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国民健康保険と任意継続はどっちがお得?メリット・デメリットと試算を紹介

国民健康保険と任意継続はどっちがお得?メリット・デメリットと試算を紹介

「退職した後の健康保険はどうすればいい?」
「国民健康保険と任意継続はどっちが得なの?」
このように、退職後の健康保険に関して不安を抱えている人もいるのではないでしょうか。

健康保険は医療サービスを受ける上で欠かせないもので、日常生活と密接に関連しているため、退職後も継続する必要があります。このとき、国民健康保険と任意継続の2種類が選べるため、どっちを選んでいいのか分からないという人も多いでしょう。

本記事では、国民健康保険と任意継続とではどちらが得なのか、それぞれのメリット・デメリットに加え、保険料を試算する方法を紹介しています。

この記事を読めば、両者の特徴を知った上で自分に向いている方法を選択できるようになるでしょう。今現在、どちらの保険が良いか検討中の人は、ぜひ参考にしてください。

健康保険の必要性とは

健康保険の必要性とは

日本では、国民の安全・安心な暮らしを保証する目的で「国民皆保険制度」が導入されています。そのため、全国民が保険に加入することが原則とされています。

「国民皆保険制度」とは、すべての国民が何らかの公的医療保険に加入して、お互いの医療費を支え合う制度です。

保険料を納めるのは国民と事業主で、納められた保険料は医療費の支払いや保険事業を行う費用などに利用されます。

出典:我が国の医療保険について│厚生労働省

国民健康保険とは

国民健康保険とは

国民健康保険とは、他の公的な健康保険制度に加入していない人が加入する健康保険です。他の医療保険制度とは、被用者保険や後期高齢者医療制度を言います。

国民皆保険制度を実現するには、保険に加入できない人が出ないようにする必要があるため、職場で加入できない人のために用意されているのが、国民健康保険です。

国民健康保険は、市町村国保と業種ごとに組織されている国民健康保険組合から構成されています。

出典:国民健康保険制度│厚生労働省

任意継続保険とは

任意継続保険とは

任意継続保険とは、会社などを退職する場合に、勤務していた会社が加入している健康保険組合を継続できる制度です。

自動的に以前の保険を継続するのではなく、選択によって退職後最大2年に限り継続できます。健康保険の資格を喪失する日の前日まで、継続して2ヶ月以上被保険者であった人なら、任意継続保険の選択が可能です。

ただし、継続して2年が経過すると資格を喪失するため、注意しましょう。

出典:任意継続被保険者制度について|厚生労働省保健局(PDF)

国民健康保険のメリット・デメリット

国民健康保険のメリット・デメリット

国民健康保険には、メリットもデメリットもあります。両者について理解した上で保険を選択することで、納得して加入できるでしょう。

国民健康保険は、任意継続保険を選択する予定の人でも、将来的に利用する可能性がある保険です。

状況に応じて対応できるよう、内容を事前に確認しておきましょう。

国民健康保険のメリット

国民健康保険のメリットは、他の保険に入っていなければいつでも加入できる点です。「他の保険に入っていない」という条件のみ満たせば加入できるため、難しくはないでしょう。

国民健康保険には、保険料の減免制度もあります。倒産や解雇などが理由で離職した人や、雇止めによって離職した人は、保険料の減免が受けられる可能性があります。

また、国民健康保険の保険料は前年度の所得を元に計算される仕組みのため、所得が基準値を下回ったら自動的に減額してもらえる点もメリットと言えます。

出典:国民健康保険の保険料・保険税について|厚生労働省

国民健康保険のデメリット

国民健康保険のデメリットは、出産手当金が支給されないことです。

なお、「出産育児一時金」は法律上「給付を行うもの」とされているため受け取れます。ただし、特別な理由がある場合は実施しなくても構いません。

しかし、出産手当金は法律上給付される手当ではないため、支給されないのが一般的です。

また、所得が上がれば健康保険料が高くなるのも、国民健康保険のデメリットです。扶養家族がいれば、さらに保険料が高くなります。

出典:国民健康保険の給付について│厚生労働省

出典:出産育児一時金|宮崎市

任意継続保険のメリット・デメリット

任意継続保険のメリット・デメリット

任意継続保険にも、メリットとデメリットがあります。人によって状況が違うため、任意継続にするメリットが大きい場合はそのメリットを活かしましょう。

デメリットの方が多いと判断した場合は、国民健康保険を選択するのがおすすめです。

任意継続保険のメリット

任意継続保険のメリットは、会社に勤務していた時と同じ給付を受けられることです。ただし、原則として出産手当金や傷病手当金は受け取れません。

また、保険料が国民健康保険より安く抑えられる場合があることもメリットでしょう。保険料は退職時の標準報酬月額を元に計算されますが、その金額は当該個人か加入者全体の平均の低い方とされています。

