要な届出

個人事業主になるには、いくつか必要な届出があります。続いては、いざ個人事業主になったときに慌てないように、具体的にどのような届出が必要になるのか見ていきます。

必要なものが分からなくなった場合や忘れてしまった場合は、調べ直すなどして、抜けや漏れのないように必要書類を提出しましょう。

開業届の提出

まず、個人事業主になるには、開業届の提出が必要です。特に、事業所得・不動産所得・山林所得などが生じる場合は、1カ月以内に税務署に開業届を出す必要があります。開業届の書類は税務署でもらうか、国税庁のホームページにてダウンロード可能です。

提出期限をしっかり確認し、間に合うように準備・提出しましょう。

出典:個人で事業を始めたとき/法人を設立したとき|国税庁

青色申告承認申請書の提出

青色申告承認申請書の提出は、青色申告特別控除を受けるために必要なものです。青色申告特別控除を受けるにあたって、複式簿記で記帳している帳簿、損益計算書、貸借対照表など、用意するものがあります。

提出には期限があるため、必要なものの確認と提出期日を確認しておきましょう。

出典:[手続名]所得税の青色申告承認申請手続|国税庁

青色事業専従者給与に関する届出・変更届出書の提出

青色事業専従者給与に関する届出・変更届出書は、青色申告した個人事業主が、配偶者や親族に給与を支払った場合、必要経費として計上するために必要な書類です。青色申告者(個人事業主)の配偶者、親族、その年の12月31日までに15歳以上の人が対象者になります。

この届出を出さないと、配偶者と親族の給与を経費にできなくなります。それによって所得額も大きく変わってくるため、必要な方は忘れずに提出しましょう。

出典:[手続名]青色事業専従者給与に関する届出手続|国税庁

源泉所得税納期の特例の承認に関する申請書の提出

源泉所得税納期の特例の承認に関する申請書は、原則では毎月納付となる源泉所得税を、給与を支払う従業員が常時10人未満の場合に限って、年2回に分けて納付する形にする申請書類です。

この制度を利用する個人事業主は、源泉所得税納期の特例の承認に関する申請書の提出が必要になります。

出典:[手続名]源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請|国税庁

給与支払事務所等の開設届出書の提出

給与支払事務所等の開設届出書の提出も、個人事業主になるためには必要になります。給与支払事務所等の開設届出書とは、従業員を雇って給与を支払う事務所を開設したり移転、廃止した場合に、税務署に提出する書類です。

従業員を雇用してから1カ月以内が提出期限となるため、期日に注意しましょう。

出典:[手続名]給与支払事務所等の開設・移転・廃止の届出|国税庁

個人事業主になった後にやるべきこと

個人事業主になった後にやるべきこと

個人事業主になった後、何の手続きから始めれば良いのかと悩む方もいるでしょう。最後に、個人事業主になった後にやるべきことについて紹介します。個人事業主になると、以下のような事務手続きが必要です。

国民年金への加入

個人事業主が入る年金は、国民年金になるため、会社員のときに厚生年金に入っていた人は国民年金への加入が必要になります。国民年金に入るためには、住んでいる区役所、または市役所の保険年金課に行って手続きをしましょう。

出典:国民年金に加入するための手続き|日本年金機構

国民健康保険への加入

個人事業主になったときは、社会保険の手続きも必要になるため、国民健康保険に加入することになるでしょう。 

ただし、個人事業主になる前に企業で働いていた人は、その会社で入っていた健康保険を任意継続できるケースもあります。

国民健康保険に加入する場合は、それまで会社と折半で払っていた保険料を、全て自分で支払う形になるため、どのくらいの保険料になるか事前に把握しておいた方が良いでしょう。

出典:国民健康保険の加入・脱退について|厚生労働省

確定申告の準備

会社員時代は、毎月給与から税金が源泉徴収されていて、年末調整で納税手続きは完了していたため、確定申告は不要でした。しかし、会社から離れた場合は、自分で確定申告をしなければなりません。

確定申告する際は確定申告書と青色申告決算書、医療費の領収証、社会保険料(国民年金保険料)控除証明書、社会保険料など、用意しておくものがいくつもあります。その時期に慌てないように、準備しておきましょう。

出典:〔平成28年分 所得税及び復興特別所得税の確定申告の手引き(確定申告書B用)〕申告書に添付・提示する書類|国税庁

個人事業主のメリットを理解して必要な届出を準備しよう

個人事業主のメリットを理解して必要な届出を準備しよう

個人事業主になるためには、まず税務署に開業届を出すことが必要です。青色申告特別控除を受けるためには申請書の作成が必要になることも、合わせて頭に入れておきましょう。

個人事業主はメリットばかりではなく、デメリットもあります。個人事業主になってから「大変だ」と後悔することがないように、この記事を参考にあらかじめデメリットになりえる部分を理解して、対策を考えておきましょう。

※初回公開日:2023年8月28日

監修:キャリテ編集部【株式会社エーティーエス】

株式会社エーティーエスが運営する本サイト「キャリテ」では、みなさまの「キャリア」「働く」を応援する記事を掲載しています。みなさまのキャリアアップ、より良い「働く」のために、ぜひ記事の内容を参考にしてみてください。

新着記事