保険料に上限もあるため、高所得者ほど任意継続を選んだ方が有利になる可能性が高いでしょう。

任意継続保険のデメリット

任意継続保険のデメリットは、勤めていた時の2倍の保険料がかかることです。保険料自体は同じですが、勤めている間は会社が負担してくれていた金額も含めて自分で支払う必要があるため、在職時の約2倍の保険料がかかります。

ただし、厚生年金保険料や雇用保険料を支払う必要はありません。上限の金額も決まっているため、負担が大きくなるかどうかは状況次第です。

2022年1月の法改正による任意継続制度の変更点

2022年1月の法改正による任意継続制度の変更点

2022年1月の法改正によって、任意継続制度は継続して2年経過しなくても辞めたい時に辞められるようになりました。従来は、2年間経過するまで資格の喪失ができず、保険料も変わらない制度でしたが、変更に伴い自由度が高くなっています。

他にも傷病手当が通算化され、途中で出勤した期間は除いて計算されるようになりました。出産育児一時金の支給額の内訳も変更されています。

出典:健康保険法等の一部改正に伴う各種制度の見直しについて(傷病手当金、任意継続、出産育児一時金)│全国健康保険協会

任意継続と国民健康保険のどちらが得かを正確に把握する

任意継続と国民健康保険のどちらが得かを正確に把握する

健康保険料は人によって異なるため、任意継続と国民健康保険のどっちが得かを正確に把握した上で保険を選択しましょう。任意継続保険料は都道府県ごとに異なり、国民健康保険料は市区町村ごとに異なります。

本人が居住地の自治体や健保組合などに出向いたり、電話をしたりして確認すれば、試算してくれるケースも多く見られます。

国民健康保険料の試算

国民健康保険料を試算して欲しい場合は、居住地の市区町村役場の国民健康保険窓口に問い合わせましょう。国民健康保険料は前年中の所得に応じて決まる仕組みのため、源泉徴収票や確定申告書など収入が分かるものが必要です。

また、扶養家族がいる場合は、家族分の所得が確認できる資料も用意しましょう。減免制度が活用できると保険料が安くなるため、制度の活用ができるかもチェックする必要があります。

出典:国民健康保険料の試算はどこで行えますか。また何か必要なものはありますか。|船橋市公式ホームページ

任意継続保険料の試算

任意継続保険料の試算は、勤めていた時に加入していた健康保険で確認できます。中小規模の企業に勤めていた人は「協会けんぽ」、大企業に勤めていた人は勤務先の健康保険組合、公務員は共済組合に問い合わせましょう。

また、公式サイトである程度の情報も集められます。たとえば、協会けんぽでは都道府県ごとの保険料額表が確認できるため、参考にしてもよいでしょう。

国民健康保険への切り替え手続きのやり方

国民健康保険への切り替え手続きのやり方

国民健康保険に切り替える手続きをする際は、住所のある市町村役場で加入手続きをしましょう。国民健康保険は各市町村が運営しているため、市町村役場が担当になります。

手続きは、退職した日から2週間以内に行なってください。担当窓口で関係書類を提出して、手続きをしましょう。提出が必要な書類や申請方法は住んでいる地域によって異なるため、住んでいる市町村のホームページなどで確認しましょう。

出典:国民健康保険の加入・脱退について|厚生労働省

任意継続と国民健康保険のどっちにするかは保険料を正確に把握して決めよう

任意継続と国民健康保険のどっちにするかは保険料を正確に把握して決めよう

任意継続と国民健康保険のどちらを選ぶと保険料が得になるかは、人によって異なります。健康保険料は前年の収入を元に決められるため、退職後の働き方によっては保険料が負担になる可能性もあるでしょう。

しかし、健康保険はいざとなった時に自分の身を守る大切な制度です。少しでも負担を少なくしつつ保険料を納められるよう、任意継続と国民健康保険の保険料を正確に把握した上で、どちらを選ぶか決めましょう。

※初回公開日:2023年9月7日

監修:キャリテ編集部【株式会社エーティーエス】

株式会社エーティーエスが運営する本サイト「キャリテ」では、みなさまの「キャリア」「働く」を応援する記事を掲載しています。みなさまのキャリアアップ、より良い「働く」のために、ぜひ記事の内容を参考にしてみてください。

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